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栄通記

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2016年 04月 29日

2503) 「第四三回 北海道抽象派作家協会展」 市民ギャラリー 終了/4月119日(火)~4月24日(日)  

 

 
第四三回
北海道抽象派作家協会展
 


 会場:札幌市民ギャラリー A室
     中央区南2東6(北西角地)
     電話(011)271-5471

 会期:2016年4月119日(火)~4月24日(日)
 時間:10:00~17:00
      (初日は13:00~、最終日は~16:00まで。) 


 【出品作家】
 同人:今庄義男(岩見沢) 小川豊(小樽) 丸藤真智子(札幌) 後藤和司(札幌) 佐々木美枝子(得陳) 鈴木悠高(札幌) 田村純也(苫小牧) 名畑美由紀(札幌) 林教司(岩見沢) 三浦恭三(小樽) 宮部美紀(石狩)・・・以上、12名。

 推薦:伊藤貴美子 木内弘子 田中季里(岩見沢)
 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー(4.24)

 会場風景と、作品をまとめて載せます。
 参加者は13名です。部分紹介になると思います。


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 大作絵画はここではよく似合う。天井は高い、広々している、黒タイルの反射もよろしい。そして、何となく冷ややかな空気感、大きな作品を近くに遠くにながめまわす。
 そういう気分ではあるが、小品がやけに多くて作品全体を小さくしているみたい。やっぱり、ここは大きな作品の迫力で突き進んで欲しいものだ。何点かの小品は展示リズムとしては良いと思うが、いささか多すぎると思った。

 (以下、敬称は省略させていただきます。)


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   ↑:(左側は名畑美由紀、右側は田村純也。手前の針金円球は田村純也、「操 -SOU- 」・立体 600×250×150.)


 良いツーショットだ。この流れで、立体作家の田村純也から始めます。


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 何年前であったか、田村純也は石作家として、元気よく抽象派作家協会展にデビューした。石は重い、その石を並べるのが彼の基本だ。作品の良し悪しを離れて、「石を並べる」という元気さ、意欲に感心している。
 石といっても、墓石風の展示の仕方で、シンメトリーを好んで展示している。見ていて残念なのは、石という素材の存在感に比して、作品群が小さく見えることだ。作風からは、「生真面目、律儀さ」が強すぎて、石自体の主張に欠ける気がしていた。
 
 田村純也は中高年だと思っていた。今回初めてお会いした。「おっ、若い!」、「石のように実直そうな作家だ」と思った。そして、今回は石ではない。針金の網を丸めての団子連なりだ。何とも軽い!石の重さにコリゴリしたのか、持ち運びもらく。気楽らくらく「田村青虫」の誕生だ。もちろん、律儀さは健在だから、綺麗に並んでとりたててヘンチクリンな作品ではない。ウエーブ状にしたのは動きが欲しかったのだろう。それに、触ってみたくなる。鑑賞者との交流もネライだろう。それよりも、「オレは何でも出来るんだ!石作家などと、型枠をはめないでくれっ!」ということだ。

 (「操」、手先でやりくりする。現代中国語の「操・cao(つっあお・1声)」、しっかりと持つ。)




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   ↑:名畑美由紀、全て「ROSE」、中央はF100、他はF50。)



 悩ましきかな名畑美由紀、だ。
 もし、今作のマチエール(色味や色質)絵画評価の基準にしたならば不合格だろう。ところが、この抽象派協会展作品は画質の高い作品が多い!あんまり上手だから、ついつい色に見とれてしまい、抽象自体の楽しみが何処かに行きそうだ。特にベテラン同人はそうだ。
 絵画の原点は「色」だから、色に拘るのは当然だ。では、どんな色味を名畑美由紀は追求しているのだろう?そこが悩ましい。
 もちろん、狭く色味だけを追求してはいないだろう。構図だとか・・・(こういう作品に構図をどうのこうのというのは、僕の能力を超えている)、画面全体が醸し出すリズムだとか、そういうのを一切合切包み込んだある種の感覚・感性を主張したいのだろう。余りに画質に捕らわれすぎたら、絵画が狭くなると思っているのかもしれない。
 それではどんな感性を紡ごうとしているのか?おそらく、本人も明確に自覚するには至っていないと思う。「喉のここまで出かかってはいるのだが・・・出てこない」という境地だと思っている。そういう名畑美由紀の「生まれいずる悩み」を楽しんでいる。




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   ↑:伊藤貴美子(推薦作家)、「MOKU」。アクリル F4×20枚 F8×10枚。
 



