2016年 04月 28日
「群青」(ぐんせい)展。 ぐんじょうと読まないで下さい。 ぐんせいと読んで下さい。「群れる青い人達」です。 ーーーーーー ●第3回 丸島均(栄通記)企画 群青(グンセイ) 八つの展覧会 〔写真、絵画、書、ドローイング、テキスタイル、立体〕 「群れる青い人達」による自己表現展です。 雪固まる1月、2月・・・ 寒い・・・ 少しでも元気になれれば・・・ ●会場: アートスペース201 札幌市中央区南2条西1丁目山口ビル5&6階 電話:011―251―1418 ●会期: 前期⇒2016年1月28日(木)~2月2日(火) 後期⇒ 2月4日(木)~2月9日(火) (前期は6階3室のみ。後期は全館5室の展覧会。) ●時間:10:00~19:00 (各会期最終日は、~18:00まで) 前期・6階C室 ○「対展 Ⅰ」(写真中心の美術展) 西口由美恵 小野寺宏弥 加藤良明 黒澤智博 笹谷健 篠原奈那子 鈴木悠高 加藤エミ 橋本つぐみ 庄内直人、佐々木練・・・(以上11名。) 前期・6階A室 まる「男展」(写真展) 金侑龍 小林孝人 佐々木錬 松尾泰宏 前期・6階B室 ○「鉄の灰」(写真2人展) 阿部雄 千葉貴文 ーーーーーーーーー(1.28) 群青展(2016年)も終了して、はや2ヶ月。細かい報告をしていません。遅まきながら記していきます。全部で8個の展覧会です。最低でも10回は書かないといけない。気長にお付き合い下さい。 さて、前期・対展です。11名の参加、①として一人一人紹介していきます。全体の印象は②の最後に記します。 大きな作品だ。すっきり青空でシンプル勝負、さわやかだ。この時期、違う会場でも大きな作品を出品していた。やはりAIの大きさだった。しかも沢山だ。「大きく表現をしたい」、ちょうどそういう時期だ。 見上げる新東京タワー、よくあるアングルだが、意外な感じで迫力もある。大きな作品にしたのが効果を高めているのだろう。撮り手の素直な真一文字の感覚と、タワーの屹立する姿勢が、ともに上昇志向で駆け上がっている感じだ。 対するタワーの室内風景、情報も一杯あって、一枚の作品として見るのならば楽しめる。だが、見上げるタワーの力量感には負けた感じだ。ここは普通に「ググッと見下ろす」作品が並んだ方が良かったのではなかろうか。「対」ということで、いろいろ考えたのだろう。考えた結果はイマイチだったが、「大きな対」の試みは今後に生きるだろう。 女が女という性を、ムードを美しく撮る、チョット悩ましく。 「愛」って、「心が晴れやかでひたきな気分」と思っていたら、全く逆な意味だった。「心にせつなく何かがたまり、そぞろ歩きでなかなか前に進めない」、「後ろの人(死んだ人か?)が気になって、去りがたい」との意だった。そして「曖」は「お日様が雲に邪魔されて進みがたい、そのお日様がぼやけて見える=曖昧な姿」だ。 きっと篠原奈那子は自分の青春心象を作品化したのだろう。要するに「心が曖昧」なのだ。「青春って、そんなものさ」、と言えばお仕舞いだ。そこに人生があり作品が生まれる。作品、なよなよしていないのが良い。しかし、作品は綺麗だ。女性というものは悩んでいても美しくありたいものか?男の悩みはおぞましく醜い。 会場には被写体のモデル嬢も来てくれた。ご紹介します。藤女子大学生です。 合成写真だ。西口由美恵も青春ものだが、こちらは「群れと個」がテーマだ。群れは群集であったり、風景であったり、何枚かの写真の寄せ集めであったり・・・そういう中で、傘を友達にして透明人間気分でさ迷っている感じ。作品心は淡々としているが、写真心は「私、写真大好き、もっともっと遊びたい、しゃしんの秘密とお喋りしたい」とつぶやいているみたい。 作品は2点あるが、それぞれが完結していて、1枚で充分な世界だ。「2点で対」、というより、「対とかいろんな要素を一枚の作品に詰め込んだ」という作品群だ。 とても絵画的な作品だ。個人的には左側の作品が特に気に入った。真ん中の何もない空間、この空間がいたく胸にしみる。「何にもないんだな~、何にもないんだな~・・・でも、気になるな~」この感触は何なんだろう?「自分自身を見つめる穴」とでも言おうか?あるいは、「見果てぬ夢の残骸・・・」 そんなわけで、右側の洗面台は余韻のような存在になってしまった。橋本つぐみの意図はわからない。ただ単に日常のモノゴトが「ジグソーパズル」に見えて、一人楽しんでいるだけかもしれない。ただ、気分良く出品したのは間違いない。仕事も忙しそうで心配していた。忙しさも悪いことではない。 とても暗い印象。でもタイトルは「進め」、この実直シンプルな命名さと作品そのものから伝わる印象が離れている感じ。 左側の後ろ向きの作品。「前に向かって進もう」ということだろう。だが、後ろ向きスタイルは作品世界を過去にも引っ張っている。過去と未来の両義性を主張しているのではないだろう。そうなると、被写体の姿とは別の問題として、写真の技術力をも前提にした表現力として「進め」になっているのかどうかだ。 右側の作品、これはもう葬送曲が流れているような場面だ。中心にはこちらを向いた男性が座っているのだろう。一目では識別しがたい。どこか死人が花道をこちらに向かってやってくる、、、そんなシュールな不可思議な世界だ。 笹谷健は「物語」を作る撮影者かもしれない。今回は、その物語が一人歩きし過ぎちゃって、見る側との距離が離れていった感じだ。彼固有の物語性を「対」という約束事が狭くしたみたいだ。きっと、「対」ということを考え過ぎたのだろう。考え過ぎることは良いことだ。だが、「考え過ぎ」が鑑賞者との距離を遠くしたみたいだ。 ②で、残りの6人を紹介します。
by sakaidoori
| 2016-04-28 18:09
| 群青(2016)
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丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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