2007年 01月 10日
○ 野口裕司展 「二つの風景」 場所:時計台ギャラリー 3階EF室 北1西3 電話(011)241-1831 期間:1月8日~1月13日(土) 時間:10:00~18:00 最終日17:00まで ![]() 今年初めての個展鑑賞。面白い。 「皮膚の人・野口」あるいは「レシーバー・野口」と呼んでいる。 1994年から毎年ここで個展をしている。仕事上(中学校教諭)この時期がベストなのだろう。今展もこの場所を熟知している男の芸だ。仕切られた二つの空間(部屋)表現、タイトルにある「二つの風景」である。 正面の部屋。暗く陰鬱だ。壁一面にコピーされた変な描写物が張られている。作品だから近づいて見るが意味不明。その状態で振り向くと同じ景色が一望に見える。赤いざくろのような物は乳首に、その辺りがふっくらとして乳房に、全体が女体の皮膚に見える。縦横に走る線はサド的で痛々しくエロチックだ。床に光源を蔽っている白い物。まるで女性の下着のようにコレクションとして3点置かれている。大事な宝とも言える。比喩的に言えば、野口君のプライベート・ルーム、陰にして心の中の闇の部分である。めぐらされたコピー物はまさしく皮膚であり細胞膜である。体内回帰のように部屋にうずくまり己自信の皮膚と対話し、内に帰り外に出ようとしている。野口君は赤い斑点は核だという。それが細胞核を意味するなら、癌という悪性腫瘍になろうとしているのか、無害な良性腫瘍になろうとしているのか、ぎりぎりのせめぎあい、緊張を感じる。 ![]() 別の入り口から第二室へ。前室が洋室ならば、ここは和室だ。畳もあり襖風に障子風に仕切られ香まで焚かれている。野口君の公的な書斎ともいえる。この部屋で初めて彼の作品そのものに逢う事ができる。それにしても彼はそんなに表現主義的な作品を作っていただろうか。何を作っても「美」が強かった。皮膚。それは内と外をさえぎり、生命体の輪郭・占有範囲を確定する。皮膚はレシーバーのように外の情報を受け取り自分の物にする。彼の作品、感覚はそういう皮膚的健全さしなやかさ美しさを基本にしていた。今展は皮膚そのものが主張しだした。美醜を越えて直接的に鑑賞者に訴えている。 ![]() 野口君は能弁だ。作品だけでは言い足りないかのように、配布資料にも多く文章化している。訪ねる客人にも真剣に語りかける。 1968年、札幌生まれ。1993年、教育大学札幌校日本画研究室卒業。現在38歳。1992年に仲嶋貴将君と二人展、さもありなん。同世代の作家たちとの共鳴を見たいものだ。 ☆ 好み度 4.5
by sakaidoori
| 2007-01-10 16:12
| (時計台)
|
アバウト
![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
検索
最新の記事
ファン
カテゴリ
全体 ★ 挨拶・リンク ★ 栄通の案内板 ★アバウトの写真について ★ 目次 (たぴお) (時計台) 市民ギャラリー (写真ライブラリー) さいとう 大丸藤井スカイホール (ユリイカ) ミヤシタ テンポラリー af 北専・アイボリー CAI(円山) CAI02(昭和ビル) (大同) アートマン アートスペース201 大通美術館 STVエントランスホール コンチネンタル 資料館 門馬・ANNEX 百貨店 (カコイ・ミクロ) 4プラ・華アグラ 石の蔵・はやし (シカク) ☆道外公共美術館ギャラリー (アッタ) 奥井理g. ★ 案内&情報 ★ 訪問客数 ◎ 樹 ◎ 花 ◎ 山 ◎ 本 ◎ 旅・飛行機・船 ◎ 温泉 ◎ 個人記 ◎ 風景 ◎ 短歌・詩・文芸 ☆★ ギャラリー巡り 写真)光映堂ウエスト・フォー (いろへや Dr.