栄通記

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2007年 01月 31日

34) 大通美術館 「楢原武正展」 ~2月4日

○ 楢原武正展 大地/開墾
    -2007今、僕は大通美術館で大地の芽を開墾す。

 場所:大通美術館  
    大通西5丁目11 大五ビル・東向き
    電話(011)231-1071
 期間:1月30日~2月4日(日)
 時間:10:00~19:00 (最終日は16:00まで)

f0126829_0143178.jpg
 今回は静かな展示だ。
 床には天空の星々のように大小の球体が配置されている。地底からぽっかり湧き出たようにも、浮いているようにも見える。右側の壁には十数本の直立物が立てかけてある。全面釘で覆われていて、腐食した錆び色が制作時期による違いでかなりの色合いの差がある。人口色に慣れた目には心地良い。壁はぐるっと小品を飾っている。びっちり釘で覆われている物、薄い鉄板に腐食色であやどり、釘穴をのぞかせているもの。「祭壇」「壁」ともいえる力作もうるさくなく並んでいる。

f0126829_018095.jpg 昭和17年生まれの64歳。若い頃の油彩画を帯広美術館で見たことがある。塗装屋さんらしく絵の具を溢れるばかりに使った女子の人物画だった。若いが故に目立つ作品という意図もあったであろう。情念をぶつける、昇華させるという作家スタイルは凄みこそ増せ、衰えることはない。鬱積した事件は多いが、時代は表現者に爆発的エネルギーを強いることはない。

 氏にとっては生地の十勝の原野・風景がバックボーンであるという。昔の色彩表現は雄大さとモノトーンに引き継がれて益々原風景を顕にしている。f0126829_0193272.jpg彼は最近の作品を大地/開墾と表現している。なんとも雄大で叙事詩的表現である。一方で、作品を見ればほほえましいくらいにセクシャル、『男のロマン』と卑小ではあるが呼びたい。母・女である大地に男である自分が男根で耕すのだ、そこから卵となって新しき命が生まれるのだ、と作品達は語っているようだ。その卵は大地・母の入れ子のような表現になり、作家の胎内回帰、永劫反復と美の象徴を担っている。美の女神に近づくにはどうするか。男は意識無意識を問わず懊悩する。言葉であっても、行為表現であっても過剰でなければならない。氏は日々何かに釘を打つことによって過剰・過激な精神を維持している。まるで苦行僧、修行僧のように思える。ある年齢に達すると肉体的にも精神的にも衰えを自覚する。ピカソは精液を流しながら裸婦を描き、己を鼓舞し衰えと死と戦った。楢原氏は日本人だ。そんな事は夢想外だ。真摯に実直に対峙することを課題にしている。

 できることなら、あの釘柱を借地の畑のある庭に一年間飾りたいものだ。雪の日、雨の日、光まぶしき日、手に触れて挨拶を日課にしたいものだ。


 

by sakaidoori | 2007-01-31 20:03 | 大通美術館 | Trackback | Comments(2)
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Commented by 久保AB-ST元宏 at 2007-02-07 00:27 x
私も、『楢原武正展 大地/開墾』、ぎり&ぎりで、観てきました。
私のHP『共犯新聞』1面トップに少し感想文を書かせていただきました。
また、栄通さんの写真を使わせていただきました~♪
ありがとーございます♪
Commented by sakaidoori at 2007-02-07 20:26
>久保さんへ

 写真のことはいろいろ考えていますので、立場が変わるかもしれませんから、その時はよろしくお願いします。

 使われている写真を見ました。久保さんも写真を撮られていると思いますが、どうしてご自分で撮られた写真を載せないのですか。不思議というか疑問に思います。前回も思ったのですが、いい意味で挨拶代わりと思い突っ込んだ意見を控えました。「楢原さんがとても好きで、行けれなかったから、申し訳ないがお借りしたい」という趣旨でとは無いですね。どういう基準なら構わないのかを、今言葉で言うのは避けますが、ああいう使い方でしたら、今後借用をお断りします。


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