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栄通記

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2007年 05月 19日

187) ミヤシタ 「だて まこと展」・油彩 ~5月27日まで

○ だて まこと展

 会場:ギャラリーミヤシタ
    南5西20-1-38 西向き  
    電話(011)562-6977
 会期:5月9日~5月627日(日)
 休み:月曜日
 時間:12:00~19:00 (最終日17:00)

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 僕はだて君の個展を見るのは3回目だ。だから、思わすこういう言葉がでてくる。「明るくなりましたね。どうしたんですか」と。でも、初めて見る人は発色豊かな抽象画にどんな思いをするのだろう。間違いなく抽象画なのだが、画家は自分の絵を抽象画とは思っていない。今展の絵はポロック風の背景に厚めの弧や直線を黒く描いたのがほとんどだ。背景はともかくとして、模様の弧や直線は画家にとっては単なる幾何学模様ではないのであろう。意味のある模様だから自分の絵を抽象画といいたくないのだ。それではどんな意味や思いを模様に込めているのだろうか。それはわからない。だて君とは作品の前であれこれと話したが、「この模様の意味は何ですか?」などとは聞かなかった。そんなことを製作者に聞いても仕方がないことだ。

 以前のだて絵画は十字の模様を酷使していた。支持体(キャンバスなどの描かれる物)は大きめの贈答用の箱の大きさ位で、かなりの厚みがあり、正面は十字でくりぬいていた。工作の要素の高い作品群だった。色も茶系で暗かった。色合いといい、十字は西欧的な「死」、「原罪」を象徴しているようで、あまりに表現姿勢が安易過ぎて批判したことがある。その時は批判されることは予想していているかのようで、それでいてはっきり言われて顔を背けがちだった。そむけるというより自問自答気味で言葉を選んでいる風情だった。あまりに今展が明るいので、以前との違いを質問した。ーー5年ほど続けました。自分でテーマというか型を決めて、ある年数同じ事をしています。続けないといけないところがあると思っていますし・・・・。十字を表現すれば、象徴的に見られるのはわかっています。僕自身も始めから意識していました。明るくなりましたね。何故かって?何故でしょうねーー今展のだて君は作品のみならず、とても明るい。こんな明るい絵を毎日見ていると恥ずかしいことだろう。論理的に受け応える表情にも、時折片目をつぶったり、ピンク顔になったりして、人間臭さいところを見せてくれる。実験作として明るくしたかどうかは知らない。違うと思う。2年前の「美術ぺん」で、彼の寄稿文を読んだ。「十字絵」に対する内省を書き、今後は身体性を加味したいと書いていた。昨年の展示は十字を残しながらも、玉手箱のような小さな物を展示していた。鑑賞者に、「これは何だろう?」と身をかがませるように仕向ける意図だと思う。「かがめる」という身体性は「屈めさせる」という作家の強制でもあった。今展では作家自信が「明るさ、うごめく模様」ということで心を体を動かし始めた。作家の恥じらいを込めた動きに、僕は好感を持ってスイングした。今展を「恥じらい、色・模様シリーズ」と名づけよう。もっともっとだて君自身が振幅を大きくして欲しい。その方が見るほうは楽しいのだ。

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 ↑最後に仕上げた作品。下の作品よりもふた回り大きい。やはり、明るく大きくで終わるにはてらいがあるのだろう。大きい分だけ、作家の思いの強い作品だろう。模様は黒に見えるが、緑がかった色を混ぜているようです。落ち込む「黒」でなく、深みのある「黒」という感じ。

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 ↑300mm×420mm。今展はこの大きさが基調。タイトルの表示は全てありません。金襴緞子の帯のよう。



187) ミヤシタ 「だて まこと展」・油彩 ~5月27日まで_f0126829_9171480.jpg →ミヤシタ近くの、東西通の桜並木。満開だ。

by sakaidoori | 2007-05-19 09:24 | ミヤシタ


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