栄通記

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2018年 09月 04日

2584) 「板東宏哉 本庄隆志 八重樫眞一 『3人展』」 茶廊法邑 終了/8月22日(水)~9月2日(日)

板東宏哉 本庄隆志 八重樫眞一  
    3人展
 
   
    
 会場:茶廊法邑 
     東区本町1条1丁目8-27
     電話(011)785-3607

 期間:2018年8月22日(水)~9月2日(日)
 休み:月曜日、火曜日(定休日)
 時間:10:00~18:00
     (最終日は、~16:00まで) 

ーーーーーーーーーーーーーーーー(8.26)



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   ↑:(会場入口からの風景)





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   ↑:(会場奥からの風景)



 3人の繋がりは?
 道展繋がり。
 仲間展?
 絵描き仲間には違いはないが、今まで3人の繋がり展を見たことはない。恐らく、この中の誰かが今展のために呼びかけたのだろう。
 共通の何かがあるの?
 ある。それぞれにとっての絵画とは、絵を描くことは何なのかを、3人並べることによって確認してみよう。
 では、その中身は?
 それぞれの絵画原風景を訪ねて。(こういう回答はどの作家にも言えるから、意味をなさないと怒られそうだ。だから、もう少し具体的にいうと)故郷、どこにありや?心の奥に(八重樫)、大地に(板東)、想像の中に(本庄)と。


当日、八重樫さんとお会いできた。だから、八重樫さん中心です。

(以下、敬称は省略させていただきます。)


 
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   ↑:以上、八重樫眞一



 八重樫眞一は典型的な具象作家だ。同時に、「想いで」を基本モチーフにしている。「想いで」の中身は何かと問われれば、故郷、家族、過ぎ去りし事ども、大事な人々への追憶であり哀愁だ。だから、絵の大半は心象的な背景の中で、人の痕跡著しい家などを配置して、「あの時のオレはいったい何だったのか?」「あの時は戻るのか?」と、八重樫絵画は過去との問答集のようにして存在する。だから、どうしてもダークな青、錆びた茶色を好んで使う。

 何年前かの個展時、いつになく冒険をしていた。抽象画を描こうとしていた。恐らく、作画のマンネリ性を打破したい、更なる上をめざしたいという向上心が生んだのだろう。八重樫背景だけをとれば、心象ムード一杯の抽象画ともいえる。その背景感覚を独り立ちさせてみたのだ。
 今展、水面を描くことによって抽象画にチョッピリチャレンジした。でも、物の形が大好きな画家にとって、試みとしての抽象性であって、抽象に身も心もうずめることはできなかった。そういう意味で、新境地のための痕跡としての「水面シリーズ」を楽しんだ。公募展作家が新たな試みをするのは大変なのだ。公募展集団とは「絵画村」みたいなものだから、新しいことを好まないのだ。いや、否定すらする。恐ろしや「絵画村」。


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   ↑:八重樫眞一、「Day's」・S100 キャンバス・油彩。


 僕はこういう絵は好きです。水面の中の黒い固まりが良い。水面ばかり描いている画家はこういう黒固まりには注目しないだろう。八重樫眞一は、極端に言えば水面には興味が無いのだ。水面はあくまでも画家の心象の反映であり、過去を見つめたい鏡だと思う。「水面」を絵画に選んだのは、その具象性+抽象性を利用したのだろう。モネの影響もあるかもしれない。



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   ↑:板東宏哉、(?)。



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   ↑:板東宏哉、「宇宙景 2018.14」・273㎝×182㎝ Sボード 珪藻土 花崗岩 アクリリック。


 板東宏哉の基本モチーフは「大地」だ。大地が宙(そら)にあれば宇宙だ。大地(宇宙)のうねり、呼吸、波動、空間、そこにある物と物との関係性・・・まるで抽象画家が画面で闘っているモチーフを大地(宇宙)という相(そう)で板東流に壮大な絵画遊びをしているのだろう。




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   ↑:本庄隆志



 板東宏哉が重たい大地(宇宙)ならば、本庄隆志は軽やかな風景だ。音楽的でもあり、どこかメルフェンティックだ。
 私は昔は重たい絵が好きだった。いえ、今でも好きだ。だが、年々、こういう、下塗りのしっかりした軽やかな作品が好きになっていく。歳のせいだと言われればそれまでなのだが・・・。
 軽やかなのだが、少し構成的過ぎる感じだ。画家の知性と教養を感じさせる。もう少し「踊り」や「遊び」があってもいいのでは。



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   ↑:ともに本庄隆志。左側、「大地のポリフォニー」・F100 キャンバス アクリリック。
     右側、「冬のシンホニー」・S100 板 アクリリック。

by sakaidoori | 2018-09-04 18:08 | (茶廊)法邑


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