栄通記

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2007年 06月 27日

236) 時計台 「高橋伸展」・油彩 終了(6月23日まで)

○ 高橋伸 展

 会場:時計台ギャラリー 2階A室
    北1西3 札幌時計台文化会館・中通り南向き
    電話(011)241-1831
 会期:2007年6月18日(月)~6月23日(土)
 時間:10:00~18:00 (最終日17:00まで)


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 ↑:会場内のメイン部分。

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 ↑:「赫月」・2006年・200号。

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 ↑:参考写真作品。2002年・独立美術展図録より、「原野へ」・200号。


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 上の方の写真が大作で、下の4点の絵は小品です。

 4年前の独立展札幌会場で初めて見た。正直に言って、僕はあまり高橋世界に興味がもう一つ乗らないのです。乗らない理由に、裸婦を原野にあっけらかんと立たせていること、限りなくセクシャル性を後退させて、それでも裸婦を描かなければならない点に感情移入ができないからだと思う。エロスという視点から離れようとしても、どうも女の裸に意識がいって作品と自分の間に溝を感じる。一方で、これほどシンプルに絵として攻めてくる画家に対して、好奇心も沸いてくる。

 裸体だからトルソ(胴体だけ)風に描いたならばどうなるのだろう。逆に画家は顔のある人体に限りなき愛着と主張があるのだろう。女が裸でびしっとこちらを睨みつけている。造形性の追及なのだろうが、体格、体型がボディービルふうで威圧的である。敢て、手のあるのとないのを描いて効果を確認しようとしている。裸体に強さ、存在感があるので目も仕草も強く、絵全体が「強くあれかし」と叫んでいるようだ。
 小品の女はわかりやすくて好ましい。ざっくばらんな赤に囲まれて、焼けるような叙情性を感じる。作家は強い女、強い人間、強い絵が好きなのだろうな。

 会場に吉田豪介氏の案内文が用意されていました。高橋絵画の理解の一助になると思うので、抜粋します。

 「 伸びやかな肢体と強靭なマチエール   吉田豪介・美術評論家

 高橋伸は1950年・昭和25年生まれで苫小牧出身。・・武蔵野美大に学んだ。・・卒業時に主席優秀賞を受賞、・・大学院終了後に推薦されてパリ国立大学に留学・・・帰国した78年から彼は本格的に独立展出品を続け注目される新進作家となった。
 ・・・ここ10年あまり圧倒的に裸婦に集中している。・・80年代中葉・・アイロニカルな異貌の女や昆虫が登場していた。やがて90年代中盤からいよいよ裸婦が主題に押し出され、首がドクロや牛頭となったり、顔が真っ黒に塗られたりした裸婦が登場する。特に後半のSITUATION(局面)は寓意に富んだ昏い幻想性を見せ、裸婦の量感と存在感が増して、中山賞、高畑賞、独立賞を立て続けに受賞・・・。

 さて今回の個展は、二人構成の裸婦像大作が中心となって約20点で構成されている。裸婦の肢体はますますのびやかになり、二人が微妙に呼応するポーズに熟練したデッサン力を見ることができよう。また黒をアクセントとする色とマチエールが、画面の強靭さと豊満さを強化している・・・姿態を包む白と黒の対比には、生命の輝きを放射するコケットリーを感じられ、・・・。
 一方で、背景を含む絵画の構造から次第にかつての寓意性や物語性が後退し黒い地平線に大振りな抽象形態の色面が広がっている。高橋の狙いの一つに、原風景への回帰がある。この地平線と空の果てしない哀感、あるいは自然の猛々しさは、あの勇払平野の茫漠としたスケール感で生み出されている。そしてもう一つの狙いは、自然の森羅万象が営む生と死の輪廻である。生を謳歌する若き裸婦たちに、茫々と流れる時空の永遠を対比させてみる時、あらためてこの作家の表現意思あるいは理念が見えてくることになろう」

 僕の突っ込み不足を吉田氏の文章で補ってください。
 

by sakaidoori | 2007-06-27 13:36 | 時計台


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