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 タイトルは「MOKU」。「もくもくもく」ということかな?「雲がもくもく」、「気分がもくもく」、「宇宙がもくもく」、そんなふうに理解しよう。
 こういう作品は小部屋でも中部屋でも大部屋でも成り立つ。だから、同じ作品であっても、場との絡み合いが大事だろう。一枚の作品がどうのこうのではなく、その繋ぎ、関わり、動き、リズムが勝負だ。美学的には余白としての壁が手強いところだ。しかも、今展はグループ展だから、他の世界との関わりも考えないといけない。
 日記のような一枚一枚の作品、お日様は東から昇り西に沈む日々の繰り返し。添い寝するように画家もくり返す、絵を描いて・・・その連続と非連続を「MOKU」として表現する。もっと「もくもく」すればと思った。天まで届くぐらいに、モザイク状に作品が膨らめばもっと楽しかっただろう。





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   ↑:田中季里(推薦作家)、「doors」・180×210 紙 鉛筆。



 こちらも小品の合体作品。でも、「もくもく」気分ではない。しんみりしたブルーの世界での、沢山のドア。ドアドアドア。それは未知への道標?世界を閉ざす塀?まるで坊主が「壁の前に3年」という修行気分も漂う。修行ではなくて一人遊びというべきか。




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   ↑:鈴木悠高(同人)、「drawing 01~04」・ミクストメディア。



 以前は色一色で勝負していた。最後は黄色に拘っていた。本当に修行のような絵画だった。それに疲れたのか、変貌・深化のためか、今ではその面影はない。確かに、今展の大作は以前多用していた黄色中心だが、その意味合いが全く違う。模様の風景、あるいは空間処理的な扱いだ。そして模様はどこかしらユーモラスだ。
 気になるのは、小品に露わだが、伝統的東洋画(日本画)の気分が旺盛で、余白美に拘っているようだ。その探索の過程に位置しているのかもしれない。



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   ↑:小川豊(同人)、「心のひだ 2016-4-16」・油彩 182×92(5枚)。


 「心のひだ」をずーっと表現している。初期の作品は青春の悶えのようなものも感じて共感度も高かった。最近は様式も固定化し、悩みや憂いの影は薄れ、抜群の安定感で絵画行為に励んでいる。
 僕は作品に動きや変化、あるいは意外性を好む。そして情緒不安定な人間だから、ハラハラ気分を最も楽しんでいる。しかし、思えば、画家というものは若い時とか、描き始めの頃は描きたい心象も定かではないから、あれこれと変な世界も飛び出てくる。描き進めば、自分のしたいことを自覚して、それを追求するものだ。たとえ他者からはマンネリ風に見えても、他人の為に描いているのではないからしかたがないことだろう。
 ましてや小川豊は器用な人ではなさそうだ。一本勝負の人?それはわからないが、真一文字に我が道を歩む人なのだろう。



 随分とあれこれ書きすぎました。以下、展示順番に可能な範囲で掲載します。



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   ↑:宮部美紀(同人)、「流れる Ⅰ Ⅱ」・油彩 F100×2。




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   ↑:丸藤真智子(同人)。大作は、「風邪の向こうに Ⅰ Ⅱ Ⅲ』・(3点とも)ミクストメディア F130、小品は「星の夜 Ⅰ Ⅱ」・(2点とも)ミクストメディア SM。


 以前も質感は重たかったが、より軽やかで明るかった。重たい画家になったみたいだ。「絵画の精神性」ということを追求しているのか?




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   ↑:後藤和司(同人)、「river 2016」・アクリルなど M100×3。


 今回のテーマは「川」、流れるということか。常に流れている人だ。落ち葉であったり、星屑であったり、気分であったり・・・後藤流れに身をまかそう。




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   ↑:今庄義男、「古里 Ⅰ Ⅱ」・(2点とも)油彩 90×120。



 以前のタイトルは「コリ」だった。とうぜん「古里」を含意している。今回は素直に「古里」。





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   ↑:木内弘子(推薦作家)、「奏 その1 その2 その3」・(3点とも)油彩 F100。



 「奏(かなで)」にしては、色がくすんでいる感じだ。色の発色に研究の余地がありそうだ。





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   ↑:林教司(同人)、「赫景 Ⅰ Ⅱ」・油彩 F100×2。



 気力充実の作品だ。





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   ↑:佐々木美枝子(同人)、「作品 Ⅰ Ⅱ」・(大作2点)S60。


 「美枝子ピンク」というのだろう。ピンクの持つ可愛さ可憐さには無縁だ。「怨念」では言い過ぎだが・・・。




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   ↑:三浦恭三(同人)、「関係律 16ー1 16-2 16-3」・油彩 P100 F60 F60。



 いつもと同じ仕事だが、タイトルが変わったようなきがする。「関係律」だ。数学的用語風だが、音楽的響きも共有している。
 上の全体写真は少しぴんぼくになりました。個別作品を載せます。じっくりと「関係律」を楽しんで下さい。



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   ↑:「関係律」・油彩 P100 。



 次は小品です。こういう三浦ワールドは初めてです。線描の好きな僕にはたまりませんです。



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by sakaidoori | 2016-04-29 20:43 | 市民ギャラリー


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