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栄通記

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2007年 09月 29日

327)いろへや 「田中康晃・展」・インスタレーション 9月27日(木)~9月30日(日)

○ 田中康晃・展
    『小宇宙』 vol 01

 会場:いろへや
    中央区南11西13
     東南角地の2階建てアパート風の建物が「プラハ2+ディープ・さっぽっろ」で、その2階にある小さなレンタル・スペース。
 会期:2007年9月27日(木)~9月30日(日)
 時間:13:00~21:00


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 田中君は関東出身の道都大学・デザイン科の4年生。今年になって、北広島市民ギャラリーの個展を含めて精力的に発表しています。

 製作は障子紙に舞い落ちる雪をちりばめて、青いスプレーで色を落とし、色の付いた雪を払い落として残った色の世界。雪の部分が白で、余白が青ということになります。その上からコーティングして、色落ち防止や紙の補強をしています。

 今展では、その作品を幅1m、奥行き3mの一段下がった空間、下から30cm程の高さに水平にして、真ん中を垂らし気味にして展示しています。垂れた箇所には水が溜まっています。イメージとしては紙の上に残っていたであろう雪が解けて流れて淀んでいるということです。その凹んだ部分に、下から白と青の照明を当てて、模様の付いた障子を浮かび上げる、雪の化身である白い部分を膨らませています。写真ほど紙の皺はきつくなく、自然なデコボコ感が走っています。雪が障子に落ちる時の音も収録していて、会場に流れています。

 会場に着いたときは既に日没、人気も無く薄暗い建物の中を二階の知った場所に。男靴が一つ、「あー、作家がいるのだな」と思いながら、狭い入り口から中を覗き込むと・・・、手前のちゃぶ台の部屋の青年を素通りして、何やら奥にうずくまった物が見える。暗がりに綿を敷き詰めているようだ。作家に声を掛け、彼を無視して作品の「場」にたたずむ。「綿と思ったが、紙なのか。ふんわりと優しい紙だなー」改めて、製作者の顔を見る。醤油顔のハンサム・ボーイだ。誰もいない、電気も点いていない。ようやく作家の笑顔が幻想の世界から人の温かみのする場に誘ってくれる。作品の説明を聞く。関東育ちの青年が「雪」に憧れて、この地を訪れ、雪を彼なりに閉じ込めようとしての成果である。今展と合い通じるような作品達が頭を過ぎる。「此処にも、何かに託して自分の思いと研鑽している青年がいるんだなー」彼の笑顔が等身大に近づいてきてまぶしい。音響効果が作家の気持ちに反して、心地良く伝わってこない、もっともっと、現場の収音に対して、研ぎ澄まされた「耳」になって欲しい。それにしても、単なる一枚の紙を、選んだギャラリー空間に並べる。タイトルにあるように、自分の作品で空間を遮り、自分だけの「小宇宙」を作りたいのだろう。その意欲、次も期待したい。

 雪近きこの時期に、改めて我々は雪を身近な物として付き合っていたのだと気づかされた。田中君は「雪」の何に魅入られたのだろう?

by sakaidoori | 2007-09-29 23:44 | (いろへや Dr.ツクール)


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