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栄通記

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2014年 07月 17日

2414)「第9回 櫂展(梅津薫 川本ヤスヒロ 斎藤継火 田崎謙一 他7名の有志展)」時計台 7月14日(月~7月19日(土

  
  
 


第9回          


 会場:時計台ギャラリー 2階A・B・C室
      中央区北1西3 
       札幌時計台文化会館
      (中通り南向き)
     電話(011)241-1831

 会期:2014年7月14日(月)~7月19日(土)
 時間: 10:00~18:00 
      (最終日は~17:00まで。)

 【参加作家】
 梅津薫 川本ヤスヒロ 斎藤継火 田崎謙一 福島孝寿 藤井高志 渡辺貞之 
 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー(7.15)

 当館2階全室、7名による有志展。
 特にAB室にはそれぞれの大作がありメイン会場。その部屋を中心にして、しかも一部の作家のみの感想記です。


 (以下、敬称は省略させていただきます。)


 まずはA室は--



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 そしてB室は--



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◎ 田崎謙一の場合


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   ↑:田崎謙一、「埃及幻想『王家の墓』」(未完)・213×517㎝。



 今回は何と言っても田崎謙一だ。間違いなく彼の代表作になるだろう。(北海道)近代美術館の収蔵作品に推薦しよう。時代の風潮をもろともせずに、闘う男・田崎謙一ワールドが全面開花した。僕はこの時をまっていた。
 ただ、この主義主張、美学が現代の感性を代表しているかとなると疑わしい。国家なり社会なりに直截に芸術でモンクを言う姿、それは日本では過去完了形の時代精神ともいえる。しかし、氏は時の流れに関係なく抵抗する姿勢を保存し膨らませていた。この絵画、一人仁王立ちしているではないか。
 
 以下、部分図を載せます。


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   ↑:(上掲の部分図。)



 上の写真、人の顔や姿が見え隠れしている。皆さんは何人ぐらい発見しますか?僕は瞬時に3人ほど見えて、次々に人が現れてきて8人になった。





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   ↑:(上掲の部分図。)




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   ↑:(上掲の部分図。)   







 凄まじい万華鏡だ。ある種の墓場だろう。激しい闘いの相があるが、血染めの赤や闇夜に染まる濃い青や黒はない。薄いピンクは女性の豊満な皮膚のよう。それは絵画の中では朽ちた皮膚とか骨なのだろうが、滅びのおぞましさはない。むしろまだ生きていて、そこで自然増殖している姿がおぞましい。
 もしかしたら、画家は「生きとし生きるものへの愛、そして彼等の滅び」に美学を持つ人かもしれない。それは古典的「滅びの美学」に近いのだが、それでは現代の相をロマンティックに語ることでしかないのだろう。
 皮膚色に象徴される生きとしものたち、墓場であり、修羅地獄であり、増殖する悪性腫瘍!そこにこそ誕生があると信じているようだ。きっと豊満な女性が好きな方だろう。なぜなら常に孕んだ姿だから。









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   ↑:田崎謙一、「MUTATION(萌芽)」・100S。




◎ 山本ヤスヒロの場合





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 田崎謙一が超大作スペクタルで大決算を企てた。

 川本ヤスヒロはずーっと死を見続けていたが、いよいよ乗り越えて調和と歓喜の心境に達した。しかも「楽しく楽しく歌声合わせて・・・」みんなが一つになろうとしている。
 「一つになる」、それは願望でしかないかもしれない。だが、今回の姿は素直で明るい。拘りが吹っ切れたのだろう。もっとも「素直で明るい」は氏の特徴ではあった。だが、チョッピリ格好良くしたいという余分もあった。今回、言葉通りに「素直に素直に」と自分に言い聞かせながら筆をすすめているみたい。





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   ↑:川本ヤスヒロ、「ベートーベン 第九より」・F100 。



