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栄通記

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2016年 01月 17日

2483)①「こここここここ(道教育大空間造形研究室展+卒業制作展)」資料館 終了1月13日(火)~1月17日(日

北海道教育大学岩見沢校 芸術課程 美術コース 実験芸術専攻

  こここここここ 
空間造形研究室展+卒業制作展
  


  


 【参加学生】
 ギャラリー1:2年高橋乃亜 4年八谷説大 
 ギャラリー2:4年泉菜月 
 ギャラリー3:3年内藤万貴
 ギャラリー4:4年林満奈美
 ギャラリー5:4年花井みか
 ギャラリー6:3年山田大輝


 会場:札幌市資料館2F ミニギャラリー全室
     中央区大通西13丁目 
     (旧札幌控訴院
      大通公園の西の果てにある建物)
     電話(011)251-0731

 会期:2016年1月13日(火)~1月17日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:11:00~19:00
     (最終日は、~17:00まで。) 
 
ーーーーーーーーーーーーー(1.16)

(以下、敬称は省略させていただきます。)

 空間造形研究室という、なかなかややこしいことに取り組んでいる。とにかく「一部屋を使って、何でもありで表現してみよう」、というものだ。「自由な表現ができる」といえば楽に思いがちだが、なかなかそうはならない。人は言うほど自由に振る舞えない。出発は他人の物まねであったり、伝統様式の拝借だったりだ。そのほうが表現様式自体を問うことはないから楽だ。それに加えて北海道の場合は、変な表現者が少ないから、「自由をまねる」こともなかなか難しい。

 それでも彼等は、この分かりにくい分野を選んだ。選んだからには何かを発表せざるをえない。当然迫力不足の作品が多い。失敗にめげずに突き進んで欲しい。


八谷説大(ハチヤ トキオ) の場合



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 ピンボールだ。
 おー、何て楽しく、否、悩ましく、否否、自分を思い、故郷を思い、今住んでいる場を想い、ちまちまとねちっこくノスタルジックに玩具を作った。

 単品の立体作品と見て充分だ。ことさら空間造形と呼ぶ必要はないかもしれない。何にもない広い空間で、何もない部屋の空気が八谷作品に華をそえている。

 僕はこういう作品が他愛もなく好きだ。どこが良いかというと、ピンボールの表面にちまちまねちねちと地図を描いていることだ。地図とは不思議だ。記号の極みだ。「他」を見る約束事がびっしり詰まっている。それに、地図の線が細密画を構成していて、地図という客観物が主観的な肉声として見てしまう。





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 描かれているのは岩見沢だ。道教育大学が当地にあるから描いたのだろう。卒業記念だ。八谷説大は東北出身だという。このねっちこさは彼の地出身だからか?もしそうなら、おそらく故郷がこの岩見沢に隠れていると思う。それが東北魂というものだ。事物の対する愛が強い土地柄だ。
 そして何故だか知らないが「ピンボール」だ。僕のような六〇歳代はよく知っている。ディズニーランド的なミニ・アメリカンだ。盤上でネオン・チカチカ、原色ギラギラ騒がしい存在だった。
 「ピン・ボール」、作者にとってはノスタルジーの象徴かもしれない。古き物が醸し出す夢やロマンかもしれない。
 今年卒業する学生だ。古き物を抱いて明日の糧にするのかもしれない。



○2年高橋乃亜 の場合



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   ↑:「逃げる」・セルフポートレート ポスター 他。


 空間造形というより、普通に写真展と見て充分だろう。そういう意味では今回は将来のための予行演習だ。まずは「発表することに意義あり」だ。

 普通の写真だが被写体は可愛い。自分をモデルにした仮想逃避行ロマン。何点か載せます。


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 (以下、作者の言葉。)
   きっともうこれ以上遠くへは行けない
   ここが私の逃げる限界
   価値観はどこまでも背中についてまわる



○3年山田大輝 の場合



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 白いカーテンで展示会場の入口をふさいでいる。
 会期も終了した。当ブログに訪れたお客さんには中をほんのチョッピリお見せしよう・・・
 ・・・  ・・・
 ・・・

 見せたいのだが見せられない。何故かというと作者は中を見せないからだ。おそらく、もっと暗くなった時だったら少しは中の痕跡が分かるかもしれない。
 「見せない」という方法・考え方もあるだろう。しかし、それは一般的ではない。見せてどうなるかから始まるのが視覚芸術の宿命だから。

 今作は完璧な失敗作だ。見事なる失敗作だ。今作を変に誉めてはいけない。おそらく、この細胞膜のようなカーテン門が今作のテーマなのだろう。「こなた と かなた」、「境界領域の内と外」、「境界(カーテン)の美しさ」、中を見ようとする人達を見る楽しみ・・・などなど、テーマを想像すれば幾つでも書ける。だが、これらの言葉は「概念」だ。思考の産物だ。学生はきっといろいろ勉強したのだろう。今回の教訓は更なる勉強と、自分自身の視覚感覚の鍛錬になるだろう。
 山田大揮君、頑張ってくれたまえ。


 最後にカーテンの一部を載せます。


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 (②に続く予定ですが、どうなるでしょう。)

by sakaidoori | 2016-01-17 18:08 | 資料館


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