|
2007年 01月 31日
○ 楢原武正展 大地/開墾 -2007今、僕は大通美術館で大地の芽を開墾す。 場所:大通美術館 大通西5丁目11 大五ビル・東向き 電話(011)231-1071 期間:1月30日~2月4日(日) 時間:10:00~19:00 (最終日は16:00まで) ![]() 床には天空の星々のように大小の球体が配置されている。地底からぽっかり湧き出たようにも、浮いているようにも見える。右側の壁には十数本の直立物が立てかけてある。全面釘で覆われていて、腐食した錆び色が制作時期による違いでかなりの色合いの差がある。人口色に慣れた目には心地良い。壁はぐるっと小品を飾っている。びっちり釘で覆われている物、薄い鉄板に腐食色であやどり、釘穴をのぞかせているもの。「祭壇」「壁」ともいえる力作もうるさくなく並んでいる。 昭和17年生まれの64歳。若い頃の油彩画を帯広美術館で見たことがある。塗装屋さんらしく絵の具を溢れるばかりに使った女子の人物画だった。若いが故に目立つ作品という意図もあったであろう。情念をぶつける、昇華させるという作家スタイルは凄みこそ増せ、衰えることはない。鬱積した事件は多いが、時代は表現者に爆発的エネルギーを強いることはない。氏にとっては生地の十勝の原野・風景がバックボーンであるという。昔の色彩表現は雄大さとモノトーンに引き継がれて益々原風景を顕にしている。 彼は最近の作品を大地/開墾と表現している。なんとも雄大で叙事詩的表現である。一方で、作品を見ればほほえましいくらいにセクシャル、『男のロマン』と卑小ではあるが呼びたい。母・女である大地に男である自分が男根で耕すのだ、そこから卵となって新しき命が生まれるのだ、と作品達は語っているようだ。その卵は大地・母の入れ子のような表現になり、作家の胎内回帰、永劫反復と美の象徴を担っている。美の女神に近づくにはどうするか。男は意識無意識を問わず懊悩する。言葉であっても、行為表現であっても過剰でなければならない。氏は日々何かに釘を打つことによって過剰・過激な精神を維持している。まるで苦行僧、修行僧のように思える。ある年齢に達すると肉体的にも精神的にも衰えを自覚する。ピカソは精液を流しながら裸婦を描き、己を鼓舞し衰えと死と戦った。楢原氏は日本人だ。そんな事は夢想外だ。真摯に実直に対峙することを課題にしている。できることなら、あの釘柱を借地の畑のある庭に一年間飾りたいものだ。雪の日、雨の日、光まぶしき日、手に触れて挨拶を日課にしたいものだ。
by sakaidoori
| 2007-01-31 20:03
| 大通美術館
|
アバウト
![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
検索
最新の記事
ファン
カテゴリ
全体 ★ 挨拶・リンク ★ 栄通の案内板 ★アバウトの写真について ★ 目次 (たぴお) (時計台) 市民ギャラリー (写真ライブラリー) さいとう 大丸藤井スカイホール (ユリイカ) ミヤシタ テンポラリー af 北専・アイボリー CAI(円山) CAI02(昭和ビル) (大同) アートマン アートスペース201 大通美術館 STVエントランスホール コンチネンタル 資料館 門馬・ANNEX 百貨店 (カコイ・ミクロ) 4プラ・華アグラ 石の蔵・はやし (シカク) ☆道外公共美術館ギャラリー (アッタ) 奥井理g. ★ 案内&情報 ★ 訪問客数 ◎ 樹 ◎ 花 ◎ 山 ◎ 本 ◎ 旅・飛行機・船 ◎ 温泉 ◎ 個人記 ◎ 風景 ◎ 短歌・詩・文芸 ☆★ ギャラリー巡り 写真)光映堂ウエスト・フォー (いろへや Dr.