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栄通記

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2007年 06月 07日

212) テンポラリー 「有本ゆかり展」・水彩 ~6月10日まで

○ 有本ゆかり展  「ヤシンカの森ーインドからの風」

  会場:テンポラリー スペース
     北16西5 北大斜め通り・西向き 隣はテーラー岩澤
     電話(011)737-5503
 会期:2007年6月5日~6月10日(日)
 時間:11:00~19:00

 「ヤシンカってどういう意味?」
 「それは反対から読めば分ると思うの」 
 「あー、感謝ね、『うなかがめーゆ』と同じだね」
 「それと、今日、お客さんが言っていたんですけど、野心家ともとれますね」

 彼女の絵は野心にはほど遠い作風である。だが、その言葉を屈託なく受け入れている。野心家ー「その人に分不相応な望みを抱く人。新しいことに大胆に取り組もうとする人」、そんな意味であろうか。この場合は絵である。絵を描こうという姿勢の中に、野心を認めているのだろう。2階には昨年発表したという旧作を展示してある。部屋の構造上、以前の作品群を下から見上げて見ることになる。かわいらしい女性が優しく浮き出てくるように表現している。残念なのは輪郭を鮮明に描いて、表情もメルヘン的であれこれ感じるまでもなく主張がはっきりしているのである。絵が一人立ちする以前に彼女の願望、理想を投影しているのだ。野心があまりにも素直に出ているのだ。彼女の画風は心の状態を自然に紙に映し出すことだと思う。例え心象であっても何かを描こうというものではない。色と形が心を映し出したようにすることだと思う。画材の絵具もなるべく対象としてでなく、自分の分身の様な物として扱おうとしている。彼女の絵具は自然にあるものを選び取って、色にしているとのことだ。筆で描いていると思うのだが、優しく指先につけて、自分の体から滲み出た物のように色づけしている。部屋には山葡萄が新聞の上におかれていた。葡萄色を使うとき、その葡萄がなっていた自然を感じながら描いているのだろう。十色の自然の絵具は十の世界を旅することができる。絵具で自然の中を旅をして、呼吸をして風を感じているのだろう。描くことによって心の旅をしているのだろう。何かを口ずさみながら奏でながら。

 冬のテンポラリーのコンサートで初めてお会いした。着物姿で寒さのせいか、顔だけを出して、本郷新の「雪ん子」のような装いだった。季節は初夏に近づいている。「太陽と北風」のように服を一枚一枚脱いで、白いスカートと紫がかった上着とショールという服装。紫の好きな女性だ。難しい色だ。
 感謝と野心の有本ゆかり展だった。

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by sakaidoori | 2007-06-07 23:57 | テンポラリー


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