栄通記

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2014年 07月 26日

2428)「『海老AB展 ビセン2GA・2GBポスター展」 アートスペース201 7月325日(木)~7月29日(火)

        

ビセン 2GA・2GB ポスター展 

     海老AB展」            



 会場:アートスペース201 6F 全室 
      中央区南2条西1丁目7
       山口中央ビル 6階 室
      (東西に走る道路の南側。)
     電話(011)251-1418

 会期:2014年7月325日(木)~7月29日(火)
 休み:水曜日(定休日)
 時間:10:00~19:00

ーーーーーーーーーーーーーー(7.25)


 大きくすっきり楽しい展覧会だ。

 ビセン(北海道芸術デザイン専門学校)の課外授業の一環展でもある。グラフィック専攻の二クラスの学生達だ。授業だから専攻学生は全員出品している。先生も在廊している。生徒も4人、受付を兼ねての出席。

 「ポスター展」、テーマは「わたし」。それと小冊子が並んでいる。6階3部屋での展示だが、まずは右側の部屋を載せます。「私」に注目して下さい。





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 中央にぶら下がっている作品は裏表別々です。このぶら下がりポスターはトリッキーな印象を会場に与えていた。





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 テーマが「わたし」とはなかなか悩ましい。だからというわけではないのだろうが、ポスターに付きものの標語だとか、月日や時間を明示した必要不可欠な告知文はない。だから、「わたし」ということがわからなかったら戸惑うかもしらない。

 ですから、以上のポスターを「わたし」として見て下さい。
 この場合、ほとんど全員が「自分自身」をテーマにしている。「『私』というものを人はどう考えるか?」という視点はない。だから、デザイン性の強い「絵画」ともいえる。


 どれもこれも面白くて、「この作品!」を選ぶことができなかった。主観性オンリーだし、学生の説明文も肉声を伝えているし、これはこれで一つの青春群像展だろう。






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   ↑:丸尾美波、「重ねる」。


 ピンクの◯◯でできている。重なって色も濃くなって、煙のようの舞い上がっている。気持がふんわりと大きくなっていく。一番好きな作品かもしれない。
 丸尾美波君は、「◯の形は自分で、だんだんと成長していく姿」と記している。こんなに淡くピンクに成長するなんて考えもつかない。見習いたいものだ。






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   ↑:橋本千春、「19」。



 セピア色でもないし、懐古趣味でもないのだが、今の「19歳のわたし」に過去のいろんな事が詰まっているという感じ。画面一杯に気を配り、動きも強さもあって目を惹いた。一枚の紙が映像のようでもあった。






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 小冊子は好き勝手に作っていいとのことだ。だったら、落書きお絵描き小さいの大好きな学生のことだ。小綺麗にすることだけを考えればいいのだから楽なものだろう。無理なく自然な小冊子軍団だった。



 

 次は真ん中の部屋です。




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   ↑:渡辺花梨、「Rising Mind」。






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   ↑:(?)。






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   ↑:奈良岡紗瑛、「N」。



 デザイン的には細い感じで完成度がもうちょっとか。でも、手作り風のレタリングを多用したり、空間の取り方とかで、やさしさとか暖かさを感じてしまった。「やさしいデザインで賞」でしょう。





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   ↑:石井麻保子、「他力本願系女子」。


 
 タイトルが素晴らしい。「他力本願」、「皆様のおかげで今の私はあります」の意だろう。でも、「彼方任せの人生」とか、「男が働き、あたしは好きな人生をおくる」とか、情けない意味にも取れるし、ブラック・ユーモアにもなる。頭の中が一杯一杯だから、キャラに収めてスッキリしているのかもしれない。






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   ↑:北川沙織、「私」。



 ちょっとニヒルな「私」だ。



※ 以下、今展に関する余談。

 絵画としての「私・自画像」はよく知られるところだ。ところが、今展のようにデザインやキャラ性の高い中で、ストレートに「私を表現する」というのは意外な盲点だ。
 今展の学生は、大半が女性で二十歳前後だろう。「女、真っ盛り」というよりも、「女(おんな)
予備軍としての『女の子』青春群像」だ。そして、「女の子」であろうがなかろうが、女性は自分自信を鏡でいつも見ている。そういう女性が「私」を絵画という枠でなく、何でもありの様式で取り組んでいる。
 テーマとしての「私」は決して自画像である必要はないであろう。「『私』という客観的存在を人はどう見つめているか?」とか、「『私』≒表現者の学生自身」という作品もあっていいと思う。
 が、今展の多くの作品は「自画像としての『私』」ばかりだ。ところが、見慣れている「絵画」ではなく、「キャラ」や「デザイン」で表現していて、そのことが意外に新鮮だった。



 閑話休題、展覧会の様子を伝えます。




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   ↑:亀山貴大、「子孫繁栄」。



 さすがは男子学生だ。高みから自分を見つめている。
 「子孫繁栄」は個人にとっても社会にとっても望ましい。が、「表現」となると価値あることでも「本当にそうかな!」ということになる。「増殖」が「永劫循環」にもなっていて、ブラックユーモア」どころではなくなる勢いだ。







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   ↑:宇賀友里奈、「LOVE」。



 作品としては余白の部分が軽すぎた感じだ。それと、頭の中のものたちも重なりもせずに動きが乏しい感じ。
 ところが、この余白部分にキャッチコピーや、例えば展覧会のタイトルや月日などの項目を入れると、作品の表情がもっと生き生きする感じだ。
 自立度は弱いが、他の要素とのマッチングは格段に良いと思う。






 最後は左側の部屋です。各部屋各部屋に気になる作品があるので、満遍なく報告することになりました。




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   ↑:中川原茉奈、「産みの苦しみ」。



 キツイ作品だ。学生の解説文も、作品以上にストレートな言葉で吐き出している。
 でも、このキツサを「産みの苦しみ」と語っているところに出口がある。





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   ↑:紺野静香、「おちょぼぐち」。



 自分のコンプレックスである「おちょぼぐち」がテーマ。
 たらこ唇で不気味に遊んでいる、そんなイメージだった。コンプレックスだったのか。こうして綺麗に?吐き出したら気持ちよかっただろう。

 しかし、僕もおちょぼぐちだがコンプレックスなど感じたことはない。同じ現象でも人それぞれなんだな。





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   ↑:芳賀彩緒里、「リュックの中身は?」。



 明るくて楽しい気分になってしまった。





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   ↑:藤田あい、「my hert is with you」。


 写真の好きな人なんだな。大きなカメラに小さな写真の組み合わせに発表者のカメラに対する愛を感じてしまった。





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   ↑:横溝静紅、「逃走劇」。



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 男が走って逃げているのか?女である横溝静紅が走っているのか?
 「男」が転がっている。

 いずれにせよ、男と闘っているのだろう。男と闘う?もちろん、「愛」という闘争なんだろう。
 作品はまだまだスポーツ選手のようだ。将来の男女相食む肉弾戦の予行練習かもしれない。





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 セーラー服の小冊子をめくっていたら、「下から覗いたら見えますよ」と受付嬢に教えてもらった。「ありがとう」と応えて実践した。確かに・・・。




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 「火曜日までです。是非見に来て下さい!!宜しくお願いしま~~す」

by sakaidoori | 2014-07-26 23:47 | アートスペース201


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