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栄通記

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2007年 09月 27日

325)テンポラリー 「中嶋幸治・展」・インスタレーション 9月25日(火)~9月30 日(日)

○ 中嶋幸治・展
     インスタレーション・Dam of wind、for the return

 会場:テンポラリー スペース
     北16西5 北大斜め通り・西向き 隣はテーラー岩澤
     電話(011)737-5503
 会期:2007年9月25日(火)~9月30 日(日)
 時間:11:00~19:00

 綺麗な展示だ。まるで標本のようだ。何の標本だろう?

 作家は24歳の青年。青森・南津軽地方の平賀町(現・平川市)から、この春に札幌に来たという。初個展とのこと。初めてにして、これほど「美」を纏め上げるとは、たいした力量だ。几帳面な青年のようだ。製図、あるいはデザインとして、いつもきっちり形を描いているのかもしれない。そして、詩人というのか、静かな音楽的なリズムを感じる。だが、恋人に愛を語るエロティシズムの持ち主ではないようだ。若いのに、エロス薄き美への賛歌だ。若い男の情念は女に向かうとは限らないのか。それに代わって、故郷とその自然に目を耳を傾ける。

 会場、左の壁には燭台のような置物を9個取り付け、小さいカップに六分程水が入っている。少しばかり土の粉が黒く張り付いて、親しみがもてる。直ぐ上の照明に当たって、教会の蝋燭のように輝き、綺麗な規則正しい影を生んでいる。これ等は正面の梅ノ木の引き立て役になっている。
 正面には9本の梅ノ木の苗が左から順番に右上がりに吊り下げられえている。下には白い土を地鎮祭の小山のようにして規則正しく、9個、8個、7個・・・・と数を減らして並んでいる。これ等は梅ノ木の添え物、あるいはこの部屋に立ち込めているであろう八百万の神・風や光の依り代でもある。

 問題はこの土だ。故郷の白岩地区にある、まさしく白い岩山の土なのだ。辺りはブナなどの緑に覆われた森林、岩肌は雪とも見間違うとのことだ。四季折々に風情を変え、自然の一大宝庫とのこと。中嶋君はこの白い土を見て育ったのだろう。愛しているのだろう。白土のある、この森林が創作の原点なのだろう。その故郷を意識的に後にして、白土ならぬ白雪の地に来て、なぜ故郷の土をもてあそぶのだろう?故郷がエネルギー源である事は当然としても、故郷そのものを表現手段として使うのは、どこかに甘えがあるのではないだろうか。いや、今回は初個展だ。自分と故郷の関係を問いただすための発表かもしれない。「何の標本だろう?」と冒頭に書いた。もしかして、自立への角立ちとして故郷をテンポラリーの空間に閉じ込めて、合い対峙し、出発の記念碑にしようとしているのかもしれない。

 何のこだわりの無い梅ノ木の立ち姿、可愛い白き小山、守護神のような水の入ったカップ、余りに美しい世界の裏側に青年の悩みは覆い隠されている。

 (写真撮影の許可をオーナーから頂きましたが、ブログ掲載の確認をするのを忘れました。可能ならば、なるべく早く載せたいと思います。)

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 ↑:2階の展示作品。特に左側は屋根裏に安置してある藁人形のよう。東北の歴史を感じさせる民芸品のよう。書体は浮世絵でおなじみの絵柄の説明文に似ています。






 

by sakaidoori | 2007-09-27 23:33 | テンポラリー


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