2007年 06月 10日
○ 齋藤周 展 「いろんなことが想いになりたい」 会場:CAI現代研究所 北1西28 電話(011)643-2404 会期:2007年6月3日~6月21日(木) 時間:13:00~19:00 (最終日17:00まで) 栄通記に何かと紹介している齋藤周の個展である。今年開いた時計台ギャラリー、テンポラリーとインスタレーションによる展示では同じ。前者では2人展でセッティング時間に制約があり、後者ではアドリブ的個展であった。アドリブとは急な発表という意味だけでなく、発表空間やギャラリー・オーナ、武田浩志という共振性、藤谷康晴というエネルギッシュな画家などの有形・無形な刺激に感応しての意である。それぞれの発表に新たな試みをしたのは間違いない。興味深い齋藤顔を出していたと思う。今展はそれらの経験を踏まえつつも、満を持しての個展という感じである。 会場全体の写真紹介をします。 (続き。明日、簡単な言葉と部分写真を載せます。) CAIはどこか冷ややかな感じがする。暗い通路をすり抜け、半階段を降りるという構造だからだろうか。現代美術を発表し続けているという、場の蓄積によるからだろうか。白壁だが床はコンクリート剥き出しで反生活空間だからだろうか。そういう白壁に女学生を想い出風に描いている、演出している。氏の人となりや経歴・画歴を知らない人が見たならば、その少女趣味的オタクっぽさにどういう印象を持つだろう。そうなのだ、彼の画題と画風はどこかつまずきかねない要素をはらんでいる。彼は高校の教員である。当然だが、女子高校生といつも会っている。そこにリアルなモデルは描かれていなくても、彼女等の心理を表現したような青春群像を描き続けている。彼女達も男である教師の目を通して、あらためて自分等をみつめることになる。僕は前回、齋藤絵画を人間関係の距離感という視点で考えた。「あたかも自分の位置を不問にしたような場所で、他者を見ている」というような表現をした。人間齋藤は非常に優しい人である。同時に教員・画家としての冷たい目を持っている。バランス感覚のよさが絵にも表れていて、白壁と展示作品のバランス、壁と作品の白さと描かれた色や形のバランス、人のたたずまいと線とのバランス、線におけるデザイン性と肉筆性のバランス・・・。そういうバランスの良さを前提にして、毎回一点のキラリとした破綻しかねない要素を秘めている。それがあるから、毎回安心してばかりはいられない何かを感じて、次の発表を待っている。 今展の気になったことを箇条書き的に書きます。 来館者に感想分を求めている。ノートを何箇所かに置いて、前もって何らかの言葉が冒頭にかかれていて、次に何でもいいから書いてくださいという形式。会場の展示机は「書く」という意味で象徴的。もっともこの机は「隠す」、「しまう」、「開ける」、「のぞく」など暗喩的であるが。「書かせる」という作家の意図は強制的な面も優しく露骨に表に出ていたと思う。 いつも使っている緑色が入手困難な為と思われるが、その色を使うことはなくて赤が多くなり、たゆたゆしい白の世界に鮮明である。 線が鮮やかである。赤のデザイン的円弧と黒(鉛筆?)の肉筆線の対比が怪しげだ。 だから、今展は「赤と線」の世界といいたい。何かにこだわるオタク性としての「男性性」、初潮に思いをはせる「女性性」。
by sakaidoori
| 2007-06-10 23:51
| CAI(円山)
|
アバウト
丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
検索
最新の記事
ファン
カテゴリ
全体 ★ 挨拶・リンク ★ 栄通の案内板 ★アバウトの写真について ★ 目次 (たぴお) (時計台) 市民ギャラリー (写真ライブラリー) さいとう 大丸藤井スカイホール (ユリイカ) ミヤシタ テンポラリー af 北専・アイボリー CAI(円山) CAI02(昭和ビル) (大同) アートマン アートスペース201 大通美術館 STVエントランスホール コンチネンタル 資料館 門馬・ANNEX 百貨店 (カコイ・ミクロ) 4プラ・華アグラ 石の蔵・はやし (シカク) ☆道外公共美術館ギャラリー (アッタ) 奥井理g. ★ 案内&情報 ★ 訪問客数 ◎ 樹 ◎ 花 ◎ 山 ◎ 本 ◎ 旅・飛行機・船 ◎ 温泉 ◎ 個人記 ◎ 風景 ◎ 短歌・詩・文芸 ☆★ ギャラリー巡り 写真)光映堂ウエスト・フォー (いろへや Dr.