栄通記

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2007年 03月 07日

90) コンチネンタル 「c.a.t.e.r.p.i.l.l.a.r」 ~3月11日まで

○ c.a.t.e.r.p.i.l.l.a.r   澤口紗智子・真下紗恵子 二人展
      線と温かい桃色

 場所:コンチネンタル・ギャラリー
    南1西11 コンチネンタルビルB1F・東向き
    電話(011)221-0488
 期間:3月6日~3月11日(日)
 時間:10:00~18:00

 澤口さん、真下さん、ともに大谷短大研究生。

 不思議な展覧会です。若い女性の感性をストレートに出した展覧会です。余りにシンプルなので関心をもって文章化するのはなかなか大変です。一人でもはたと感じるのに、二人の組み合わせの妙となるとこまってしまうのですが・・・・。

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 澤口さんは線描の世界です。
 壁一面に張られた紙に横長に無数に「線」があります。激しく上下することなくサッと横に引けば、やや角度を変えてサッと引いていく、青色カーボンをf0126829_14324173.jpgあてがっての間接的な線です。美術作品ですから、完成作品に美しい、綺麗と思ってもいいのでしょうが、僕にはただ線が一方向に向かってそこにある、としか見えません。彼女は終日(ひねもす)飽きることなく「楽しく」しゃがみながら描いているのでしょう。感情の変化、表出というより時間の経過と一体となっている、時間に埋没しているという感じです。しなやかだとか伸び伸びしている線というより、ただ線を引いている、刻んでいる。それを僕はあんぐりしながら見ているだけ。彼女の行為と経過としての時間と結果としての線を。彼女にとって意味のある事が第三者にとってどれほどの意味があるのでしょう。f0126829_1436377.jpg確かに作品は両者を結ぶものですが、作品としての独立性があるのでしょうか、むしろ「何者であるのか知りはしない作家・澤口と観者・丸島」の架け橋にかしかすぎないのではないでしょうか。この静かな日記のような「無意味」な作品群が枯れる時、作家・澤口は別の存在になるのでしょう。僕自身が見る気力が萎える時、鑑賞者でなくなるのでしょう。それでも美術作品を見ていたならば、美術に親しんでいる人ということでしょう。
 
 彼女は何とかして自己の行為を記録として残したいようです。「本」への愛着。出口に立派に製本された記録集があります。作品といってもいいでしょう。プレゼントとして手作りの小冊子を頂きました。沢口さんの世界は視覚作品として広がりをもたせるのが大変だと思います。行為にウエイトのある作家が本に執着すると記録としての作品が目的になる可能性を秘めていると思います。線描世界が目的であったものが、手段になる危険性です。
 2年ほど前に澤口さんの担当教授である岡部昌生さんの展覧会を見ました。小ルームにいままでのフロッタージュ作品のファイルが陳列されていました。当然作品は保存されるべきですが、それを膨大な作品として不特定他人に見せることは作品とは別の意味が立ち現れると思います。僕には岡部氏の現代美術家としての行為が文化運動の手段になったのだなと思いました。同じ事を繰り返す表現様式がいつしか袋小路に陥ったのでしょう。
 岡部さんのフロッタージュは強烈な自己体験が背景にあるようです。澤口さんはもっと軽やかでとりとめの無さを感じます。性の違いも重要でしょう。
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 真下さんは「女性と血」の世界です。

 副題に「温かい桃色」とあります。
 ピンクは若き男性作家にとっては禁色、女性にとっては武器ではないでしょうか。ピンクは温かく柔らか、かわいくてほのかな甘酢っぽさがあります。初恋の色とでも言い換えたいです。もちろんそれは見た目の印象、この色の背後の女性の肉の問題を真下さんは逆手にとって表現します。何一つおぞましい物はありません。白に包まれて綺麗です。ですが何とも赤裸々な造型、全てが女性自身ではありませんか。

f0126829_15262412.jpg 薄い木綿がハンモックのように吊るされ、中にはピンクに染まったプライムが納まり、大き目の薄茶色のボタンのようなものが一列に並んで浮かんでいます。ピンクのプライム・・ゼリー状のぐちゅぐちゅ、ぐにゃぐにゃしている気持ち良いような悪いような流動体・・を撮ろうと思ってモニターを覗きました。区切られた視野はあまりに別世界、ハッとして目を背けました。真下さんはいろんなところで鑑賞者を挑発するかのようにトリックを用意しています。ハンモックは脱色して白で着色したそうですが、部分的に薄く赤に染まっていたそうです。血の色です。わずかに痕跡があると教えてくれましたが、目が悪くて確認できませんでした。真偽は別にして、語られることが大事でしょう。ピンクに染まったガーゼ、ピンクの標本のような物、白木綿に覆われてその標本が並んでいる部屋、その部屋の奥の半畳程の所へは木綿の隙間から覗くだけで入ることはできません。女の子が「見せてあげる、入っちゃだめ」と優しくたしなめているようです。どれもこれも「女性である真下」を「見せたい、見せてあげる、見て見て、見てはだめ」と行きつつ戻りつ繰り返しているようです。

 「暖かい桃色」とはジョークなのでしょうか、真下さんの願望なのでしょうか。造形物の一つ一つに対するこだわりに強い意志を感じました。
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by sakaidoori | 2007-03-07 15:32 | コンチネンタル | Trackback | Comments(0)
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