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栄通記

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2007年 07月 03日

246) 時計台 「境齋個展」・油彩 終了(6月30日まで)

○ 境齋個展

 会場:時計台ギャラリー 2階B室
    北1西3 札幌時計台文化会館・中通り南向き
    電話(011)241-1831
 会期:2007年6月23日(月)~6月30日(土)
 時間:10:00~18:00 (最終日17:00まで)

 先週のG.時計台は変化球型油彩展を楽しめた。一つは西村一夫展、ことさら何を描くというのでなく心安らぐ油彩展。一つはこの記事の展覧会だ。前者が「癒し系」ならば、こちらは「おもしろ系」と一口で言いたい。

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 ↑:左側、「あんぽんたん達の迷路」、2006年・110号。
 右側:「弱り目に祟り目」、2007年・110号。

 おもしろ系と言っても、人の表情・動き・物語が愉快ということであって、結構古典的手法でもある。画題も古き漫画に通じるところがある。そうではあるが、100号以上のキャンバスに長い時間をかけて、面白く可笑しく仕上げていく作家の面持ちはどんな感じだろう。漫画を見下して言うわけではないが、いつでも、どこでも、誰でもが線描を主体に楽しめるのが最大の利点だ。それを絵画という約束事の中にあれやこれや考えてまとめ上げていくのだ。一瞬見れば全てが終わり、人間追及などどこ吹く風といわんばかりに色を重ねていく。漫画的と僕に言われようとも、しっかり漫画的に絵画的に完結しないといけない。こういう絵を長い間真面目に見ていると、もらい泣き、笑い泣きしそうになってしまう。絵の画質感を深く深く追求してでてくる向こうの世界、そういうことには背を向けた絵だ。(続き

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 ↑:左側、「川での祈り」・2004年・10号。右側、「悲喜」・2003年・15号。

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 ↑:左側、「おんぶ」、1984年・110号。右側、「なにもない遊園地」、1999年、110号。


 (追記が遅くなってすいませんでした。)
 境さんの個展は最新作中心ではない。どういう基準だかはわからないが、かなり古い作品も展示する。古くても、、一度は公の場に登場させたいのだろう。作家の自己確認にもなっているのかもしれない。今展には出品されていないが、かなり初期の作品は具象は同じだが、面相も忠実な写実画で真面目に対象に取り組むというものであった。それが、だんだんと大きなキャンバスを絵巻物のようにして漫画的人物に喜怒哀楽、天国と地獄のユーモア画にしていった。バランス感を崩すことはないから、統一感はあっても、見慣れると絵としての意外性には少し欠ける感じだ。しかし充分面白い。
 最新作(一番上の2枚の写真)を見てもわかるように画面構成に意を強く払っているようだ。特に左の迷路の絵は新しい試みだと思う。映画のワンシーンに使われる技法、一つの画面に別々の場面をクロスさせて観者に空間の違和感と好奇心を喚起させる手法だ。堺さんにとっては空間と人の存在・動きとのバランスが上手く表現できなかったように思える。その辺は次回の個展の楽しみにとっておこう。

 最近定年されたとお伺いした。二年前も個展をされた。必ず二年後も会うことができるであろう。

by sakaidoori | 2007-07-03 09:33 | 時計台


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