2014年 07月 13日
第12回 プチノール展 -絵画・版画・絵本- 鶴田和子(油彩・絵本) 久保田道子(銅版画) 会場:道新ぎゃらりー 中央区大通西3丁目 北海道新聞社北1条館1F・道新プラザ内 (入り口は東と北に面しています。) 電話(011)221-2111 会期:2014年7月10日(木)~7月15日(火) 休み:水曜(定休日) 時間:10:00~19:00 (最終日は、~17:00まで。) ーーーーーーーーーーーーーーーー(7.10) 左側が銅版の久保田道子さん、正面と右側が油彩&水彩そして絵本の鶴江和子さん。 お二人とも、お孫さんがいるかもしれないぐらいの主婦。そして、画風はいたっておだやかで、いつもの栄通紋切り型文章にはそぐはないかもしれない。しかし、丁寧語で綴れないのが当ブログの泣き所で、やはりいつものように大上段的に語っていきます (以下、敬称は省略させていただきます。) 僕にとってのそれぞれの魅力を記します。 久保田道子・銅版画は未熟さの中での変な魅力、そして鶴江和子は絵本です。 ◎ 久保田道子の場合。 上の写真の4枚の銅版画が興味津々。で、一方的にその理由を語ってしまった。 この作品が最も安定している。輪郭線、震え気味のたゆたうしさと明快な強さが持ち味だ。何かの物語が騒いでいる、遊びや心理もこちょこちょと動いているが、楽しい気分になってしまう。 この画風が続いていけば一巻の物語になるのだが、全くそうなってはいない。おそらく、技法や表現をあれこれ研究中なのだろう。そういう意味で、以下の作品は未熟とも未完成ともいえる。しかし、不思議な味わいというか、空間表現や立体感がうまれていて、見飽きることはなかった。版画修練中のたまたま表現かもしれない。が、これだけ変な感じが続いていると、僕の指摘とは関係なく、作家は空間なり何かに拘りがあるのだろう。拘りがあるかもしれない無自覚のようだ。 (以下、作品を載せますが、僕の写真はクリアーになっていて、原画の未熟さが見えないかもしれない。) 少年が見つめている墨色の塊が良い。樹木の葉のようだが、絵としては単なる墨色の塊でしかない。そこが良い。抜群に良い。リアルな葉では表現できない怪しさがある。少年はそこに行こうとしている。しかし、どこに行こうとしているのだろう? 次の作品もそうなのだが、「追想」がモチーフだ。「あの日に帰りたい」、でもちょっと違うという軽い断絶感や空虚感。今は淡々と「過去」を見つめているだけ。そういう安定感と一連の作品の不思議さとの関係に作品の魅力を感じた。 笑ってはいるがのっぺらぼうとした少女の顔、白い。背景も白い。白昼夢的回想だ。「白昼夢だからこそ、リアルであってはいけない。これみよがしの光り燦々でもいけない」と主張しているようだ。手を抜いたような白さで。絵としての白というより、紙を意識させる白さだ。それらは間違いなく技術的未熟さにようるのだろう。未熟さが「久保田道子流の白い回想」を生んだ。 上記の僕の感想は単なる勘違いかもしれない。技術が向上したら消え去るかもしれない。作家とは違う角度で作品を見ているのかもしれない。それでも、作家の「過去」への拘り、空間に対する茫洋とした感覚に期待したい。 やっぱり茫洋と白いところを見る人なんだ。飽きもせずにただぼんやりと。 ◎ 鶴江和子の場合。 エネルギッシュな人だ。絵画も公募展用の大作をボンボンと描く。そして、絵本を描いては手作りで製本していく。絵本の絵もペン画やコラージュや水彩と、あれこれ工夫している。絵本だから文章も書く。レイアウトや装丁もいろいろで、「目指せ百冊百様」だ。 努力を苦にしない人みたいだ、研究心が旺盛で「立ち止まってはいられない、反省している暇はない、描くんだ、書くんだ、作るんだ」という人だ。 以下、絵本を中心にして作品掲載します。 以上、公募展入選作。 最後は絵本です。沢山あります。自宅にはまだまだ一杯。 絵本の筆致もいろいろ、水彩やボールペンと画材もいろいろ、ペタペタ・コラージュにペタペタ文字張りも、活字も印刷から手描きとやっぱりいろいろ。色々好きな鶴江和子さん! 僕はほとんど文章を読まなかった。老眼だから。文体や話の流れは一切わからない。だからこそ絵を楽しんだ。 見開き2頁の絵だとか、ドアップな作品とかで絵との距離感もいろいろあればと思った。 一杯物語を持っている人です。絵本は人生の伴侶みたい。 まだまだあるのですが、載せるのに疲れてしまいました。 最後は同人誌の表紙と豆本でお別れです。
by sakaidoori
| 2014-07-13 19:46
| 道新プラザ
|
アバウト
丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
検索
最新の記事
ファン
カテゴリ
