栄通記

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2007年 08月 12日

293)コンチネンタル 「PLUSE1 groove」 8月7日~8月12日(日)

○ PLUSE1 groove

 会場:コンチネンタル・ギャラリー
    南1西11 コンチネンタルビルB1F・東向き
    電話(011)221-0488
 会期:2007年8月7日~8月12日(日)
 時間:10:00~18:00

 参加作家:藤本和彦、坂東宏哉、千代明、齋藤周、谷口明志、田畑卓也、ダム・ダン・ライ

 今日までです。夕べ記事にすれば少しはタイムリーなのですが、夕涼みの夜を過ごしてしまいました。

 ファイブ・エナジーが強い個の表現と連結に重きを置いているとするならば、こちらは群れ成す個の触れ合い・つぶやき合い・揺れ合いと言いたい。野球で言えば前者は、監督が前面に出てのホームラン野球。後者は日ごろの練習通りのヒット・エンド・ラン野球。相撲で言えば、ハワイ相撲とモンゴル相撲のようだ。発表様式の違いを含めて、いや、違いが鮮明なだけに共に魅力的であった。

 全体を無視しての作品鑑賞は悪くはないが損な話だ。個々の作品を切り取って写真を載せ、個別に語ると誤解を招きかねない。しかも、その写真の精度がいまいちである。更に更に、その全体像やグループの理念を語ることはとても難しい。感想家の非力を思いしらされる。だが、これらのことはグループ展を語る場合の難しさに共通したものであり、所詮、語りとは見たことの再現でないのだからやむを得ない。大した問題だが、仕方がない。・・・。
 大仰なことを言ってしまった。個々の写真と簡単なコメントを書こう。


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 千代朗(せんだい・あきら)、「ウエーブ」。1957年、門別町生まれ。沙流郡日高町在住。
 作品と影の絡み合いが素敵です。踊りあっています。鉄材を自在に曲げらせ、その流線型と車のメタリック調の色と輝きが光をもらって謳っています。高い技術に支えられた完結した世界です。

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 田畑卓也(たばた・たくや)、「果ての白」。1958年、赤平市生まれ。恵庭市在住。
 現代美術の大きな特徴に、枠という制度からのはみ出しがあります。西洋絵画の枠という完結した世界、それを成り立たせる世界観の否定という考えかたです。けれども、ある制度を否定しても、制度という枠から逃れられないでしょう。田端さんの四角いアルミの形は枠への拘りが、枠を枠として残すという方向に行っています。悲しいユーモア画、それでいて綺麗に収まっています。

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 齋藤周(さいとう・しゅう)、「地図のかきかえ」。1968年、札幌生まれ。札幌市在住。
 ここのギャラリーは真ん中に秘密の部屋があります。部屋は小さいのですが、迷路あるいは袋小路のようになっています。齋藤さんの作品はその部屋を利用した外壁と内部の世界です。齋藤さんはその部屋をトイレに、あるいは女の子の開かずの部屋にしているのです。小さな作品を組み合わせて便器とも椅子とも見えたからです。そこに、女の子達と赤い模様が散りばめられているのです・・。齋藤絵画は思春期の女性をモチーフにしています。明るく健全な広がりの齋藤ワールド、きつい世界を垣間見た思いです。今展の参加作品中で最も人間臭い展示です。

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 藤本和彦(ふじもと・かずひこ)、「四季神、-次節に送る包み」。1965年、遠別町生まれ。札幌市在住。
 藤本さんは笑わせてくれます。知的なユーモアを得意としています。それと、日本人の庶民の生活の力、悪ふざけ、遊びを演出していて、作品の周りに人間だとかお化けなどが見え隠れしています。
 昨年はロケット弾を作っていました。時事性に富んだブラック・ユーモアでした。日常生活とは無縁な遠くて重たいモチーフから離れて、一気に夏の日本の民家を連想したくなるような作品を持ってきました。布団をビニール袋に入れて空気を抜いてしまっておく道具の展示です。布団の変わりに、茶色い包装紙で包んで麻紐?で綺麗に縛られた物です。茶色が爽やかです。畳があって、縁台から昼の光が差し込んでいます。(今日のような札幌の暑さを連想してください!)エプロン姿のお母さんとかいがぐり頭の子供達が回りに居るようです。笑い声が聞こえてきそうです。古き良き時代、それをしまいこむような収容袋。

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 坂東宏哉(ばんどう・ひろや)、「自己同一性」。1956年、小樽生まれ。札幌市在住。
 重暗い色調です。一人だけ、あたかも全体の軽やかさを否定したいかのようです。濃厚な画質感で抽象的な形・形態を描いていたのを知っています。今回はより絵画的に「自分とは何か=自己同一性」を追求しているのでしょうか?他の参加者との差異を目立たせる作家です。

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 ダム・ダン・ライ、「雲」。1973年、ベトナム北部で生まれる。
 木や鉄による立体作品や絵画作品を手がけています。「鉄は楽でいいね、ちょちょいと切って、ちょ、ちぃと引っ付けて、楽しくて良いね。木は大変よ、切ったり削ったり・・」木と鉄の違いを尋ねた時に聞いた言葉です。「自由さ」が彼の製作の根っこにあるようです。今展も重い鉄を独特の形にして、赤いペンキで塗っただけの「雲」です。僕には雲というよりも、地中の変な虫がどんどんと湧き出ている感じです。あい変らず、変な面白い物を作っていました。

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 谷口明志(たにぐち・あかし)。1961年、小樽市生まれ。札幌市在住。
 僕は「谷口・コンブ」と命名しています。その意味は不明ですが、心は感じます。今回は赤色と繋ぎ合わせがぐるっと円形になっていて、素直な感じで気にいりました。やけに赤が良かったです。大きく大きく、高く高く広げていきたくて、会場が狭くてどことなく欲求不満気味で見ていたのですが、場との折り合いを付けていて好ましかったです。

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 田畑作品越しの会場風景。

 彼等が何を目指しているのか、どういうことを話し合っているのかは知りません。男性ばかりです。自分の作品が他人の中でどう反応しているかを確認しているようです。「明るく軽くリズミカルに」・・微妙にそう言いきれない所もあります。他者の領域を侵さずに、目に見えないところで侵食し合っているようでした。

by sakaidoori | 2007-08-12 11:36 | コンチネンタル | Trackback | Comments(0)
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