2007年 02月 25日
日時を決めての画家訪問は始めての経験だ。何やかにやと好条件が重なり訪問を決意することができた。僕が小林作品をどう思っているかは36番の記事を読んでもらいたい。 訪問には目的というものがある。少なくとも、この記事を書くわけであるから取材という側面はあったはずだ。聞きたいことをまとめておき、確認し、新たな疑問や気付きを掘り下げ文章化しなければならない。言語化できない点は留保、判断の停止をもって暖めておくようにしなければならない。残念というか情けないというかほとんど何一つできなかった。2時間半ほどの対話だった。冗談などほとんど無く、「小林にとっての絵と、小林作品と知人の作家考」だった。録音を蘇らせれば濃いい「小林麻美とその作品」として纏めれると思うのだが、対話というライブになって、精神の充実はあっても、個々の言葉は記憶の回路から遠ざかってしまった。物書きという職業人の並々ならぬ努力と才能を思い、自身の準備と自覚を高めなければと反省している。今回は言い訳じみた言葉から始まってしまった。今後も作家のいるアトリエで話がしたいと思っている。不覚の思いを記しておきます。 取り留めなく思い出すままその時のことを書き進めてみます。今日書かねば、本当に印象すら忘れてしまいそうだ。 アクリル用の真白きキャンバスの後ろに「世紀の具象展」に出品した作品があった。それを表に出す。その影に「これは未発表です。いろいろ問題があってこのままにしています」という中品も表に出して、その作品を常に目にしながら話は進行した。 あらためて小林絵画の興味を記しておきます。 絵画の中の不等質な空間描写、それを見ることによって非日常性を絵画的に体験するということがまずあります。このことは作品を見ることによっていろいろと判断すればいいことですから、彼女との会話は質疑にはならない。確認はできたと思うが、彼女自身が言語化できる「不等質な空間描写」「不均一な距離感」まで引き出すことはできなかった。というより、会話としては「何かそういうものを表現したいのだろうな、僕は見たいものだな」という辺りをうろうろするばかりで、会話を楽しむばかりだった。未完成の作品は小林絵画を語るのにいいテキストになった。あまりこの作品のことを具体的に語ることはできないが、今までの作品傾向と少しずれているから会話を膨らますのには絶好であった。「どこが違うのか」「焦点の位置はどうなのか」「人の描き方の違いはどうしたことか」「異時空間は実現されているのか」「僕はこの絵にこんな期待をしたい」などなど・・・。彼女は実にチャンと応えてくれる。応えながらどこか自問自答気味になり、いろんな表情をさらけ出す。・・・(ああー、何て人の悩ましい顔は綺麗なのだろう。僕はこういう表情を見ると思考が止まってしまうのだ。ただぼんやりと女性の顔を見てしまう。会話の中身を忘れた原因に、絵を描く人のある側面を垣間見ることによって、僕自身が気後れしてしまったのだ。画家魂に触れたのだ。「見ること」の意識を高めねばならない。) 聞きたいことの一つに、「空間表現にとっての顔なし人物描写の問題」があった。人を描くのに特別な意識があるようだが、その点を聞くと明快な返事が返ってきた。「あんまり意識していません」意外な返事だったので、肝心なことを聞き忘れた。「絵画の中に滲み出る小林麻美の生理と、この人間臭さと先程の不等質な空間表現との絡み具合はどう相計っていくのか。生理は捨象される物なのか、独自の小林ワールドのキーになるのか」思えば聞きたいことをチャンと聞かなかった。が、楽しい会話だった。楽しければ良いのかと問われれば辛いが、今回は良しとしたい。 思い出せばまだまだ瑣事を書くことができるだろう。だが、今の段階では今度の訪問記の記録はこれで充分だろう。文章の濃さには恥じ入る面が多くて、小林さんには申し訳ない。多くの時間を頂きながら許して頂きたい。 ありがとう御座いました。 追記 以前、此処に小林さんの写っている写真がありました。 写真掲載の確認が不十分だった点がありました。小林さんに迷惑をかけました。申し訳ありませんでした。
by sakaidoori
| 2007-02-25 02:11
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アバウト
丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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