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栄通記

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2015年 02月 25日

2470)①「土踏まずのあと(道教育大空間造形研究室展+卒業制作展)資料館 終了/1月20日(火)~月25日(日)







土踏まずのあと  

北海道教育大学岩見沢校 芸術課程 美術コース 実験芸術専攻
空間造形研究室展+卒業制作展
   


 【参加学生】
 ギャラリー1:泉菜月 内藤万貴 山田大揮
 ギャラリー2:林満奈美 
 ギャラリー3:舛野蓮
 ギャラリー4:杉下由里子 
 ギャラリー5:佐藤拓実 
 ギャラリー6:八谷説大
 


 会場:札幌市資料館2F ミニギャラリー全室
     中央区大通西13丁目 
     (旧札幌控訴院
      大通公園の西の果てにある建物)
     電話(011)251-0731

 会期:2015年1月20日(火)~1月25日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:11:00~19:00
     (最終日は、~17:00まで。) 
 
ーーーーーーーーーーーーー(1.24)

 実は、この期間中入院していた。暇だったから外出した。何となく当館を訪れた。運良く見ることができた。

 教育大学空間造形研究室が全館を借り切っての展覧会だ。この型式でもう何年も続いている。楽しみにしている学生展だ。
 楽しみにはしているが、なかなか気に入った作品に出会うことは少ない。思いが先行していて、形にするのに苦労している。しかもコンパクトにまとめすぎで、無我夢中さのようなエネルギーを感じることもない。もっともっと赤裸々に「空間表現」を苦労したらいいのにと思う。

 それと、「個展」経験の少なさも災いしていると思う。いかに空間造形を研究探求しているからといって、学生が一部屋を作りきるのは難しいのだろう。とくに、昨今の学生はグループ展ありきだ。「個」を見せようとはしない。今展も個展形式には違いないが、卒展も兼ねているし「みんながやるから私だって」かもしれない。個展はお金も時間も精も根も使う、仕方がない。

 しこし、今年は面白かった。あっさりスパッとストレートだった。エネルギーとか悶々とは縁遠いが、学生のりりしさを感じて好ましかった。
 
 全員を細かく載せるのはシンドイです。なるべく多くの部屋を載せたいので、言葉少なにいきます。


 まずは真っ先に見たギャラリー6から。


ギャラリー6:八谷説大の場合




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   ↑:八谷説大 「crumple(くしゃくしゃにする)」、紙(チQの面積の1/10・14乗の広さ) コンパス。



 なりの大きさの白紙をくしゃくしゃにして、あたかも地球の電磁場のようにしていた。ぶら下げられた磁石が心憎い小道具だ。磁石ー磁力ー磁場ー物と物との関係性ー親和力・・・などなど、シンプルな二つのしわしわ紙が磁石と結び合い、壮大なる物語にも発展しそうだ。地球45億年の旅という物語を。

 ちなみに、下の紙はコンピューターがくしゃくしゃしたもの。上の紙は学生自身がくしゃくしゃしたもの。折り目が随分と違っていた。

 ところで、八谷説大は四角い面を愛する人のようだ。面で構成されたコラージュ作品を見た記憶がある。彼の空間感覚は四角き面がアトムになっているのだろう。それらの面同志が結ばれて空間の分子になるのだろう。面白い感覚だと思った。面の人・八谷説大か?



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   ↑:上部のつり下げられた紙は人間である八谷説大がくしゃくしゃにしたもの。確かにくしゃくしゃだ。




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   ↑:床に置かれた紙はコンピューターという機会が折ったもの。確かに機械的だ。



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佐藤拓実の場合


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   ↑:佐藤拓実、「日本人論」・はんこ 紙 他。




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 「日本論」を考えた結果を形にしたもの、と学生は記している。

 この展示風景に見える、どこか神がかった型式、様式美を「日本人」として把握しているのか?ブラック・ユーモアとしての儀式にも見える。鉢巻きして、天皇をご神体として拝礼し、「乾坤一擲なせばなる、なさねばならぬ何事も!言行一致、突貫あるのみ!」という大東亜大戦争を思ってしまった。







林満奈美の場合



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   ↑:(入口からの光景。)




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   ↑:林満奈美、「道と川と暮らす場所」、布(衣類、寝具等) 糸 枕 布団 ハンガー 等。



 ちょっと寂しい。

 タイトルに「道」とか「川」があるから、流れ流れる日々の暮らし、流れる時間といつもそこにある私の暮らし。並べられた物は学生自身の生っぽさがあるはずだが、展示空間に綺麗さ漂いは生理からは遠く、普段着からも遠い。そんな淡々とした中で、少しでも「何か」を確かめようとしているみたい。




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 布団に川と橋。布団は寝るところ、夢見るところ、汗をかくところ、男と女の営み所、そこに小川が流れている。かぼそき橋が架けられている。布団の中、渡ろうか渡るまいか。川に沿って歩いてみようか・・・たゆたゆしい学生作品だ。夢に追いすがるでもなく、ただ淡々と布団を楽しんでいる。秘め事深き布団であっけらかんと遊んでいる。着せ替え人形達の部屋のようだ。これはやっぱり女の子の部屋なのだろう。




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 一本道の刺繍が意地らしい。




 ②に続く。

by sakaidoori | 2015-02-25 23:45 | 資料館


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