ツクール) JRタワーARTBOX ポルト 写真)富士フォト・サロン 道新プラザ 紀伊國屋書店 S-AIR ◎ 自宅 (ニュー・スター) 札信ギャラリー (マカシブ) (自由空間) 真駒内滝野霊園 サード・イアー (どらーる) 区民センター ★★ 管理人用 山の手 富樫アトリエ (プラハ2+ディープ) ★ギャラリー情報 ★ パンフより 創(そう) (オリジナル) ATTIC 美容院「EX]内 ADP 粋ふよう エッセ ◎ 雑記 ★「案内版」アバウトの写真 ☆北海道埋蔵文化センター ☆三岸好太郎美術館 ☆本郷新彫刻美術館 ☆芸術の森美術館 ☆函館美術館 ☆札幌・近代美術館 ☆モエレ沼公園 ☆旭川美術館 ☆北海道開拓記念館 ☆帯広美術館 ☆関口雄揮記念美術館 (☆夕張美術館) ☆(倶知安)小川原美術館 ☆(岩見沢)松島正幸記念館 ☆(室蘭)室蘭市民美術館 ☆北武記念絵画館 ★その他 【道外・関西】 ー [石狩] 未分類 [ニセコ]有島記念館 [岩見沢]キューマル 他 [音威子府] [深川] [苫小牧]博物館 [洞爺] ☆小樽美術館 市民ギャラリー [美唄] [江別] [室蘭] [小樽] [帯広] [恵庭] 夢創館 【北広島・由仁】 [函館] [夕張] [三笠] [赤平・芦別] 【幌加内(政和)】 (くらふと)品品法邑 (茶廊)法邑 (カフェ)れんが (ブックカフェ)開化 (カフェ)アンジュ (カフェ)北都館 (カフェ)エスキス (画廊喫茶)チャオ (カフェ・soso) (カフェ)ト・オン (カフェ)アトリエムラ (カフェ)サーハビー 槌本紘子ストックホルムキ記 (画廊喫茶)仔馬 (ギャラリー&コーヒー)犬養 Plantation CAFE BLANC(ブラン) - コレクション ■ 複数会場 公共空間 ー ◎ 風景 新さっぽろg. ー ○ 栄通日記 学校構内 ー ◎ライブ路上パフォーマンス 道銀・らいらっく (コジカ) ▲個人特集 (風景)サイクリング・ロード (風景)札幌・都心 A.S.T(定山渓) 趣味の郷 公共空間・地下コンコース 六花亭 ◎今日・昨日・最近の風景 500m美術館 Room11 アルテポルト・ART SPACE サテライト 【2010年旅行記】 【2010年 ロシア旅行】 【海外旅行】 【2012年上海旅行】 【震災跡地2回目の旅】 【2013旅行記】 ◎ 川・橋 OYOYO コケティッシュ ・我が家 レタラ カモカモ 北のモンパルナス チチ クロスホテル札幌 黒い森美術館 Caballer ▲原田ミドーモザイク画 SYMBIOSIS (ハルカヤマ藝術要塞) 群青(2016) チカホ space1-105 100枚のスナップを見る会 北海道市民活動センター 群青(2018) HUG(教育大文化施設) 札幌グランピスタ 大洋(大洋ビル) - タグ
個展(242)
グループ展(183) 油彩画(183) 企画展(153) インスタレーション(115) その他(98) 学生展(93) 現代美術(74) 写真(71) 公募展(70) 写真展(59) 総合・複合展(43) 温泉・山・旅行・雑記(42) 彫刻・金属・ガラス・陶(40) 日本画(38) 北海道教育大学(37) 版画・イラスト(31) シルクスクリーン(26) 藤谷康晴(25) 卒業展(24) リンク
○ 美術関係以外
古い日記 (サカイ・ヒロシさんのブログ) ○ 美術愛好家のブログ Ryoさんのイートアート (サカモト・キミオさんのH.P.) 散歩日記V3 (SHさんのブログ) ○ 表現者のブロブ(相互リンク?) Photo Foto Blue (コバヤシ・ユカさんのブログ) 水彩の旅 (タケツ・ノボルさんのH.P.) アートダイアリー (マエカワ・ヨシエさんのブログ) 画像一覧
最新のトラックバック
以前の記事
2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2017年 08月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 02月 more... ブログパーツ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||