ツクール) JRタワーARTBOX ポルト 写真)富士フォト・サロン 道新プラザ 紀伊國屋書店 S-AIR ◎ 自宅 (ニュー・スター) 札信ギャラリー (マカシブ) (自由空間) 真駒内滝野霊園 サード・イアー (どらーる) 区民センター ★★ 管理人用 山の手 富樫アトリエ (プラハ2+ディープ) ★ギャラリー情報 ★ パンフより 創(そう) (オリジナル) ATTIC 美容院「EX]内 ADP 粋ふよう エッセ ◎ 雑記 ★「案内版」アバウトの写真 ☆北海道埋蔵文化センター ☆三岸好太郎美術館 ☆本郷新彫刻美術館 ☆芸術の森美術館 ☆函館美術館 ☆札幌・近代美術館 ☆モエレ沼公園 ☆旭川美術館 ☆北海道開拓記念館 ☆帯広美術館 ☆関口雄揮記念美術館 (☆夕張美術館) ☆(倶知安)小川原美術館 ☆(岩見沢)松島正幸記念館 ☆(室蘭)室蘭市民美術館 ☆北武記念絵画館 ★その他 【道外・関西】 ー [石狩] [ニセコ]有島記念館 [岩見沢]キューマル 他 [音威子府] [深川] [苫小牧]博物館 [洞爺] ☆小樽美術館 市民ギャラリー [美唄] [江別] [室蘭] [小樽] [帯広] [恵庭] 夢創館 【北広島・由仁】 [函館] [夕張] [三笠] [赤平・芦別] 【幌加内(政和)】 (くらふと)品品法邑 (茶廊)法邑 (カフェ)れんが (ブックカフェ)開化 (カフェ)アンジュ (カフェ)北都館 (カフェ)エスキス (画廊喫茶)チャオ (カフェ・soso) (カフェ)ト・オン (カフェ)アトリエムラ (カフェ)サーハビー 槌本紘子ストックホルムキ記 (画廊喫茶)仔馬 (ギャラリー&コーヒー)犬養 Plantation CAFE BLANC(ブラン) - コレクション ■ 複数会場 公共空間 ー ◎ 風景 新さっぽろg. ー ○ 栄通日記 学校構内 ー ◎ライブ路上パフォーマンス 道銀・らいらっく (コジカ) ▲個人特集 (風景)サイクリング・ロード (風景)札幌・都心 A.S.T(定山渓) 趣味の郷 公共空間・地下コンコース 六花亭 ◎今日・昨日・最近の風景 500m美術館 Room11 アルテポルト・ART SPACE サテライト 【2010年旅行記】 【2010年 ロシア旅行】 【海外旅行】 【2012年上海旅行】 【震災跡地2回目の旅】 【2013旅行記】 ◎ 川・橋 OYOYO コケティッシュ ・我が家 レタラ カモカモ 北のモンパルナス チチ クロスホテル札幌 黒い森美術館 Caballer ▲原田ミドーモザイク画 SYMBIOSIS (ハルカヤマ藝術要塞) 群青(2016) チカホ space1-105 100枚のスナップを見る会 北海道市民活動センター 群青(2018) HUG(教育大文化施設) 札幌グランピスタ 大洋(大洋ビル) - 未分類 タグ
個展(242)
グループ展(183) 油彩画(183) 企画展(153) インスタレーション(115) その他(98) 学生展(93) 現代美術(74) 写真(71) 公募展(70) 写真展(59) 総合・複合展(43) 温泉・山・旅行・雑記(42) 彫刻・金属・ガラス・陶(40) 日本画(38) 北海道教育大学(37) 版画・イラスト(31) シルクスクリーン(26) 藤谷康晴(25) 卒業展(24) リンク
○ 美術関係以外
古い日記 (サカイ・ヒロシさんのブログ) ○ 美術愛好家のブログ Ryoさんのイートアート (サカモト・キミオさんのH.P.) 散歩日記V3 (SHさんのブログ) ○ 表現者のブロブ(相互リンク?) Photo Foto Blue (コバヤシ・ユカさんのブログ) 水彩の旅 (タケツ・ノボルさんのH.P.) アートダイアリー (マエカワ・ヨシエさんのブログ) 画像一覧
最新のトラックバック
以前の記事
2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2017年 08月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 02月 more... ブログパーツ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||