2007年 04月 10日
○ ST-GATTARY(徳丸滋・しげる私設ギャラリー) 場所:虻田郡倶知安町山田74 電話(0136)22-1765 油彩画家・徳丸滋氏のギャラリーを訪問した。 正面に羊蹄山の東面を望み、ニセコアンヌプリの西麓に位置している。ニセコには美術館や登山できる山もあるので、その都度訪れることは無いが、いつも親しい気分で辺りをうかがっている。南の方に1000m足らずの昆布岳がある。2時間ぐらいで登れる安易な山だ。登る楽しみは少ないが頂上からの展望は素晴らしい。ニセコの山、羊蹄山、昆布岳に囲まれた平地地帯がすっぽりと見晴らされ、大地が波打った感じで目に迫る。そこから徳丸ギャラリーが建物は樹に囲まれて定かではないが、間違いなく位置が確認できる。氏は1978年に銀行を辞められ、以来その地で絵画制作中心の生活をされている。 3回目の訪問。小川原美術館を4時頃に出てからだから、少し遅い。失礼とは思ったが、雪の残るギャラリーをどうしても訪れたかった。玄関先でバケツを持った姿で鉢合わせた。室内の掃除中のようだった。 ところで、青の世界だ。近代美術館所蔵の「森」(1982年、50歳頃)という作品がある。夜中に羊蹄山を登山中に5合目辺りで出くわしたダケカンバの大木を描いた絵だ。青の夜陰に一本の大樹を生命力みなぎらせて、更に土からあふれた根っこをのた打ち回らせ、克明に描写している。孤樹を描いているのに、タイトルが「森」というところに画家の思想が現れている。「全体と個」が、「見えない森と描かれた樹」に、更に「幹と根」に。そうであっても、80年代の力点は一木一草の生命の秘密の真っ只中に入り込み、絵筆でえぐり出そうというダイナミックさがあった。ピンクのマツとは違った若さがあった。(そうなんだ、徳丸氏は常に若い絵を描いているのだ。)時期を確定することは出来ないが、氏は生命の末端に入り込んで格闘することによって、和解したようだ。本来の生命讃歌の願望を素直に表現されているようだ。全体と個の融和が図られ、画面一杯に生きとし生きるものをうたいあげようとしている。「ピンクのマツ」は完形としてはマツしか描かれていないが、もやったピンクの向こう側に楽しげに森に住む生き物達の静かなざわめきが聞こえるようだ。 構図やデッサンのことをうかがった時に聞いた言葉である。 「最近は厳密に構図は決めていないですね。いいかげんなんですから。下塗りをしながら、じっくりキャンバスに向き合って、向こうから出てくるものを表現するようにしていますね。・・・どこで筆を置くかですって。ついつい描き過ぎちゃうんですね・・・・」ニコニコと笑いながら応えていただいた。ゆったりと時間が過ぎていった。これほど画家との話が盛り上がるとは望外の喜びである。おそらく、僕のレベルに合わせて言葉を繋いでくれたのであろう。僕の方は何時までもいたかったが、長居は失礼と思い、違う意味で長く話し込むことに焦るようになった。やはりお邪魔しすぎたようだ。ニセコアンヌプリのスキー場が明るく点灯していた。 柱に挿まれた二枚の作品が壁の中でつながって見えてしまった。不思議に眺めていると咄嗟に外して二枚が合い寄り添うことになった。図像的には曼荼羅画です。八百万神的な一木一草の全体のありようを象徴的に表現した物だと思います。手前の川も象徴的です。
by sakaidoori
| 2007-04-10 16:21
| ☆(倶知安)小川原美術館
|
アバウト
丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
検索
最新の記事
ファン
カテゴリ
全体 ★ 挨拶・リンク ★ 栄通の案内板 ★アバウトの写真について ★ 目次 (たぴお) (時計台) 市民ギャラリー (写真ライブラリー) さいとう 大丸藤井スカイホール (ユリイカ) ミヤシタ テンポラリー af 北専・アイボリー CAI(円山) CAI02(昭和ビル) (大同) アートマン アートスペース201 大通美術館 STVエントランスホール コンチネンタル 資料館 門馬・ANNEX 百貨店 (カコイ・ミクロ) 4プラ・華アグラ 石の蔵・はやし (シカク) ☆道外公共美術館ギャラリー (アッタ) 奥井理g. ★ 案内&情報 ★ 訪問客数 ◎ 樹 ◎ 花 ◎ 山 ◎ 本 ◎ 旅・飛行機・船 ◎ 温泉 ◎ 個人記 ◎ 風景 ◎ 短歌・詩・文芸 ☆★ ギャラリー巡り 写真)光映堂ウエスト・フォー (いろへや Dr.