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栄通記

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2015年 02月 26日

2471)②「土踏まずのあと(道教育大空間造形研究室展+卒業制作展)資料館 終了/1月20日(火)~月25日(日)



土踏まずのあと  

北海道教育大学岩見沢校 芸術課程 美術コース 実験芸術専攻
空間造形研究室展+卒業制作展
   


 【参加学生】
 ギャラリー1:泉菜月 内藤万貴 山田大揮 
 ギャラリー2:林満奈美 
 ギャラリー3:舛野蓮 
 ギャラリー4:杉下由里子  
 ギャラリー5:佐藤拓実 
 ギャラリー6:八谷説大
 


 会場:札幌市資料館2F ミニギャラリー全室
     中央区大通西13丁目 
     (旧札幌控訴院
      大通公園の西の果てにある建物)
     電話(011)251-0731

 会期:2015年1月20日(火)~1月25日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:11:00~19:00
     (最終日は、~17:00まで。) 
 
ーーーーーーーーーーーーー(1.24)

(以下、敬称は省略させていただきます。)


◯杉下由里子の場合


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   ↑:(会場は完全な暗室空間。)




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   ↑:杉下由里子(卒業生)、「common」、トレーシングペーパー 画像 テキスト 光。



 希望の灯火のように小さな写真がある。文字が重ねられて、学生の生真面目な語りと接することになる。とは言ってもかなりの数だ。暗がりだし、一つ一つは小さいから、どうしても全体の気分との会話になってしまう。その幾つかを以下に載せます。



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 「common」、共有。
 「コモン・センス」という言葉がある。「共通感覚」と勝手に理解している(「常識」「良識」と解するようだ)。この言葉こそが「現代大衆社会」を支えている。心理学的言葉ではあるが、社会的言葉そのものだ。
 現在、人は何を共有しているか?この言葉が生まれたときには、「共有」すべき事柄は自明だっただろう。が、「共有」が危機にさらされて、あらためて人は社会の共有を模索し始めた。他人同士は何故に結ばれているのか?その結ばれの根拠は何か?未来永劫に共有できるのか?自分と自分自身との共有感覚、自分と家族、自分と親しい人々、自分と他人、自分を取り巻く社会・・・自分自分じぶんじぶん・・とエンドレスの繋がり。



 杉下由里子は「作者ー作品ー鑑賞者」の共有を模索している。

 確かに会場は他者があって成り立っている。しかし、僕には彼女自身の立つ位置の確認、自分を見つめる場・儀式ではないかと思っている。非常に迂回した自己のさらし方だ。記憶や装置という回路を利用して、自分の世界を「客観的」舞台にしている。「私はここまで心を開いた、これを見つめる他者であるアナタ、私とアナタとの間に会話は成り立つのでしょうか?」と言いたげだ。
 決して叫んではいない。作者・杉下由里子には広い空間がある、そこが彼女の安全域のようだ。私はその安全域を垣間見るだけだ。それぞれが自己の安全域から他者と触れ合う。それが「共有」なのかもしれない。





◯桝野蓮(卒業生)の場合



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   ↑:舛野蓮、「停滞」・海水(能登及び道南、木古内町のもの)映像。


 
 白い置物に映像が流れているだけ。置物は小舟のよう、人魂のよう、楽器のケーナのよう。

 (それなりに写真を撮ったのですすが、ほとんど失敗でした。)



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   ↑:(まるで地球を見ているようだ。)




 綺麗な映像だった。海の青が印象的で、置物の白さも心に残り、ただなんとなく海とか川とかを旅してしまった。

 ルーツ、自分探しの旅なのでしょう。
 映像はどうしても客観性が強くなってしまう。それでは自分が離れてしまう。何とか映像の強さに自分を偲ばせて、美しく旅をしたい。小舟に乗って、歌を唄いながら優しく旅をしたい。
 
 家系が能登半島から木古内町に移住してきた学生なのでしょう。江戸時代に北前船に乗って。もしそうなら、舛野蓮は何代目になるのだろう。先祖は漁師だったのか、商人だったのか、農民だったのか?家には語り継がれた物語があるのだろうか?彼女ならずとも気になるルーツだ。




◯ギャラリー1の場合




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   ↑:泉菜月、「それぞれの窓」・映像 布 フィルム 他。




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 門が丸くって細長いアクリル板をぶら下げる、そのアクリル板には何やら小汚く落書き、そこに何やら風景らしきものが写った映像を当てるだけ。

 そのアクリル板がスクリーンに映っているのだが、ミジンコが泳いでいるようだ。あるいは精子がたむろして明るい方向を目指しているみたい。要するに蠢いている、学生のテーマの窓の中で、窓を目指して。
 文字の模様は映像では遺伝子の二重螺旋構造みたいで、やっぱりこのミジンコは精子なんだと一人合点してしまう。それぞれの精子はぶつかり合うこともなく、自分の存在域で泳いでいるだけ。本来、射精された精子はおびただしい数で、卵子への一番到着号以外はこの世のあだ花のような存在だ。だが、そんな過当競争じみた世界は泉菜月には無縁だ。ましてや精子に付きまとう過剰性や官能などははるかはるかに無縁な言葉だ。気になるのは「窓」だけ。

 「窓」、良い言葉だ。かりに硝子で遮断されていても、人は向こうの世界を連想してしまう。「山のアナタの空遠く、幸い住むと人の言う・・・」ところの窓を夢見る。

 さて、二十歳過ぎくらいの泉菜月の「窓」はどんなだろう。四角い部屋を天上から眺めて描くのが
好きな人だ。部屋ばかり見ていたから飽きたのだろう。今回はその部屋に窓を作った、アクリル板に夢を描いた、そして部屋から外を眺めている。




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   ↑:山田大揮、「土踏まずのあと」・アクリル板 炭酸水素ナトリウム 塩化ナトリウム 足跡。




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 (内藤万貴さんと花井みかさんは記録ミスです。次回はチャンと見よう。9

by sakaidoori | 2015-02-26 11:49 | 資料館


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