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栄通記

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2007年 05月 18日

186) CAI 「高橋喜代史個展」・現代美術 ~5月26日まで

○ 高橋喜代史個展  ハイブリッド・アート
      現代アートと書道のハイブリッド・アーティスト

 会場:CAI現代研究所
     北1西28
     電話(011)643-2404
 会期:5月12日~5月26日(土)
 時間:13:00~19:00 会期中無休


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 1974年 北海道妹背牛生まれ
 1999年 CAI卒業
    その後、ヨーロッパなどを遊学、先日まで東京に居てグループ展に参加していたが、今回CAIにて初個展

 ドーンとキヨシ、キヨシのドーンと展だ。

 CAIの入り口・右壁に「ドーン」という大赤文字を白壁から180cmくらい飛び出させた、ただそれだけの展示だ。厳密には机のある部屋にロケットのような物やその噴煙のような書があるのだが、それらはグリコのおまけに過ぎない。書を含めてお披露目に過ぎない。

 この「ドーン」は何だろうか。
 同席していた若い女性に感想を聞いてみた。
 「いやー、部屋に入るといきなりあれが目に飛んできて、いいっすねー。具体的になんて言ったらいいかわからないですが、いやー、いいっすねー」
 彼女は作家とは知り合いだ。好意的に見ているから客観評価からは遠いかもしれない。この女性は本当に天真爛漫というか正直なもので、驚いては奇声を上げるし、僕の話を目を点にしたりクリクリしたり、ほっぺを赤くして真剣に聞いてくれるし、キヨシ「ドーン」の会場にはうってつけの人であった。その喜びには嘘がないと思う。
 作家本人に作品について聞いたところ、「意味は無いけど、意思はあり」とのことだ。ついでに言えば、「意欲もあり」ということだろう。「意思」は「石」に連がる。硬い決意が今展に充満している。もちろん、作家は現代美術に関わり、常にそのことを考え悩みもしているだろうから、「イッパツ太郎」のような単なる花火根性だけで「ドーン」を作ったわけではないだろう。芸術、美術、現代美術に対する皮肉めいたことも「ドーン」には含まれるかもしれない。しかし、そういう作家の秘めた目論見などは鑑賞者には無用だ。今展を男キヨシの再出発展としてとらえればいい。作家の出発展として確認しておけばいい。
 こういう作品展は一回だけで終わらせてはいけない。それでは単に人生の経験の一こまになってしまう。表現者としては扱われない。発表し続けることによって、後から「ドーン」の意味も我々に迫ってくるであろう。

 それにしても骨太でストレートな表現である。彼は妹背牛生まれの妹背牛育ちだ。要するに田舎者だ。高校時代は野球をしていたという。クラブがそれとバスケしかなっかたからだ。スポーツ系の男だ。妹背牛ー石狩川と雨竜川に挟まれた平らかな田園地帯。米どころだ。冬は起伏の少ない平地を埋める白の世界、春は一斉に緑なし、夏はひたすら青空の下でボールを追っかけ、秋には黄金色に輝く大地を目にするのだ。大胆な四季の変化と変化少なき日々の生活がキヨシの原風景かも知れない。田舎出身のスポーツ系の男が芸術に親しみを持ち、都会に出てきた時にどういう心境になるのか。おそらく、挫折と悔恨の繰り返しだろう。それでも止みがたき作家精神を高めるにはどうしたらいいか、定住・常住を避け、「一人で在ること」によってしかプライドを育てる方法は無いのであろう。今展終了後、ニュー・ヨークに二ヶ月ほど旅すると言っていた。当ての無い旅とのことだ。書の腕前が役に立つだろう。その後は札幌に帰るか、東京に再び行くかは決めていないとの事だ。どこに行っても構いはしない。機会があれば札幌で再び見たいものだ。その時はキヨシ・ワールドを具体的に語ろう。

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 書作。右の「野鳥」は同席した女性のリクエストで書いたもの。彼は「無」が好きだから、「鳥」はどこか「無鳥」と見えてしまう。赤い「落款」の位置に注目してください。黒い書に、白地に迫る赤の落款は書の最後の仕上げであり、美的効果や作家の意思が決定される。極端に右下隅に刻された赤は特徴がありすぎます。僕なら「鳥」の左横に押したいが・・・。

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 (後で若干の文章を書きます

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by sakaidoori | 2007-05-18 15:09 | CAI(円山)


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