ツクール) JRタワーARTBOX ポルト 写真)富士フォト・サロン 道新プラザ 紀伊國屋書店 S-AIR ◎ 自宅 (ニュー・スター) 札信ギャラリー (マカシブ) (自由空間) 真駒内滝野霊園 サード・イアー (どらーる) 区民センター ★★ 管理人用 山の手 富樫アトリエ (プラハ2+ディープ) ★ギャラリー情報 ★ パンフより 創(そう) (オリジナル) ATTIC 美容院「EX]内 ADP 粋ふよう エッセ ◎ 雑記 ★「案内版」アバウトの写真 ☆北海道埋蔵文化センター ☆三岸好太郎美術館 ☆本郷新彫刻美術館 ☆芸術の森美術館 ☆函館美術館 ☆札幌・近代美術館 ☆モエレ沼公園 ☆旭川美術館 ☆北海道開拓記念館 ☆帯広美術館 ☆関口雄揮記念美術館 (☆夕張美術館) ☆(倶知安)小川原美術館 ☆(岩見沢)松島正幸記念館 ☆(室蘭)室蘭市民美術館 ☆北武記念絵画館 ★その他 【道外・関西】 ー [石狩] [ニセコ]有島記念館 [岩見沢]キューマル 他 [音威子府] [深川] [苫小牧]博物館 [洞爺] ☆小樽美術館 市民ギャラリー [美唄] [江別] [室蘭] [小樽] [帯広] [恵庭] 夢創館 【北広島・由仁】 [函館] [夕張] [三笠] [赤平・芦別] 【幌加内(政和)】 (くらふと)品品法邑 (茶廊)法邑 (カフェ)れんが (ブックカフェ)開化 (カフェ)アンジュ (カフェ)北都館 (カフェ)エスキス (画廊喫茶)チャオ (カフェ・soso) (カフェ)ト・オン (カフェ)アトリエムラ (カフェ)サーハビー 槌本紘子ストックホルムキ記 (画廊喫茶)仔馬 (ギャラリー&コーヒー)犬養 Plantation CAFE BLANC(ブラン) - コレクション ■ 複数会場 公共空間 ー ◎ 風景 新さっぽろg. ー ○ 栄通日記 学校構内 ー ◎ライブ路上パフォーマンス 道銀・らいらっく (コジカ) ▲個人特集 (風景)サイクリング・ロード (風景)札幌・都心 A.S.T(定山渓) 趣味の郷 公共空間・地下コンコース 六花亭 ◎今日・昨日・最近の風景 500m美術館 Room11 アルテポルト・ART SPACE サテライト 【2010年旅行記】 【2010年 ロシア旅行】 【海外旅行】 【2012年上海旅行】 【震災跡地2回目の旅】 【2013旅行記】 ◎ 川・橋 OYOYO コケティッシュ ・我が家 レタラ カモカモ 北のモンパルナス チチ クロスホテル札幌 黒い森美術館 Caballer ▲原田ミドーモザイク画 SYMBIOSIS (ハルカヤマ藝術要塞) 群青(2016) チカホ space1-105 100枚のスナップを見る会 北海道市民活動センター 群青(2018) HUG(教育大文化施設) 札幌グランピスタ 大洋(大洋ビル) - 未分類 タグ
個展(242)
グループ展(183) 油彩画(183) 企画展(153) インスタレーション(115) その他(98) 学生展(93) 現代美術(74) 写真(71) 公募展(70) 写真展(59) 総合・複合展(43) 温泉・山・旅行・雑記(42) 彫刻・金属・ガラス・陶(40) 日本画(38) 北海道教育大学(37) 版画・イラスト(31) シルクスクリーン(26) 藤谷康晴(25) 卒業展(24) リンク
○ 美術関係以外
古い日記 (サカイ・ヒロシさんのブログ) ○ 美術愛好家のブログ Ryoさんのイートアート (サカモト・キミオさんのH.P.) 散歩日記V3 (SHさんのブログ) ○ 表現者のブロブ(相互リンク?) Photo Foto Blue (コバヤシ・ユカさんのブログ) 水彩の旅 (タケツ・ノボルさんのH.P.) アートダイアリー (マエカワ・ヨシエさんのブログ) 画像一覧
最新のトラックバック
以前の記事
2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2017年 08月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 02月 more... ブログパーツ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||