栄通記

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2007年 04月 15日

139) 時計台 「二人の個展」・油彩画 4月14日まで(終了)

○ 西澤弘子個展。菊池美智子個展。

 会場:時計台ギャラリー 2階A・C室
    北1西3 札幌時計台文化会館・中通り南向き
    電話(011)241-1831
 会期:4月9日~4月14日(土)
 時間:10:00~18:00 (最終日17:00まで)

 西澤さんと菊池さんの個展には何のつながりもありません。たまたま個展会場が同じだというだけです。面白いことに、二人ともこの10年近くの作品を一同に並べて、新旧の比較、現在の自覚、今後の展望を計られているのです。会場の妙というもので、僕には二人が別々の流れで、全体で二人展ののように感じ、そう見がちになったのです。そういうわけで、二人の作風の違い、会派は違いますが道内公募展で研鑽されている共通性、個展に取り組む姿勢の差異など、いろんな意味で二人を全体で鑑賞できて面白かった。その辺を汲み取って、二人の作品写真を見てもらいたい。年齢や細かい画歴を紹介できれば更に膨らむのでしょうが、そこまでは今回は論考しません。

① 西澤弘子個展の場合。

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 (第74回独立展出品作、「海鳴り(待つ)」s100。)

 D.M.によると初個展です。全道展、独立展を中心に発表を続けたこの10年近くの大作を展示してあります。会場入り口の自己紹介に「・・生まれ育った道南のせたな町大成区久遠の海岸、群れて存在する漁具を中心に、描くことが楽しくて、ノスタルジーを表現してしてきました」と、あります。ノスタルジーといっても非常に力強い。ご本人はスカイ・ダイビングをされているとのこと。現在のパワーとご自身の性格的なものが回顧調だけには収まりきれずに、年々画題にエネルギーを注ぎ込んでいるようです。硬く暗く綺麗に描こうという初期の作品が、近作ではまるで海の中から飛びだそうとしています。ロープや、何の漁具だか解りにくいのですが、蛇のようにうねうねとしていて、怪しげな生命力を表現しています。海に潜る体感、刻一刻と変化する視覚体験が絵画表現へ生かされているのでしょう。単なる体験の絵画への応用を超えて、「西澤にとっての絵画とは何か」ということの現場そのものになっているのかもしれません。

 初個展ということで戸惑いがあったと思います。展示場の気付いた点を書かせてください。回顧的個展ですから、各作品には制作年を明記して欲しかった。少しキャプションが小さいように感じました。何よりも、西澤さん御自身がいろいろと勉強なされたことでしょう。今後の個展の予定はわかりませんが、今回の経験を生かされて再チャレンジを希望します。

 今回の写真撮影はあまり言い出来ではありませんでした。西澤さん、すいません。青みの強い作品が古い作品、近作は写真よりも元気です。


② 菊池美智子個展の場合

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 (左から、「森からの恵み Ⅰ」F100。「森からの恵み Ⅲ」F30。「絶えざる光を」F30。)

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 (ともに「花車の詩」F80。)
 
 新道展会員。時計台ギャラリーのH.P.によると、「60代最終年を機に15年ぶり5回目の展示、メルヘンの世界を感じ取って頂けたら」と、あります。

 一番上の作品が近作です。下が比較的古い作品です。写真では解りにくいのですが、近作とそうでない作品との違いは観察すれば明瞭です。画題としてのふくろうが近作では羽根のふわふわ感をだして、黄色とあいまって目立たせるように描かれているのです。黄色が派手なだけ、全体の色合いは夜のダーク・グレー調になっています。ということは、以前は一つ一つの画題にはこだわらないで、にぎにぎしく、全体を明るくしてメルヘンの世界を表現していたということになります。近作がやや暗い色調といっても内にこもったメルヘンを表現したいというだけで、暗い世界ではありません。ところが、展示の妙で、全体構成がおかしなことになっているのです。縦長の部屋の奥に近作を纏めて展示していて、入ってすぐに見える位置に意識して明るい旧作を展示しているのです。そうすると、全体の作品から受ける印象が暗い感じになって、本来見せたかった最近の「菊池メルヘン」の世界が何とも中途半端になっているのです。しかも、西澤さんと同じで制作年が不明なので、作家の意図である近作の成長の姿がわかりにくくなっているのです。その辺を菊池さんにお話したら、同じような感想を述べられた方がいるみたいで、展示の難しさを感じておられるようでした。
 いろんな意味で、展示に慣れることを普段に意識的にしていないと、折角の個展がもったいない部分を残すことにもなりがちだと思いました。個展を毎年開くことは物理的にも精神的にも大変だと思います。小品展の開催、数人のグループ展への参加などで経験をつむしかないのでしょう。

 西澤さんの力強い作品をを見た後に、菊池さんの形も構成も崩して遊び心を中心にした作品を見ると、全体で一つのような変な安心感に捉われました。

by sakaidoori | 2007-04-15 12:59 |    (時計台) | Trackback | Comments(0)
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