栄通記

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2007年 05月 24日

193) 黒木孝子考

 谷口顕一郎君のことを書いた記事について、やないさんから黒木さんに関するコメントを頂きました。
 その文中に2年前に「どらーる掲示版」に投稿した旨、記しています。昨年の誤りでした。管理人・坂本公雄さんの主体展レポートに関するレスという形での投稿です。関係のあるところだけ全文そのままに再掲します。興味のある方はRyoさんのいーとあーと から[3963]をのぞいてください。参考写真も載せます。


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 (↑写真①:黒木孝子展「1985年から2003年の500枚の小さな世界」のDM。2003年1月7日(火)~1月12日(日)、於ギャラリー・ユリイカ。)

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 (↑写真②:2003年 全道展カタログより。本文中の作品の3分の1の量。)

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(↑写真③:2005年、全道展のカタログより。本文中の作品の2分の1の量。) 


[3963へのレス] 全道展・主体展の黒木孝子さん 投稿者:栄通 (丸島) 投稿日:2006/06/22(Thu) 17:34

(少し遅い投稿になりましたが、お許しください)

 絵を見始めた頃、一所懸命に観て、考え続けた作家達がいた。黒木さん、全道展・小樽在住の西辻さん・・絵の持つおおらかさや優しさを学んだ、現代美術の谷口顕一郎君・・苦渋のユーモアや作家自身の哀しさを。

 三年前のことだ。黒木さんが年始早々にユリイカで個展を開いた。スケッチ・ドローイング展であった(写真①)。何年もの間、折にふれ落書き風に花や動物、建物などを描き記したスケッチ帳を、一点一点葉書大程に切り抜いて展示したものだった。五百点以上あっただろうか。線描に現れた作家の脳内世界、その移り変わりを見続けて飽きなかった。近作が特に気に入った。輪郭にこだわらないで伸び伸びと大らかで、線が踊っていた。
 その年の道内主体展で油彩の大作を初めて観た(写真②)。坂本さんが今展(写真③)で撮られた写真でも分かる様に、タテの直線を基調にした抽象画だった。その時はスケッチ画の延長上の中品もあった。弾けんばかりの線描だ。十色の世界が小活火山のように飛び跳ねて、島倉千代子の「人生色々」-ー女だからって慎ましいだけじゃ無いのよ、弾けて飛んで何をするのかわからないのよ、恋だって浮気だってーー黒木さんのかん高い声を更にオクターブ高めて歌っていた。なぜこの自由さが油彩に出てこないのだろうか?むしろ、なぜ自分を曝け出すようなスケッチ展をしたのだろうか?たとえ、オーナー鈴木さんのアイデア・きっかけがあったとしても。その時の油彩画に十字らしきものが中央上部に滲み出ていた。僕はこれを小谷氏の鎮魂(レクイエム)と見た。決して小谷さんは画家仲間や後輩達に強圧的影響を与えたとは思われない。彼女にとって小谷さんの死は精神的エア・ポケットと同時に自立えの契機になったのではなかろうか。彼女の中にある自由さ軽やかさと生真面目さ硬さという二面性。その後の発表作品に自由度の強い作品は消えた。何ごとも無かったかのごとく黒と黄を基調にした縦縞の世界に引きこもってしまった。確かに今展の作品(写真③)は以前のよりもリズミカルでどこか心が和む。表具のような装飾性、日常生活の中の気持ちいい壁紙とも生け花風とも言える。

 どうして曲線を使って自由度を高めないのだろうか。それを持っている人だと思う。もっともっと自分をさらけ出して、かろやかな女を演じてもらいたい。

 
 他、二人の作家のメモ書き。(以下省略。)

by sakaidoori | 2007-05-24 14:38 | ◎ 個人記


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