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栄通記

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2014年 07月 22日

2422)「谷口顕一郎展 凹みスタディ #28 -琴似川のための考察-」テンポラリー 7月19日(土)~7月27日(日)

  


谷口顕一郎展 
 凹みスタディ #28
 

     -琴似川のための考察-           



 会場:テンポラリー スペース
      北区北16条西5丁目1-8
       (北大斜め通りの東側。
       隣はテーラー岩澤。)
      電話(011)737-5503

 会期:2014年7月19日(土)~7月27日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:11:00~19:00 

ーーーーーーーーーーーーーー(7.20)




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 (以下、敬称は省略させていただきます。)



 イエロー・モンスター?ここは彼等の檻?イエロー・トリックスターであり、揺りかごだろう。


 前回の川上りえ女史の立体作品は構造物それ自体に重きはなかった。
 今回の谷口顕一郎・立体作品は女史とは真逆で、作品自体にふんだんに物語がある。しかもその物語は前編と後編の二本仕立てだ。そして、その前後編の狭間に断絶がある。今は物語と作品の壮大さと遊び心での制作で安定したバランスを保っている。・・・おいおいとその辺を語りたい。


 さて、作品の前編、「物語」を説明します。



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   ↑:(今展のパンフレット表紙からの切り抜き。)


 上の写真、旧琴似川が埋め立てられてアスファルト道路に変身し、その道路の「凹み」に今回の作品をはめ込んだ姿だ。川筋という地盤は周辺とは強度や質を異にする。その違いが長い年月の間に「凹み」という現象を地上にもたらし、「かつては此処に水が流れていたのだ」と主張したことになる。
 谷口顕一郎はそこに着目する。その姿に、環境にビビッと彼の美学が感応する。その模様を剥ぎ取る。模様の中に自然や風土や都市をもぎ取ったと言える。その行為に、その模様に、その場の環境に我々はいろんな想いを抱くことになる。物語の誕生だ。フロッタージュの岡部昌生氏と同じと理解したい。ここまでが物語の前編だ。

 岡部昌生氏は徹底的に現場主義だ。剥ぎ取る行為自体が作品になる。炎天下であれ、指先にたらたら汗を流してフロッタージュする。現場から半歩たりとも後退できない。現場=制作=作品だ。この関係は硬直している。互換性がない。美術家としては危険な関係だ。あまりに自由がない。これのみに一生を捧げれるか?やはり無理だった。いまでは作品の見せ方が重要になっている。明らかに「現場=制作=作品」とはズレた問題に精力を傾けている。

 自由人であり遊び人でもある谷口顕一郎はこの現場主義オンリーを否定する。岡部氏の危険を見事にかわした。それも見せ方という姑息な手法ではなく。
 現場で凹みの形をトレースして、アトリエで黄色いプラスティック板で再現する。
 彼にとっての現場とは、母体のようなものだ。だから、プラスティック板で再現したら、現場に帰ってはめ込んでみる。これは儀式だ。正確さの確認だけではない。これから美術家としての自由な振る舞いを報告するようなものだ。その模様を切り刻んで蝶番で繋いでいく。それを畳んだり拡げたりして好き勝手に遊ぶのだ。凹み母体に安全安心を保証されながら自由に遊ぶことも大事なのだ。枠という定型縛りから自由を確保した。

 今展は原板は同じだが、刻み方を変えて違った形の作品を作った。会場風景の幾つかの作品は兄弟のようなものだ。拡げれば皆同じになる。クローン凹みなのだが、全く違う作品になった。
 ここだ!確かに今は社会的痕跡の強い凹みが欠かせない存在だ。だが、実体としてではない凹み模様もあるかもしれない。彼の中の自由と遊び心が一切の制約から離れることを欲したら、自分だけの物語としての凹みに出会えば、前半の物語部分は薄れていくかもしれない。自然とか社会とか歴史とか文化とか、そういう物語でない物語を彼が発見したら、作品は今とは違う遊び方をするだろう。




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 2階の様子を載せます。資料等もあります。




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 解りやすい物語で接する人にやさしく語る谷口顕一郎。今はけれんみもなく大きく開花している谷口ワールド。今は安定期、充実期だと思う。20年、30年後はいかに変貌していることか!美学者谷口顕一郎をより鮮明にしているだろう。期待して彼の真の変身を待とう。しかし、62歳の私はどこまで確認できるか・・・。






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by sakaidoori | 2014-07-22 21:41 | テンポラリー


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