2014年 07月 31日
後藤和子展 青の災禍 会場:ギャラリー創(ソウ) 中央区南9条西6丁目1-36 U-STAGE・1F (地下鉄中島公園駅から西に徒歩5分。 南9条通り沿いの南側。) ※駐車場は2台分完備 電話(011)562ー7762 会期:2014年7月30日(水)~8月10日(日) 休み:火曜日(定休日) 時間:11:00~18:00 (最終日は、~17:00まで) ーーーーーーーーーーー(7.30) (以下、敬称は省略させていただきます。) 後藤和子は「青の人」だ。空の青、海の青、川の青、滝の青だ。柔らかく優しく、では無い。筋骨隆々とした骨ぼったさで、激しく逆流もする。 その愛して止まない「青き海」が、3月11日にまさしく逆流して人間社会に大きな災いをもたらした。自然が、青が、人々に恩恵だけをもたらしはしないことを後藤和子は知っている。だから激しき青が好きなのだろう。そうはいっても目の当たりに青のすさまじさだった。その青に対する鎮魂と、自然と人間社会との往還を再確認するのが今展のようだ。 このイスに座って正面を見る。すると、次のような絵画世界が拡がる。 この青い風景を見るだけで今展は充分かもしれない。 二つの物語がある。 右側の作品--真ん中を左右に川が流れている。中央に道ができていて、誰かがこれから渡ろうとしている。 作品は紙を貼り合わせているのだが、単純に貼り合わせてはいない。二枚の紙(支持体)は上下を互い違いにして、上下関係を否定している。貼り合わせは作家の理知的所作だから、「並列関係にしたいという思い」を確認すれば充分だろう。そのことによって、我々が何かに気がつけば幸いだろう。 青のみによって表現された川と道と人と横断。もしかすると、それは僕の見当違いかもしれない。間違っても構いはしない。そういう「風景」をイスにもたれて静かに見る。「祈り」に誘われる人がいるかもしれない。「三途の川」を見るかもしれない。単に「青い風景」に心落ち着かせる人がいるかもしれない。 左側の作品は本来の後藤和子らしい激しさだ。結局、彼女自身はここから始まりここに還るのだろう。やはり「強い青」を求めて。 今展はこのイスに座って二枚の青い風景をみるだけで充分かもしれない。白地に染まる青い風景を。 メビウスの輪だ。 骨太の青の人だけあって、立体作品もゴツゴツしている。見かけの優しさを否定している。「生きるとはゴツゴツなのだ」と。 今展は、このメビウス的連環で成り立っているのだろう。それが、3.11に見いだした画家の結論なのだろう。「あなたと私、わたしと貴方」はメビウスの輪のように繋がっている、と後藤和子には。それは彼女の夢や願望かもしれない。誰かと共有できると信じているだろう。それが画家というものかもしれない。 何に見えますか?僕は蓑虫(みのむし)だ。浪や津波を表現したものかもしれない。
by sakaidoori
| 2014-07-31 22:16
| 創(そう)
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丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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