全体 ★ 挨拶・リンク ★ 栄通の案内板 ★アバウトの写真について ★ 目次 (たぴお) (時計台) 市民ギャラリー (写真ライブラリー) さいとう 大丸藤井スカイホール (ユリイカ) ミヤシタ テンポラリー af 北専・アイボリー CAI(円山) CAI02(昭和ビル) (大同) アートマン アートスペース201 大通美術館 STVエントランスホール コンチネンタル 資料館 門馬・ANNEX 百貨店 (カコイ・ミクロ) 4プラ・華アグラ 石の蔵・はやし (シカク) ☆道外公共美術館ギャラリー (アッタ) 奥井理g. ★ 案内&情報 ★ 訪問客数 ◎ 樹 ◎ 花 ◎ 山 ◎ 本 ◎ 旅・飛行機・船 ◎ 温泉 ◎ 個人記 ◎ 風景 ◎ 短歌・詩・文芸 ☆★ ギャラリー巡り 写真)光映堂ウエスト・フォー (いろへや Dr.ツクール) JRタワーARTBOX ポルト 写真)富士フォト・サロン 道新プラザ 紀伊國屋書店 S-AIR ◎ 自宅 (ニュー・スター) 札信ギャラリー (マカシブ) (自由空間) 真駒内滝野霊園 サード・イアー (どらーる) 区民センター ★★ 管理人用 山の手 富樫アトリエ (プラハ2+ディープ) ★ギャラリー情報 ★ パンフより 創(そう) (オリジナル) ATTIC 美容院「EX]内 ADP 粋ふよう エッセ ◎ 雑記 ★「案内版」アバウトの写真 ☆北海道埋蔵文化センター ☆三岸好太郎美術館 ☆本郷新彫刻美術館 ☆芸術の森美術館 ☆函館美術館 ☆札幌・近代美術館 ☆モエレ沼公園 ☆旭川美術館 ☆北海道開拓記念館 ☆帯広美術館 ☆関口雄揮記念美術館 (☆夕張美術館) ☆(倶知安)小川原美術館 ☆(岩見沢)松島正幸記念館 ☆(室蘭)室蘭市民美術館 ☆北武記念絵画館 ★その他 【道外・関西】 ー [石狩] [ニセコ]有島記念館 [岩見沢]キューマル 他 [音威子府] [深川] [苫小牧]博物館 [洞爺] ☆小樽美術館 市民ギャラリー [美唄] [江別] [室蘭] [小樽] [帯広] [恵庭] 夢創館 【北広島・由仁】 [函館] [夕張] [三笠] [赤平・芦別] 【幌加内(政和)】 (くらふと)品品法邑 (茶廊)法邑 (カフェ)れんが (ブックカフェ)開化 (カフェ)アンジュ (カフェ)北都館 (カフェ)エスキス (画廊喫茶)チャオ (カフェ・soso) (カフェ)ト・オン (カフェ)アトリエムラ (カフェ)サーハビー 槌本紘子ストックホルムキ記 (画廊喫茶)仔馬 (ギャラリー&コーヒー)犬養 Plantation CAFE BLANC(ブラン) - コレクション ■ 複数会場 公共空間 ー ◎ 風景 新さっぽろg. ー ○ 栄通日記 学校構内 ー ◎ライブ路上パフォーマンス 道銀・らいらっく (コジカ) ▲個人特集 (風景)サイクリング・ロード (風景)札幌・都心 A.S.T(定山渓) 趣味の郷 公共空間・地下コンコース 六花亭 ◎今日・昨日・最近の風景 500m美術館 Room11 アルテポルト・ART SPACE サテライト 【2010年旅行記】 【2010年 ロシア旅行】 【海外旅行】 【2012年上海旅行】 【震災跡地2回目の旅】 【2013旅行記】 ◎ 川・橋 OYOYO コケティッシュ ・我が家 レタラ カモカモ 北のモンパルナス チチ クロスホテル札幌 黒い森美術館 Caballer ▲原田ミドーモザイク画 SYMBIOSIS (ハルカヤマ藝術要塞) 群青(2016) チカホ space1-105 100枚のスナップを見る会 北海道市民活動センター 群青(2018) HUG(教育大文化施設) 札幌グランピスタ 大洋(大洋ビル) - 未分類 タグ
個展(242)
グループ展(183) 油彩画(183) 企画展(153) インスタレーション(115) その他(98) 学生展(93) 現代美術(74) 写真(71) 公募展(70) 写真展(59) 総合・複合展(43) 温泉・山・旅行・雑記(42) 彫刻・金属・ガラス・陶(40) 日本画(38) 北海道教育大学(37) 版画・イラスト(31) シルクスクリーン(26) 藤谷康晴(25) 卒業展(24) リンク
○ 美術関係以外
古い日記 (サカイ・ヒロシさんのブログ) ○ 美術愛好家のブログ Ryoさんのイートアート (サカモト・キミオさんのH.P.) 散歩日記V3 (SHさんのブログ) ○ 表現者のブロブ(相互リンク?) Photo Foto Blue (コバヤシ・ユカさんのブログ) 水彩の旅 (タケツ・ノボルさんのH.P.) アートダイアリー (マエカワ・ヨシエさんのブログ) 画像一覧
最新のトラックバック
以前の記事
2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2017年 08月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 02月 more... ブログパーツ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||