人気ブログランキング | 話題のタグを見る

栄通記

sakaidoori.exblog.jp
ブログトップ
2007年 03月 07日

89) 大同 「及川幸男絵画展」・油彩 終了、3月6日まで

○ 及川幸男絵画展

 場所:大同ギャラリー
    北3西3 大同生命ビル3F4F・南西角地
    電話(011)241-8223
 期間:3月1日~3月6日(火)
 休み:24日、水曜日
 時間:10:00~18:00 (最終日17:00)

89) 大同 「及川幸男絵画展」・油彩 終了、3月6日まで_f0126829_10445338.jpg


89) 大同 「及川幸男絵画展」・油彩 終了、3月6日まで_f0126829_10455782.jpg


 しっかりした油彩画です。
 及川さんは上川郡下川町でトマトのハウス栽培を営んでいる方です。昔風の言い方をすれば農民画家と呼称していいのでしょうが、なんとも時代にそぐわない響きを感じます。この言葉には自然に帰れでは無いのですが、都会人の自然や農業に対する憧れ、願望、理想化を思います。

89) 大同 「及川幸男絵画展」・油彩 終了、3月6日まで_f0126829_10472699.jpg 及川さんは雪の無い時期に農業を営み、周りが雪と寒さで覆われた頃に一心不乱になって絵を描きます。仕事の時期は一切絵は描かないそうです。現在50歳に満たない年齢ですが、10年前に弾みで絵筆を持ったことがキッカケで、独学で油彩を修得されたそうです。画題的には現在まで同じで、生活の中で見慣れ親しんでいる身近な風景です。初めは写実的だったそうですが、だんだんと心象を滲ますような自然の霊気、息吹が立ち込めるような抽象化された作品へと深化されたそうです。カラマツに囲まれているのでどうしても自然にカラマツ色になるそうです。その針のような枯葉をコラージュにしてびっしり画面を蔽っている作品も有りました。絵の大きさもM30号が生活の視野とぴったりあうそうです。体の一部になっている自然をそのまま絵という違う次元に再創造されているのでしょう。

89) 大同 「及川幸男絵画展」・油彩 終了、3月6日まで_f0126829_10535562.jpg

 3階はキャンバスで小品ばかり(上の写真)。
 4階は板で厚塗りに仕上げています。板画の技法をうかがいました。厚く白セメントで蔽い、その面に深く溝をつくり薄く何層も溝をうずめるようにして着色していくそうです。画面の白い縦縞は初めに蔽った白セメントの地肌です。

 会場には手作りの写真入図録はあるのですが、キャプションも絵の質のわりにはぞんざいだし、D.M.も他で見かけないのでどうしたものかと思いました。東京や外国の公募展には出品されているようですが、個展は初めてとのこと。作家との交流もあまり無く、旭川にも縁はないそうです。展示や自己アピリールの方法、発表の「場」であるギャラリーの研究など絵そのもの以外のこともこれからは大事になっていくでしょう。次回の発表の時は読者の皆様も気に止めてください。

 都会人の呼ぶ「農民画家」とは違う、農民の自負とプライド溢れる絵画展でした。
 下川町には万里の長城を真似した周囲3kmほどの公園があります。北京市が「わが国の宝を断りもなしにミニチュアにして遊ぶとは何ごとか!」と突然役所に怒りの問い合わせがきたそうです。関係者は驚き直ぐに北京詣でをして、事なきを得たそうです。愛着とユーモアのある公園です。

 タイトル:<陽シリーズ><千年の森シリーズ><カラマツシリーズ><流氷シリーズ><冬の精シリーズ><林シリーズ>「林道」「月明かり」「萌」

89) 大同 「及川幸男絵画展」・油彩 終了、3月6日まで_f0126829_10555629.jpg89) 大同 「及川幸男絵画展」・油彩 終了、3月6日まで_f0126829_10571221.jpg

by sakaidoori | 2007-03-07 10:58 | 大同


<< 90) コンチネンタル 「c....      88) 芸森 「ドラマティック... >>