人気ブログランキング | 話題のタグを見る

栄通記

sakaidoori.exblog.jp
ブログトップ
2007年 02月 19日

64) 富士フォトサロン 「相原正明写真展」 ~21日まで

○ 相原正明写真展
    Great Australia  -パノラマ写真展ー

 場所:富士フォトサロン札幌
    北2西4 三井ビル別館1階・北向き
    電話(011)241-7366
 期間:2月16日~2月21日(水)
 時間:10:00~18:30

 オーストラリアの花を含めた風物の写真展。光、色鮮やかにワイルドに撮る方です。

 僕が皆さんに語りたいのは縦撮りのパノラマ作品です。

 相原さんは画面一杯に鮮やかに撮る方です。ところが入り口右側正面の5点ほどの縦長の作品群はムードが全然違います。はっきり言えば「掛け軸」なのです。形が掛け軸ということは中身も和風なのです。もっとも特徴的なのは右端の砂漠を撮った作品。構図は上のほうから横切り、最上部は青い空で砂漠を包むそれでなはくて、雪に覆われた晴れた日の青空のようでクリアーで優しさがあります。空の下が砂丘で何層かに別れ最下部が色づいた地肌を出しています。砂丘は波打っていて美しいのですが、僕は雪と間違えて見てしまったのです。それくらい北海道の穏やかな日の雪景色と間違える風景になっているのです。
 僕には作家に聞かなくても自信をもっていえることがある。相原さんは写真家の手段として普通の横長のパノラマを撮っていたのが、被写体の関係だと思うのですが縦に撮ってみた。すると単に横を縦にするという物理的なことが異質な美的空間として場面が立ち現れたのだと思います。そして無意識に親しんでいた掛け軸としての日本美、画面構成、間のとりかた、余白美、空間表現などが一気に一瞬に作品化されたと思うのです。他の作品群と比較すれば一目瞭然です。この方法でドイツで発表し、好評を得たそうです。欧米人の縦長表現はゴシック風の神が支配するような壮言な世界はできても白を生かした異空間の表現が不得手だと思うのです。書などに端的に現れている何も描かない空間という物が恐怖の対象ではと思っています。彼等の偉いところは自分等に根本的にかけている美を認めることができることだと思います。

 ここで相原さん個人の問題が出てきます。ただ外人にうけるだけなら今展の作品を継続されればいいことでしょう。それでは他の作品との整合性がありません。今までの装飾的な鮮やかな世界と、気が着かされた自分の中の日本的表現のすりあわせをどうしていくかでしょう。

 オーストラリア砂丘の作品は日本画に通じるところがあります。左端の河と平原の空撮はまさに水墨画といえるでしょう。赤茶けた大地の中央を流れる河、河の周辺の木立の緑。河は龍となり、ぎすぎすしたうねりに緑は鱗のように生気をともなっています。「地はねる龍」という水墨画に見えてしまいました。

by sakaidoori | 2007-02-19 13:53 | 写真)富士フォト・サロン


<< 65) 案内 時計台 「PIS...      63) 写真ライブラリー「卒展... >>