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栄通記

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2007年 05月 16日

184) さいとう 「大山由之回顧展」・水彩 終了(4月10日まで)

○ 大山由之記念美術館25周年展

 会場:さいとうギャラリー
     南1西3 ラ・ガレリア5F全室
     電話(011)222-3698
 会期:平成19年4月10日(火)~4月15日(日)
 時間10:30~19:00(最終日は17:00)

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 14日に時間ギリギリに行った。紹介を書きますと言って、一月近くなります。遅くなってすいませんでした。大山由之美術館の案内と氏の略年譜を末尾に記していますので、電話連絡を図って観覧してください。

 大山美術館はもみじ台の新興住宅地にある。河西さんの自宅を開放して記念館にしている。母屋とは別に二階建ての建物で、僕が行った時は二階が作品だけの展示で、一階は小品やポスト・カード、資料などがあり、喫茶室も兼ねてあった。当然訪れた人は民家だから挨拶をした後、まず二階に行って作品鑑賞をして、階下に降りて河西さんと四方山話をすることになる。河西さんは三岸好太郎が好きだというので、その美術館の話になり、美術館を運営している関係で、豊平の北武記念館の話に移り、近くの北海学園に話が及び、河西性が気になってお伺いすれば、なんと大昔に学園Ⅱ部の経済ゼミでお世話になった先生のご自宅であった。世間は狭いというか札幌は人口100万以上を抱えているが、いつどこで誰に会うかわからないものだ。絵と僕の恩師とは全く関係ないし、婦人も「絵は絵、夫は夫」とおっしゃていたが、それはそうなんだが30年弱の時間が一気に目の前から飛んでいってしまって、第二の青春時代が思い出されて、それまで河西さんに失礼な会話をしたのではないかと急に我が身が恥ずかしくなり、かなり滞在していたから気もそぞろでお暇をしたのを記憶している。
 3、4年前の訪問だった。その頃は土・日を開放していて、館運営も区切りのような時期に来ているとおっしゃていた。最近は常設だが希望者だけに開放しているようだ。形はどうであれ、一般人に絵を開放して25年にもなるとはとても感心なことだと思う。河西さんは大山氏の晩年の弟子で、本人は画家としての限界を感じ、遺族の承諾の下で作品を委託管理して大山水彩作品を世間に紹介し続けている。

184) さいとう 「大山由之回顧展」・水彩 終了(4月10日まで)_f0126829_13191754.jpg さいとうギャラリー全室の展示は自宅の展示よりも贅沢だ。その時見た作品もあったが、全然系統を別にするよな作品もあって、ゆっくり見れなくて残念であった。
 一見すると大山作品は古いという感じがするであろう。確かに果物などの静物画は和室の玄関に合っているだろう。床の間の掛け軸の代わりにもなるだろう。おそらく旧来の余白の美意識に生きた人間が小品の水彩に白の美しさを反映しているからであろう。民家のある山間(やま184) さいとう 「大山由之回顧展」・水彩 終了(4月10日まで)_f0126829_13222443.jpgあい)の風景画や例え工場群であっても街並みは昔の日本画・水墨画の桃源郷の味わいがする。味わいがするが僕は氏の小さくまとめた風景画に限りない愛着を感じる。工場の煙をことさら汚くも美しくも描かないで、なんとも慈しんで表現している。対象に対する愛情がそうさせるのだろう。僕自身は僕と風景の間に溝を感じている。「僕は僕、君は君」という無関係というか一直線に結ぶ情念に欠けている。だから、画家が風景と本当はどういう関係なのか知識としては184) さいとう 「大山由之回顧展」・水彩 終了(4月10日まで)_f0126829_13263677.jpg疑問に思うことがあるのだが、絵としてみた時に、画家の心根とは違って信用したくなる。今展で抽象画と勘違いする作品にもであえた。こういう絵は近代において絵を追求していけば油彩・水彩に関係なく画業として必ずでてくる問題なのだろう。特に北国の自然は風景そのものが単色で覆われるという日本人としては特異な経験のできる場所だ。生活上にとっては雪は厳しさそのものだが、生活が全てを受け入れて成り立つとしたら、なんとも美しいものではないか。雪の白、空の青、海の青だけの世界、風は何色だろう?民家の屋根だろうか漁火だろうか、わずかな点が人のいる証。

 大山氏の風景画は一体感の表現なのか、願望なのか、ノスタルジーなのかは知らない。発色を抑えた完結美。自宅という絵画館はなかなか訪ねにくいものですが、「何でも見てやろう精神」で訪れて下さい。作品はほとんど小品です。人生経験といい、どこか倶知安の小川原を思い出させる。実際、小川原の最晩年の作との共通性を思う。小品にこだわる辺りは熊谷的である。

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☆ 大山由之記念美術館

 内容:大山由之の作品、絵画76点余りの内、約25点常設展示。蔵書1400冊余も公開展示。(美術関係多数)
 開館日時:事前の予約により開館致します。
       5月1日~10月末日。それ以外は原則休館。
       11:00~17:00
 会場:札幌市厚別区もみじ台西7-11-10
     地下鉄東西線「新札幌」下車、JRバス(南レ-ン乗り場③)・環状線71or72(約7分)「もみじ台西7丁目」下車、徒歩1分。
 電話:011-897-6513
 館主:河西(かさい)久美子

 大山由之略年譜
 1911年 北海道北見市に生まれる
 1932年 日本大学工科建築家卒業
 1935年 中国大陸に渡る。シルクロードを遍歴、篆刻を学ぶ。 
 1943年 画会双鯉社主宰。藤田嗣治、安井曽太郎の知遇を得て一派をなす。
 1944年 満州国文教部芸文聯盟委員、同国展無鑑査。
 1946年 終戦により帰国。いずれの画会にも属さないことを決意、孤高の画業に専念。
 1976年 札幌丸善に於いて第1回個展開催。1981年までに個展6回。
 1982年 71歳、永眠。

by sakaidoori | 2007-05-16 13:28 | さいとう


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