 川本ヤスヒロの「明るく楽しく、みんなが一つに」の始まりだ。
 そうはいっても、なんとなく松本俊介の世界が垣間見える。松本俊介、ロマンティックな男であった。どの絵にも詩情が立ちこめていた。が、結果的には若死にの相でもあった。




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   ↑:川本ヤスヒロ、「奏A」・100F 。



 今回は概ね明るい絵で勝負なのだが、この作品は暗い。
 僕が氏を見始めたのは「挽歌」シリーズあたりだ。次ぎが「ロクロ」シリーズだ。明瞭に「死」や「祈り」がテーマだ。今回は「音楽」だ。しかも「みんなで奏でる演奏会」だ。「協調」と「再生」へと重点が移行した。

 そんな中で今作は暗い。やはり「挽歌」を奏でたくなるのだろう。






◯ 藤井高志の場合




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   ↑:藤井高志、「メモリー」・130F。



 藤井高志も気力充実している。後ろ向きに少年が寝そべっている。この姿はいつもの藤井ムードなのだが、目のすわった少年の横顔の大きいこと!描かれた一つ一つは記憶の残骸ではあるが、それらを踏み越える意志がバカでかい横顔に反映している。
 藤井高志は静謐を好む。常に「メモリー」という過ぎ去った時を問題にしている。追想という余韻も大事にしている。だから、象徴的事物を配したり、何も描かない面的装飾表現で余韻・余剰を醸し出したりしている。こういう時の画面は静かが基本だ。

 ところが、「メモリー」における事象や事物の一つ一つに強い拘りを示す時がある。そういう時は、比較的濃密に画題に迫り、画面構成の許す範囲で煩く描く場合がある。

 今回の大作、基本はうるさ系だ。物も煩いが、何より横向きの目が強い。珍しく画家の意志が全面を覆っている。ひたすら過去の余韻に浸る姿勢を良しとしない!そう宣言しているみたいだ。  





◯ 渡辺貞之の場合



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 かつて、「目の人・渡辺貞之」とネーミングしたことがある。画家にとって強い目の表現は無意識的だったようだ。今展は意図的に強い目を避けている。おそらく、目だけを見られるのを嫌がったのだろう。作品全体を見てもらいたいのだろう。「ドラマのような渡辺物語」全体を楽しんでもらいたいのだ。
 目でも何でもいいのだが、画中で一ヶ所だけを異様に強くすることに、どういう絵画的意味が発生するか?

 僕個人はあの強い目が好きだったのだが・・・。






◯ 梅津薫の場合



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   ↑:梅津薫。




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   ↑:梅津薫、「あの日の空 春夏秋冬 部分『春』(未完)」・341×130.5㎝。




 上の作品は春夏秋冬4連作の「春」に過ぎない。これまた超大作の部分ということになる。毎年この場で人季節ずつ発表するのかな?

 梅津薫もかつては変な作品を見せていた。感覚が凸凹していて、その意味するところはよく解らなかった。空間と闘っている、というイメージだった。
 そして、人間を含めて、今作のように普通の風景を描くことも希だった。それが何年か前に、風景に女性がでてきて、そして変さがだんだん薄れていった。要するに凸凹心が素直になった。もともと素直な人だと思うのだが、絵画に異様に頑張っていたと思う。その頑張り根性は普通の景色の中に普通に収めること方向に向いていった。その集大成がこの季節4連作だ。

 普通と僕は言った。確かに普通なんだが、以前は「普通じゃない」から出発していたから、あえて「普通」を連発しているだけで、今は「普通」の中に普通以上の何かを探求しているのだろう。


 今作は「未完」だ。だからだと思う、顔が描かれていない。今後、普通に目鼻口が描き込まれるのかな?この絵のような表情のない顔もいいものだが、さて、完成画の顔はいかに相成るや?

 それと、梅津桃源郷には男がいない。これも一種の母体回帰か?正直な画家だ。




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   ↑:(上掲の部分図。)


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   ↑:(上掲の部分図。)








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   ↑:斎藤嗣火







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   ↑:福島孝寿

by sakaidoori | 2014-07-17 23:57 | 時計台


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