栄通記

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2007年 06月 06日

208) テンポラリー 「樫見菜々子展」・インスタレーション 終了(6月3日まで)

○ 樫見菜々子展  「微風」

 会場:テンポラリー スペース
     北16西5 北大斜め通り・西向き 隣はテーラー岩澤
     電話(011)737-5503
 会期:5月29日~6月3日(日)
 時間:11:00~19:00

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 不思議な個展だ。変な個展と言ってもいい。わずかな模様を付けた臭いのする白いカーテンからそれは始まる。吹き抜けの部屋には三羽の鳥、ぶら下げられた星型の縫いぐるみと、あるかないかの花びら・・・・床以外は白く塗られている。「かわいい」というには黒い鳥に違和感がある。鳥はすべてカラスだと言っていた。カラス、都会人にはゴミあさりをされて困ったものだが賢い生き物だ。ついつい観察してその動作を見てしまう。追い払っても距離感を保って離れようとはしない。しかも、顔はあっちを向いて、視線の方向には絶対に顔を向けない。近づけば横っ飛びであとづさりをして、こちらが馬鹿にされるだけだ。鋭い視線を向けないから仕草や表情はかわいい。

208) テンポラリー 「樫見菜々子展」・インスタレーション 終了(6月3日まで)_f0126829_13592647.jpg カーテンから始まる、といったがそれは間違いだ。家が見える所から物語りは始まる。訪問日は少し塞ぎの虫が入り込んでいて、そんな気分で歩いてテンポラリーの前に立った。まだ明るい夕方、白い鳥が二階の窓から見下ろしていた。すりガラス越しの鳥の表情は見えにくいが、何か威嚇しているような感じだった。同時に心のふさぎ虫はどっかに飛んでいって、部屋に入ると白い空間に二階の黒い鳥と対峙することになる。あっちを向いて少し羽根を動かして。白地の世界に黒を一点だけ書き込んでいる。樫見さんは白が好きだ。頭の中は白い部屋になっているのだろう。その限りでは心象風景の再現といえるかもしれない。そこに居る僕らもこういう世界、こういう表現があるのだなと驚かされる。実際心地良い、いろいろと考えさせられる。だが、白い部屋の中身が何なのかには樫見さんは関心がないようだ。作品として人に見せるのだから、優しく可愛いほうがいいというというだけかもしれない。とにかく空間を白くすること、実態としての場にしないこと、この世にこんな処はないが、間違いなくある世界。そういう世界を楽しんでいるようだ。白の世界に重なり合う無数の世界、それはブラック・ホールのような実態のある世界ではない。
 テンポラリーは日が沈む時、物語が始まる。自然光の明るい部屋が、たそがれ時の色をなしてくる。劇的な夕日はそんなには訪れない。日が無くなる時、光が部屋で踊りだすのだ。明度が刻一刻と変わり、微妙な色が浮いてくる。星型の縫いぐるみーそれは手製でぞんざいなつくりなのだがーがカーテン越しの光で、影が白壁で変化していく。墨黒のように薄く深く濃いい黒になっていく。時間とともに白で覆われていた世界がいろんな顔を出す。あたかも教会にたたずむ景色だ。だが、教会の光の変化は祈りへと集まる人達を束ねる。「樫見の白」は人の心にある世界に、普段とは違う世界を優しく悟らせてくれる。

 部屋に音楽がいつも流れている。まさしくBGMで、部屋を優しく目だ足させないで包んでいる。DMと同じく武田浩次君の担当によるものだ。武田君は自己主張よりも他人を引き立たせることが上手だ。樫見さんも昨年の「ラブリー展」の発表といい、他人と共演することに演出以上の価値を置いているようだ。訪問者がカラスの前に立つことによって、一つの物語が完結するのだろう。

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 (↑:階段を上って、覗いて見えるカラス。下からは見えない。今展は二階を歩くことはできない。ただ覗くだけ。)

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by sakaidoori | 2007-06-06 12:22 | テンポラリー


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