栄通記

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2007年 05月 21日

190) タピオ 「佐々木しほ個展」・布のコラージュ 終了(19日まで)

○ 佐々木しほ個展  ~胎動から躍動へ~

 会場:タピオ
    北2西2・中通り東向き・道特会館1F
    電話(011)251-6584
 会期:5月14日(月)~5月19日(土)
 時間:11:00~19:00 (最終日18:00)

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 1967年 札幌市生まれ
 1990年 東京蔵野美術大学彫刻家卒業
       以後、東京を中心に創作、発表をする
 2000年 作曲を始める
 2004年 体調を崩し、北海道に帰郷

f0126829_1052345.jpg ガーゼに薄く着色し、何枚かを重ね貼り付けして、アクリル板に挿んで展示したもの。一見するとガーゼの薄さやしまり無さがそよ風を表現しているようだ。「コンチェルト」、「シンフォニー」というタイトルの付いた作品がある。こんなタイトルばかりだったらいいのだが・・・・・。「夕闇」、「心の形」、「つながり」、これらは明らかに心象風景だろう。「庭園」、「自然に帰る」、自然讃歌のようだが、存在のありようの願望と捉えたい。D.M.にも使われた「春風」(80×110cm)の右横に「在るべきときとして在るもの」(写真掲載)、「確固たる宇宙」という小品2作が並んでいる。作品としてはこれ等が最も落ち着いて見れたし、作家自身の現在の心境のように思えた。特に前者に「私はそこにいる。何があってもここにいる」と宣言しているような自信と力強さを感じた。総合タイトルに「胎動から躍動」とあるのは、「私もいろいろあった。だがようやく自分に立ち返り、自分を取り戻し、再出発をしようと思う。時は春、命あるもの達が胎内の大地から姿を現すように、私も躍り出よう」という意味だろう。だがこの総合タイトルは作家の意思・意欲であっても、作品群からは別の何かを感じるのだ。
 会場のコーナーには立体作品が置かれてある。作家の経歴を見るに、彫刻から出発し、立体を中心に創作活動をしているようだ。ガーゼは立体の面を表し、立体を解体して再構築しようとしたものだろう。織物作家が布としてのガーゼに注目したのとは違う。立体作品に表現しきらないものが大きくなってきて、それでいて立体を手がける精神までは否定できなくて選んだ素材がガーゼではなかろうか。立体作品は削ったり加えたりする素材そのものに対して絶対の信頼を置いている。素材は物ではなく、作者自身の肉塊と精神の代替物とまで言っていいかもしれない。「信、不信を問はない」物の塊が素材なのだ。それは同時に自分自身の確認であり、自己飛躍でもあるだろう。作家・佐々木女史は素材に対峙する自分自身への揺らぎがガーゼという道を選んだのではないだろうか。ガーゼ・・・それはまるで皮膚のようであり、裏が透けて見える。おそらく女史は裏が見たいのだ。眼(まなこ)をつぶった闇夜の透視ではなく、光燦燦とした白昼に、目を大きく開いてみたいのだ。存在の実在性を確認したいのだ。

 今展を見ていると何ともいえない食い違いを感じる。痛々しいとまでは言えないが、ほのかにきつい隙間が垣間見える。「作家と作品」に、「作家の表現したい事と、表現した事」に、「作家と作家自身」に。
 作家は今表現意欲が旺盛だ。おそらく、深い悩みから浮き上がってきた時期なのだろう。お話を伺っていると、とても一途なところがある。芸術を志す人にとって、非常識とも思える頑固さは素晴らしいことだと思う。日常生活では隠れている何かが、作家の活動を通して浮かび上がってくるかもしれないのだ。それが女史の言葉の「癒し」になるかどうかはわからないが、見るものを刺激するであろう。発表の機会が膨らめばと思う。

 モエレ沼公園のガラスのピラミッドの空間に、ガーゼを立体のように組み合わせて展示したいという望みを語っていた。公立の建築物に直ぐに希望がかなうとは思えないが、実現できたら真っ先に見に行こう。

 昼をかなり過ぎた時間に訪問した。彼女は音楽もする人だ。弁当のおにぎりを食べながら電機鍵盤のヘッド・ホーンから流れるジャズ演奏を楽しむことができた。ありがとう。

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by sakaidoori | 2007-05-21 09:17 |    (たぴお)


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