栄通記

sakaidoori.exblog.jp
ブログトップ | ログイン
2007年 03月 13日

98) ①市民ギャラリー 「札幌市企画展 街の想い出 私の記憶」 ~3月18日まで

○ 札幌美術展2007 札幌を彩る作家たちⅢ
     「街の想い出 私の記憶」

 場所:札幌市民ギャラリー、1F
     南2東6
     電話(011)271-5471
 期間:3月7日~3月18日(日)
 休み:3月12日(月)
 時間:10:00~18:00
 料金:一般500円 高大生100円
    午後5時以降半額、14日は無料

 (96番の続編)
 Ⅱ部出品作家を年代別に列記します。年齢は(2007-出生年)という便宜的なものです。
 20歳代、3名:今村育子 船越りえ 久野志乃。
 30歳代、5名:青山由里子 佐藤綾子 椎名澄子 武田亨恵 吉川聡子。
 40歳代、4名:酒井浩慶 下澤敏也 浜口秀樹 八子直子。
 50歳代、2名:香西信行 山田祥子。
 60歳代、5名:伊藤啓子 岩間隆 金井英明 土屋幸子 寺井暢彦。 
 70歳代、1名:金森美子。
 80歳代、2名:小関恵久子 門馬よ宇子。

 以上22名。市民展ということでバランスよく選定されている。男女比は7:15だ。絵画、彫刻、鉄、焼き物、テキスタイル、立体と総合展に恥じないレパートリーだ。八子さんの作品群と、門間さんの結婚式の写真をインクで汚している作品が、少しばかり異色な雰囲気だが全体的に落ち着いた感じになっている。この落ち着きが主催者の意図であり、個々の作家は仏の手の平の上で振舞うことになる。「懐かしさ」というキーワードでくくられる展示会に、顔の見えない企画者の魂胆が見え隠れする。単にⅡ部だけならば自然に作品を見てそれで終わったのだが、Ⅰ部の写真のための絵画作品展の視覚体験の後では、Ⅱ部の明るさの落差が妙に心地良い。企画者は幾つかのトリックを使う。Ⅰ部とⅡ部の違いを強調する為に今村さんの「わたしのおうち」を用意する。今展で企画者の意を汲んだ作品はこれが唯一ではなかろうか。部屋(通路)を抜けて、一変する作品にこれからは別の世界だなと自覚させられる。何点か作品を見た後、階段を昇ることになる。第二の通路なのだ。いきなり広い部屋に大きな絵画作品群。今展最若年者であり、最高齢者の展示である。
 船越りえ。子供を画題にすることが多い作家。ノスタルジックでもあるが『子供のいない水族館、誰もいない日曜日』とでも言いたくなるような「こどものにわ」2003年以下4点の展示。彼女はクールに別次元としての仮構のこどもワールドを追求できるのだろうか。「絵画としての子供」、「愛情の対象としての子供」この狭間で彼女の作品を追っかけている。
 久野志乃。水面のようにうす塗りと、たゆたゆしさの画面作り。「2つのイメージ/海」2003年、「2つのイメージ/湖」2003、「部屋と影」2007年、「エラー」2007年。一つの絵画に別次元の時空を同時に共存させたいのではないだろうか。水面風絵画はそのための演出なのだろう。だが演出が見える間は説明的絵画になって視覚的に面白くない。彼女の場合、いつでもどこでも視野が多重多層多次元に思う感度を研ぎ澄ませなければならないだろう。
 門馬よ宇子。彼女の小品は軽く宇宙を旅する心が現れて楽しみにしている。大作は、その「軽(かろ)み」が影を潜め、思想性が前面に立ち込める。最近の旧作から家族を撮った写真を張り詰めた大作3点の展示。赤く燃えるような結婚式の写真群の意図がわからない。それほど内面はギラギラしているのかと考えてしまう。ここには緊張よりも情念のほとばしりが強くて理解に苦しむ。
 企画者は「懐かしさ」をこの3人の展示のよって懐古趣味に決別を与えたいようだ。3人の組み合わせと場所に強い演出を見た。
 淡々と進み最後の普段は通路にもなっている広場。ギャラリーミヤシタの常連が一同に会している。青山由里子、酒井浩慶、椎名澄子。あの場所は狭くて独特な空間ですから、ここの広い空間を自由に使ってみてはどうですかといっているみたいだ。これも企画者のトリックの一つだと思う。彼らはミヤシタを、その空間表現を間接的に支持しているのだ。

 企画の為の展覧会、作家と作品達が下位に置かれた展覧会であった。だから面白かったのだ。

by sakaidoori | 2007-03-13 23:55 | 市民ギャラリー


<< 99) 案内、2件。追加して3件       97) 予告 テンポラリー「齋... >>