栄通記

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2007年 02月 15日

60) ⑤東京巡り記 「銀座と銀ブラ」

東京は坂が多いところだ。ビルが林立した隙間から広い道路からの視界はゆったりとしていて、こちらに迫る空気感がある。民家密集地での坂も都心とは違うがやはり不思議なムードを持っている。海岸沿いの街、例えば小樽なども坂は多い。だが昇り一方で起伏間がない。平地を歩いているというよりも丘に登っているといったほうがいい。関東ローム層と称されるが、日本一広い平地がわずかな高低差で、うねる様に形成されているのであろう。タレント・タモリが東京坂百選のようなことを言ったが、さすがというべきか希代の芸人が東京の坂に何か異質な物を感じたのだろう。

 銀座は坂が無い。江戸時代に埋め立ててできた地域だ(1603)。当然江戸湾に面し、船による物の流れの利便性はあるわけだ。現在の駿河台の神田山から土を持ってきたという。その後(1612)、幕府の銀貨鋳造所を意味する「銀座」を現銀座2丁目に移し、町名は新両替町となった。銀座とも呼ばれていた。もっとも、「銀座」のために造ったのか、中心街に近いので膨張する人口を考えてのことなのか新興都市「江戸」の都市計画の意図までは分らない。「武家街ー寺社街ー町人街」、「遊郭ー繁華街ー製造地域ー生活地帯」こういう視点で江戸を考えたくなった。

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 JR有楽町駅に降りる。目の前の大きなビルをすり抜けたところから銀座は始まる。外堀通を横断し、なにはともあれ目抜き通りとおぼしき晴海通りを下っていった。携帯電話を使っている男性が目に付く。オッとするほどの女性にも会わない。というか、人の多さの割には垢抜けた人に出会わない。時間帯だからか、銀座とはそういうところなのか目の楽しみが少ない。ビルに収まっている教会で日曜教室の発表会のような作品を見る。和光ビルの最上階での「日本陶磁協会賞受賞作家展」をのぞく。販売も主なる目的にしているから、居心地が悪いが構わず目の保養をする。歌舞伎座の賑々しい門構えを見て、「東京に来たんだな」と嬉しくなってしまう。遠くに「演舞場」と大きなビルに書いてあるのが見える。何かを確認しに行く。

 いよいよギャラリー巡りだ。といっても何一つ情報もない。中小路を網の目のように歩けば見つけれるだろうと判断した。街は札幌と同じく碁盤の目のようになっていて、色気はないが歩き易い。銀座を南北に晴海通り、東西を中央通り(国道15号線)に区切った南西の一角を歩き回った。富士フォトサロンのような「銀座ニコンサロン」(屋久島 沢と源流 加藤文彦写真展)を皮切りに心配することなく次々に見ることができた。この辺りは銀座中心街からから少し離れていると思うのだが、オーソドックスな壁面作品の展示が少なかったように思えた。少し古い薄汚れた4階建てくらいのビルの貸しギャラリーが多い。飛び抜けて驚くような作品には合えなかったが平均値は高い、作家達がうごめいてるのが伝わってくる。のんびり歩いた。数多く見たかったので話しこむことはしなかった。だんだんと札幌でのギャラリー巡りと同じような感覚になってきた。直ぐに初物のギャラリーが現れるからうきうきしてしまった。話し込みはしなかったが、問われればそれなりに会話をすることになった。60) ⑤東京巡り記 「銀座と銀ブラ」_f0126829_13233951.jpg「青樺画廊」(銀座7-11-10)でのこと。オーナーが「絵を描くのですか?」と尋ねてきた。「いえ、見るだけです」「描かないとダメですよ」「・・・男が女になれないのと同じで、絵描きにはなれません」と応えた。ギャラリーは見る・見せる場と決め込んでいる。描く人同士のかかわりの場は否定しないが作品そのものにとっては二次的な事だと思っている。しかし、自分のギャラリーの目的を明快に主張するオーナーには感心した。さすが東京だと思った。ちなみに、その時は「特別企画 日本版画協会 第74回版画展 『準会員受賞者による作品展』」をしていた。若い作家を積極的に紹介したいところと見受けた。地下の「KEY gyallery」も運営している。近々、銀座を離れるとのこと。資金面でのことだと思う。機会があれば行きたい所。

 別の場所、「風景画」の展示会場。かなりの年配作家。「折角だから、お茶をどうぞ」と勧められる。飲みながら「どれぐらい時間をかけるのですか?」と意味も無く聞いてしまった。「時間、実に詰まらん質問だ」と鋭い返事。確かにつまらない質問をした。が、あまりに攻撃的対応にこちらもむきになってしまった。「お茶のお礼に社交的に聞いたまでのことです。いったい、初対面の人との初めての絵の会話にどれほどの期待を貴方は持っているのです。ならば聞き返します。どういう状況になったら、筆をおくのですか?」杖を持ってはいたが元気な老人であった。東京人の気合には驚くと同時に感心した。

 こんなことを書けばきりがない。見に行って良かったと思う。札幌は厚みに欠けるが見応えのある場所だと確認することができた。所詮、自分の住んでいる所が美術鑑賞の大半になる。その場所がどんな所かを見定める為に他所が必要なのだ。他所そのものの楽しみは日頃見れないという「旅」との関わりで作品を楽しみたい。他所の作品はまさしく一期一会的出会いとして楽しみたい。書きもしたい。
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 (後で写真の案内を書きます)

by sakaidoori | 2007-02-15 23:54 | ☆道外公共美術館ギャラリー


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