栄通記

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2007年 01月 14日

17)芸森「この20年の、20のアート」  ~14日まで

○ この20年の、20のアート

 場所:札幌芸術の森美術館
 期間:~1月14日(日) 今日まで
 時間:9:45~17:00 入館は16:30まで
 料金:一般800円 高大生400円

 今日までです。僕の記事を見てこれから芸森に行く人は一人もいないと思います。じっくり時間をかけて紹介すべきかもしれません。リアル性を重んじて概要だけでも報告します。

 広島市現代美術館からの借り物展示。
 この美術館は以下の三大方針に基づいて収集保存している。
 ①「主として第二次世界大戦以降の現代美術の流れを示すのに重要な作品」
 ②「ヒロシマと現代美術の関連を示す作品」
 ③「将来性ある若手作家の優れた作品」
 また、従来の美術分野にとらわれず、デザイン・建築などの作品も積極的に収集し、現代美術の総合的な美術館を目指している。被爆都市として芸術的分野からの平和へのメッセージが基本姿勢だと思う。(広島市現代美術館サイト参考)


17)芸森「この20年の、20のアート」  ~14日まで_f0126829_1039116.jpg
 完璧に2室に分かれた展示。通路左右が互いの入り口。その中間に青木野枝の鉄の立体作品。川上りえを思い出す。鉄板をくりぬいて輪っこにし、生き物のように組み合わせている。遠くから見れば優しく見えるが、傍で見ると溶接で切り抜いた後が鮮明で、何処か人を寄せ付けない荒々しさを感じる。

17)芸森「この20年の、20のアート」  ~14日まで_f0126829_10394531.jpg 左の部屋は全て壁面展示作品。
 おなじみの奈良美智が先陣。以下順不同。近美の青年涅槃像の小林孝亘(たかのぶ)の「門」。門は強固に閉ざされ道は向こうに誘い、その周りの草木はこちらに迫ってくる。優しいタッチ。彼は此方と向こうの世界の出入りを表現しようとしているのだろうか。堂本右美の「CALM(静けさ)」。藤田真理を連想した。此方の方が背景の色の世界と黒太い線描の関係が親しみやすい。吉澤美香「を-49」他。きっと若い女性だろう。ヌイグルミの表毛をそぎとって、楽しく遊んでいる。絵画作品の中に一人彫刻作品の須田悦弘「チューリップ」。本物まがいに一輪のチューリップを着色して、宙刷りにしている。壁上方の角張った左側に。完璧な具象作品の完璧な抽象表現とみた。抽象作品は置く場所によって空気を変える。船越桂大岩オスカール幸男「FLOWER GARDEN」。近美でも出品中。千住博「八月の空と青」他。滝でないのが残念。有名な滝の大作はお奨めです。福田美蘭「ニューヨークの星」。おそらく9.11事件の追悼であろう。満点の星の輝きは逝った人たちの御魂、ニューヨークは星の輝きに負けない桃源郷の明るさ。

 右の部屋。
17)芸森「この20年の、20のアート」  ~14日まで_f0126829_10401763.jpg

 インスタレーション風に仕立てる。主に写真でイベントの紹介であるが、写真であっても充分見せてくれる。どの作品が好きかでその人の現代美術への視点が計られるかもしれない。名前だけ紹介。宮島達男。デジタル・イルミネーション。岩井俊雄。川俣正。写真紹介、民家を網のように樹で覆う。柳幸典。アジアの国旗を蟻の巣にして、かじらせて変容させている。一見に値する。森村泰昌。おなじみの名画との遊び。今回はマネのオランピア。小沢剛合田誠。一番のお気に入り。仮想プロジェクト。前人未到の緑なす大地を完全整地という形で真四角形の人造大地を造る。そして、ただ「人」という字を書くこと。終わった後は完全復旧。村上隆ヤノベケンジ。広島美術館らしい作品。ヤノベ君が放射能除けス-ツを着て、チェルノブイリの汚染地帯で放射能測定をする。その様子の写真や、旧潜水着のようなスーツを陳列。(写真は販売図録より)

 ☆お好み度 4

by sakaidoori | 2007-01-14 10:41 | ☆芸術の森美術館


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