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栄通記

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2007年 05月 08日

173) 法邑 「艾沢詳子個展」・版画展 ~5月19日(土)まで

○ 艾沢詳子 版画展  ー闇のシナプスー

 場所:茶廊法邑
    東区本町1条1丁目8-27
    電話(011)
 期間:5月3日~5月19日(土)
 休み:定休日・火曜日
 時間:10:00~18:00(最終日は16:00まで)

 1949年 夕張郡由仁町生まれ
 1974年 渋谷栄一に版画を師事
 1977年 ヨーロッパに二ヶ月滞在、7カ国をめぐる
 1985年 奨学金によりニューヨークで研修
 1997年 北海道文化財団の助成によりニューヨークで研修
  現在、札幌在住

173) 法邑 「艾沢詳子個展」・版画展 ~5月19日(土)まで_f0126829_20181141.jpg
 会場に作家が居なくて、写真紹介は省略します。冒頭ににD.M.を載せました。今展は大きめの版画の展覧会なので、個々の作品はこの写真と同じようなものです。この作品の大きなのが法邑の広い長方形の壁にゆったりと飾られていると想像してください。女史が最近発表している、小さく丸めた新聞などに蝋(ろう)をからませて、それらお束ねて異形の空間を再現した展示ではありません。会場に行く通路の明り取りの足元に、それらはかわいく幾つか並べられています。僕は蝋作品が法邑の会場にうるさく固まってているのを期待したので、少しガッカリしたが、直ぐに作家の意図を勝手に判断した。

 女史は版画家である。いつ頃から今のような版画を発表するようになったかはしらない。全道展に発表していたと聞いたので、古い図録を調べれば女史の変遷がわかるかもしれない。それはともかく、女史の版画は蝋作品と同じく見る人に強い印象を与える。心の闇のざわめき、薄気味悪さをかいま見るような雰囲気がある。あるいは、大地の中の目に見えぬ生き物が、今から這い出そう、這い出て飛び跳ねた瞬間を見る思いだ。もしかしたら大地そのものが不可思議な生命体そのものかもしれない。太陽の黒点のよなものかもしれない。そういう版画の二次元的世界に満足できなくて蝋作品によるインスタレーション、三次元の世界に新たな表現者としての活路を見出したのであろう。今展は似たような版画を壁一面に這いまわすことによって、それらに囲まれた空間が、あたかも蝋作品で満たされたようにしたいのであろう。立派な木の椅子しかない長方形の何も無い空間に、鑑賞者各自がどれだけ目に見えないものが、「見えた」と思える展示になったかどうか。作品にそれだけの力があるかどうか。D.M.の作品を凝視し、目をつぶり広い空間に一人椅子に座りたたずんでいる姿を想像してください。その空間に艾沢女史の「闇のシナプス」が実感できるかどうか、彼女は我々にそれを「見ろ」と強制している。たとえそのことが避けたいことであっても。

173) 法邑 「艾沢詳子個展」・版画展 ~5月19日(土)まで_f0126829_20195924.jpg173) 法邑 「艾沢詳子個展」・版画展 ~5月19日(土)まで_f0126829_20211686.jpg







 (右の写真は「芸術の森インスタレーション#6 艾沢詳子展」図録より)

by sakaidoori | 2007-05-08 20:33 | (茶廊)法邑


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