2014年 08月 17日
蒼野甘夏 日本画展 「ゆめとしりせば」 会場:茶廊法邑 東区本町1条1丁目8-27 電話(011)785-3607 期間:2014年7月30日(水)~8月11日(月) 休み:火曜日(定休日) 時間:10:00~18:00 (最終日は、~16:00まで) ーーーーーーーーーーーーーーーー(8.7) (以下、敬称は省略させていただきます。) 広い会場を、近作に過去作、大作に小中品作とオーソドックスな展示構成。ゆったりと蒼野甘夏を見ることができた。当然最近作もあり、彼女の動向がうかがわれる。もしかして、見に行けれなかった方もいるでしょう。以下、いくつかの視点で紹介します。 やはり目に惹くのは4m前後の大作2点。 写真①の左側の大作は撮影ミス。タイトルは「BATUCADA」・2012年 179×396㎝ 和紙 岩絵具 箔。 その部分図だけを載せます。 写真②の大作を再掲します。 あまり良い写真ではないので、いくつかの部分図を載せます。蒼野甘夏魅力を確認して下さい。 次はより新しい細くて横長の作品。 「蒼野甘夏も色っぽくなったな~。やっぱり日本画は髪だよな~。今回の目の表情はこうきたか・・・」、とりとめもなく色んな印象が湧いてくる。 以前の甘夏ワールドは、「ふっくら少女雰囲気に包まれて、楽しくてかわいい」という感じで見ていた。肌の描き方や輪郭表現がまろやかだから、そんな気持になったのだろう。それと、同じ日本画でも教育大学系の日本画とはムードが少し違っていて新鮮だった。今では女史の作品を見慣れたわけだから、出身校との違いを新鮮などと言っても始まらない。彼女に即して楽しまなければならない。そういう意味で今展は、彼女の流れと最近の関心を確認できてよかった。 次は、おそらく今展用の最近作だと思う。 ↑:右側、「Summer time」・2014年 65.2×45.4㎝ 和紙 岩絵具。 僕にとっての今展の目玉はこれらの最近作だった。歌舞伎を背景にして現代浮世絵を描いているみたい。画題はまだまだ歴史物情緒が大半だが、今風な画題がどんどん入ってくるかもしれない。もっとも、そうなると「美人画」というジャンルの問題があるかもしれない。 上掲の作品群は「美人画」と言っていいはずだ。だって、「美人をありのままの姿から離れて、日本画の美で描いている」からだ。 ところで、1980年代以降に、「美人画」という言葉は影を潜めた。いや、適時使われているのだが、「ジャンルとしての美人画」は成立しがたくなった。一つに、女性の社会参加が一般的になり、男の観念としての「美人画」にリアルさを求め難くなったから。一つに、性風俗環境の劇的変転があるだろう。三つに、「女性美」に対する多様化、などを考えている。 かつて上村松園という女性日本画家が「美人画」を代表していた。別に男性の理想美としての「美人画」を描いてはいなかった。明治8年の京都生まれの人だ。京都人の「美人感覚」が血肉化していたのだろう。その表出としての「美人画」だ。 蒼野甘夏は歴史的にも、風俗としてもかつての「日本画」を描く環境にはない。今は明治大正風の流れにいるが、どんなふうに現代感覚を取り込んでいくのだろう。 会場外の入口付近で上掲の作品を見つけた。線を描く蒼野甘夏が、墨画にチャレンジしている。今年描いたわけではないが、何らかの思惑があっての展示だろう。こういう墨画も現在進行形で取り組んでいるのかもしれない。それにしても見慣れている彼女特有のしなやかさからは遠い。たまたまの試みか・・・、新境地の開拓か・・・。
by sakaidoori
| 2014-08-17 12:10
| (茶廊)法邑
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丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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