ツクール) JRタワーARTBOX ポルト 写真)富士フォト・サロン 道新プラザ 紀伊國屋書店 S-AIR ◎ 自宅 (ニュー・スター) 札信ギャラリー (マカシブ) (自由空間) 真駒内滝野霊園 サード・イアー (どらーる) 区民センター ★★ 管理人用 山の手 富樫アトリエ (プラハ2+ディープ) ★ギャラリー情報 ★ パンフより 創(そう) (オリジナル) ATTIC 美容院「EX]内 ADP 粋ふよう エッセ ◎ 雑記 ★「案内版」アバウトの写真 ☆北海道埋蔵文化センター ☆三岸好太郎美術館 ☆本郷新彫刻美術館 ☆芸術の森美術館 ☆函館美術館 ☆札幌・近代美術館 ☆モエレ沼公園 ☆旭川美術館 ☆北海道開拓記念館 ☆帯広美術館 ☆関口雄揮記念美術館 (☆夕張美術館) ☆(倶知安)小川原美術館 ☆(岩見沢)松島正幸記念館 ☆(室蘭)室蘭市民美術館 ☆北武記念絵画館 ★その他 【道外・関西】 ー [石狩] [ニセコ]有島記念館 [岩見沢]キューマル 他 [音威子府] [深川] [苫小牧]博物館 [洞爺] ☆小樽美術館 市民ギャラリー [美唄] [江別] [室蘭] [小樽] [帯広] [恵庭] 夢創館 【北広島・由仁】 [函館] [夕張] [三笠] [赤平・芦別] 【幌加内(政和)】 (くらふと)品品法邑 (茶廊)法邑 (カフェ)れんが (ブックカフェ)開化 (カフェ)アンジュ (カフェ)北都館 (カフェ)エスキス (画廊喫茶)チャオ (カフェ・soso) (カフェ)ト・オン (カフェ)アトリエムラ (カフェ)サーハビー 槌本紘子ストックホルムキ記 (画廊喫茶)仔馬 (ギャラリー&コーヒー)犬養 Plantation CAFE BLANC(ブラン) - コレクション ■ 複数会場 公共空間 ー ◎ 風景 新さっぽろg. ー ○ 栄通日記 学校構内 ー ◎ライブ路上パフォーマンス 道銀・らいらっく (コジカ) ▲個人特集 (風景)サイクリング・ロード (風景)札幌・都心 A.S.T(定山渓) 趣味の郷 公共空間・地下コンコース 六花亭 ◎今日・昨日・最近の風景 500m美術館 Room11 アルテポルト・ART SPACE サテライト 【2010年旅行記】 【2010年 ロシア旅行】 【海外旅行】 【2012年上海旅行】 【震災跡地2回目の旅】 【2013旅行記】 ◎ 川・橋 OYOYO コケティッシュ ・我が家 レタラ カモカモ 北のモンパルナス チチ クロスホテル札幌 黒い森美術館 Caballer ▲原田ミドーモザイク画 SYMBIOSIS (ハルカヤマ藝術要塞) 群青(2016) チカホ space1-105 100枚のスナップを見る会 北海道市民活動センター 群青(2018) HUG(教育大文化施設) 札幌グランピスタ 大洋(大洋ビル) - 未分類 タグ
個展(242)
グループ展(183) 油彩画(183) 企画展(153) インスタレーション(115) その他(98) 学生展(93) 現代美術(74) 写真(71) 公募展(70) 写真展(59) 総合・複合展(43) 温泉・山・旅行・雑記(42) 彫刻・金属・ガラス・陶(40) 日本画(38) 北海道教育大学(37) 版画・イラスト(31) シルクスクリーン(26) 藤谷康晴(25) 卒業展(24) リンク
○ 美術関係以外
古い日記 (サカイ・ヒロシさんのブログ) ○ 美術愛好家のブログ Ryoさんのイートアート (サカモト・キミオさんのH.P.) 散歩日記V3 (SHさんのブログ) ○ 表現者のブロブ(相互リンク?) Photo Foto Blue (コバヤシ・ユカさんのブログ) 水彩の旅 (タケツ・ノボルさんのH.P.) アートダイアリー (マエカワ・ヨシエさんのブログ) 画像一覧
最新のトラックバック
以前の記事
2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2017年 08月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 02月 more... ブログパーツ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||