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栄通記

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2007年 08月 30日

306)②市民ギャラリー 「新道展」 8月29日(月)~9月9日(日)

○ 第52回 新道展

 会場:札幌市民ギャラリー 2階3階
     南2東6
     電話(011)271-5471
 会期:2007年8月29日(水)~9月9日(日)
 休み:月曜日
 時間:10:00~17:30(最終日16:30まで)
 料金:

 個別に好きな作品、気になる作品、気にしている作家の作品を載せます。会員から。


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 ↑:会員・佐藤愛子、「Magic」油彩・162×260。
 いつも注目してみています。彼女(決して若くはありません)の画材は色爛漫の油彩と白黒の鉛筆画の二本立てです。ともに、自由さが売り物です。油彩は少し乱暴で雑な感じがして、落ち着きのある鉛筆画を好まれる方のほうが多いかもしれません。どちらかに絞った方が良いという意見があるかもしれません。僕は両方ともに強い関心をもってみています。
 今展では、油彩となっていますが彼女なりに先ほど言った油彩と鉛筆画を統一させようとしているみたいです。変化を目の当たりに見れてとても嬉しい。変に安定的な絵を求めることなく、「破綻、何するものぞ」という意気込みで描き続けて欲しい。とにかく自由な精神を見てもらいたい。

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 ↑:会員・東誠、「つまむ練習」・油彩・F100。
 軽い絵です。ブラックと言うより、ホワイト・ユーモアと呼びたい。つまんでいるのでは無く、刺しているようにも見えます。血は出ていません。おそらく背中をつまんでいる絵なのでしょう。東(あずま)さんは食べ物や食べるということを画題にしています。仕上がりはポップな感じ。もちろん社会・文明批判や皮肉をこめているのでしょう。ですが、僕は単なる文明批判的表現だけの絵は採りません。批判するも、批判されるも最後は表現者自身へと刃は向けられるのです。そういうことへの可笑しさ、哀しさを感じる絵が好きです。
 さぁー、今夜は何をつまみましょうか。酒や煙草だけでは男が廃ります。震える手で琴線をつまみましょう。

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 ↑:会員・白鳥洋一、「どうぶつ園の雪の朝」・油彩・P150。
 白鳥さんの絵はまだ深くは考えていません。深くは考えていませんが、その童画のような世界にいつも引き込まれています。いわゆる「ヘタウマ」な作品だと思っています。個展を見たことがないので、じっくりと白鳥体験をしたいものです。

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 ↑:会員・山本家弘、「赤い屋根07’」・アクリル・F120。
 この絵は変なというか不思議な絵なのです。
 ヨーロッパの町並みの赤い屋根と白い壁を描いています。日本にはない石造りの家並み、樹の緑は全然無く、赤と白のリズムを楽しんでいるようです。それを引き立たせるために空も青ではなく茶系にしています。
 僕の驚きの中心はそこにはないのです。中央最奥の塔、まるでピサの斜塔のように右に傾いて見える。遠くの家並みと空の輪郭線が少し右下がりに見える。この二つの縦と横の斜線が頭の中でついていけれなくて、焦点を定めようと努力していると、壁の白さや屋根の赤さが、不規則にランダムに迫ってきて、全体が踊っているように見えるのです。風景でありながら、風景でなくなってくるのです。そうなると絵画のボリューム感が膨らんで、枠が自然に取り払われて、絵の画題とは全然違った真実味が伝わってきたのです。

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 会員・今庄義男、「古里」・油彩・変300。
 (少し写真写りが悪いようです。今庄絵画のファンの方には申し訳ありません。出来れば差し替えをしたいと思っています。)

 優しくなったなー、軽くなったなーというのが第一印象です。「古里」をいろいろな視点で表現されているので、これが今後の方針という訳ではないと思います。引っかきラインをいれたりして、大地の掘り返しや時間の刻印といった静かに重く、それでいて見る者にそれぞれの「古里」を思い出させる絵が今庄ワールドだと思います。深さを追求する絵に軽さが跳ねだしたのです。一見、同じような絵ばかりを描いているようですが、好きな者にとってはわずかな変化が喜びなのです。作家とは日々留まることができなくて、大変な存在だとつくずく思ってしまった。

by sakaidoori | 2007-08-30 22:56 | 市民ギャラリー


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