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栄通記

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2007年 07月 22日

267) 短歌 菱川善夫選「物のある歌」-4・7月22日

 北海道新聞2007年7月22日朝刊、日曜文芸(P27)より、

 菱川善夫 選、「物のある歌」。

○君の背にひかりのかけら集めれば古代大陸浮かび上がれり(冒頭歌)

○抱き合いしままに化石にならんとす千年のちの人よ見たまえ
○底抜けに明るき夏の肉体が浴衣の下でぐんぐん撓(たわ)む
○せいよくはふいにきざしぬさくさくとハクサイの浅漬け食(は)みおれば
 
       鶴田 伊津 
 「百年の眠り」(2007年、六花書林)。1969年和歌山県生まれ。東京都在住。


 光の当たる女体の背中に古代大陸を思い、化石となった男女の「抱き会い像」を千年後に見よと言う。ざっくばらんな時間軸だ。底抜けに明るいのは女の裸ではない、歌人・鶴田氏はなんて大らかに屈託なく女を謳うのだろう。そういう男はうなじや後れ毛に女を想うほど軟ではないのだ。口の中の浅漬けに性欲が涌くとは。秋刀魚に涙した詩人がいたが・・・。元気な芯の太い短歌だ。が、「浅漬け」、「食む」、初々しくもある。見習うべし、見習うべし。

by sakaidoori | 2007-07-22 22:15 | ◎ 短歌・詩・文芸


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