2007年 03月 24日
○ 高田稔・個展 会場:たぴお 北2西2・中通り東向き・道特会館1F 電話(011)251-6584 会期:3月19日~3月31日(土) (会期中無休) 時間:11:00~19:00 高田さんは1957年生まれの道内出身です。50歳位ですね。 1983年に第1回個展を開いて、翌年に2度開き、それ以降毎年この時期に開いています。全てたぴおです。 高田さんは話しかけても、ぐいぐいと会話の弾む方ではありません。 「毎年開くなんて凄いですね」 「いえ、たいしたことしていませんよ。たまたま良い発表する場にめぐり合えたものですから。それに、来年も此処で開くと決めておかないとサボって描かなくなりますから」 「海が好きなのですね」 「いえ、青が描きたかったのですよ」 2年前にした会話です。精悍な体つきで、年齢よりも若く見えます。浜で焼けたような色黒のお顔で、何かスポーツをしているような感じです。けっして愛想が良いとはいえませんが、こちら側に聞きたいことがあれば、ちゃんと応えてくれます。仕事の空き時間は必ず会場に居るようにしているみたいです。多分、お客に視線を向けることなく読書をしているでしょう。無視しているようなたたずまいですが、居るようにしているということは無視しているわけではないのでしょう。淡々とした関係を保っています。 毎年ほとんど同じ画題です。 同じ少年、少女が、晴れた日の浜辺で青い海を遠く見渡しているという絵です。見る人は誰でもノスタルジックな気分になるのではないでしょうか。10年ほど前に出された画集があります。ご覧になればおおよその絵の変遷がわかると思います。子供だけでなく両親も居て、家族がテーマのようです。初期の絵には名前は忘れましたが外人の影響を感じます。家の中に居る裸の夫婦を極端に誇張して、私的理想郷を描いた人です。その人の場合は自分自身が「神」である、「世界の中心地」という意識もあると思います。だから、高田さんは別の方向に向かったと思います。最近の絵には大人が消えています。 腰に両の手をあてて、屋根などの高いところで大の字になって天空に立っている絵もあります。ここ10年ほどのD.M.も置いてあります。こちらは持ち帰り自由だと思います。 今展の特徴。 海の絵以外に森の絵があります。作家に「森が好きなのですか?」と聞いたならば、「緑が描きたかったのです」という返事が返ってくるかもしれません。海の絵が遠く向こうの世界への眼差しとしたならば、森の絵は内側の世界への問いかけのようです。ともに「自分探し」として見ています。 作品数が少なくて壁が余っていました。忙しくて描けなかったのか、心理的に描ききれ無かったのか、今年はこんなものなのか、少し残念です。 毎年見ていると彼の作品に出会うと懐かしい気分になります。画題の少年の視線と自分の視線が緩やかに出会い、少年は消えていき目をつぶっている自分だけが残ります。初めは回顧的に少年時代を想起しますが、だんだんと現在の自己が現れてきます。 具象画とは難しい物です。何かを描かなければならないのです。描かれた画題それ自体に見る者は引っ張られる運命に出くわします。高田さんは画題に対する捉われを放棄したような感じです。あれこれ描くことを止めて少年少女に収斂して絵を描き続けようとしているようです。 静かで強情な方です。
by sakaidoori
| 2007-03-24 12:07
| たぴお
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アバウト
丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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