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栄通記

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2014年 07月 12日

2408) 「BOOK'S ART 9th」 たぴお 7月7日(月)~7月12日(土)

  



BOOK'S ART 9th  


    


 会場:ギャラリーたぴお
      中央区北2条西2丁目・道特会館1F
      (中通りの西側の郵便局のあるビル。)
      電話・林(090)7050-3753

 会期:2014年7月7日(月)~7月12日(土)  
 休み:日曜日(定休日)
 時間:11:00~19:00
     (最終日は、~17:00まで。)

 【参加作家】
 タカダヨウ 藤川弘毅 林教司 田中季里  

------------(7.10)




 (以下、敬称は省略させていただきます。)




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   ↑:(会場入口からの撮影。)



 入口正面、厳かな背表紙の行列にしばし唖然とする。




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   ↑:林教司




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 カラーコピーだ。同じ物がが貼られているだけだから、重たくはない。が、白く静まりかえった空間で、異様な主張を発散している。作家は林教司だ。「鉄の人・林教司」がひさびさに重たく土俵を仕切っている。確かに空箱ですらない単なる紙だ。ビデオの内用に深い意味があるのかどうか?そんなことよりも、いかにも「洋物だ-」というもったぶった意匠も気に入ったのだろう。

 実在と非在の主張?虚実の横断?もったいぶった遊び?

 きっと、その全てだろう。それよりも、林教司が「何かと闘いたい!」そんな衝動が起こったのではないか。「どうだ、カッコイイだろう!」と言うかもしれない。が、本当は自分がこのコピー群、その背景の実体に勝てるかを自問自答しているのかもしれない。芸術は何はさておいて自分との勝負である。





 その右側は--



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   ↑:タカダヨウ



 最近のタカダヨウは赤い毛糸を愛用している。不純な血液というイメージだ。過剰な増殖にも、神経系の無限連鎖にもなりそうだ。どこまで激しくするかとか、空間との兼ね合いも探求中だ。

 今回、頭とその頭髪に見えてしまった。誰かの小説で、素戔嗚尊が頭の髪の中でいろんな動物を飼っているという物語を思い出した。この場合、「赤い頭と赤い髪」は生きる営みの場だ。生命賛歌だ。
 不気味さの中で「人間とは」に拘っている作家だ。ざっくばらんな赤い毛糸、どこかだらしないが、その塊から何かが産まれそう。良いものかな?悪いものかな?




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   ↑:林教司





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   ↑:藤川弘毅


 「純血の人・タカダヨウ」の次は、廃棄物造形の藤川弘毅だ。今回は清潔感たっぷりの白衣装だ。この清潔感が何やら怪しい。なぜなら、「廃棄物」と「清潔」は似合わない。何より作家・藤川弘毅の趣味とも違うだろう。



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 今作、「白の人・藤川弘毅」ではあるが、「記録の人・藤川弘毅」だ。薬などのレッテルを綺麗に閉じている。何の病気か?それはこの際関係ない。今までの藤川・廃棄物作品は、出所も名も知れぬ所有者からの贈りものであった。ゴミかもしれないが、「もう一度光を」という優しい心根(表現者根性)としての作品であった。が、今回はこれらの所有者は藤川弘毅、本人だ。つまり、ここには作家本人が白いバインダーの中に居る。一つ間違えば、本当に白い人になっていたかもしれない。そのことを淡々と白く記録した作品だ。










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     ↑:林教司




 これは驚きの秀作だ。重たく格好良く、美術館収蔵レベルでしょう。多分旧作だと思う。

 本の作り方が見事だ。紙には点字本みたいな穴が暗号のように敷き詰められ、女が飾りのようにして貼られている。コーティングされた本は、捨てられても捨てられても、朽ちることを拒んでいるようだ。
 ある朝送られてきた秘密命令入りの本みたいだ。「君の使命は×月×日、某大使館のミスターXを拉致すべし・・・、写真の女を使え、殺すべからず・・・、あと数秒でこの本は自動的消滅する」。

 重厚な遊び本だ。芸術家の過剰にして沈鬱なるエネルギーのはけ口だろう。吐き出し行為だ。ただ、林教司はカッコマンだから、汚い嘔吐は好まない。場末に光る十字架を目指している。


 あまりに惚れ惚れする本だから、少し頁をめくってお見せしましょう。



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 さて、残りの入口左側です。




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 ここは田中季里のコーナーだ。

 まるで林教司との2人展だ。呼応し合っている。闘いではない。林教司の背中を見て、自分の引き出しを手広くしようとしている。自分を見つめるきっかかにしている。

 個別作品は「本」だ。それがテーマだから。本質は「波」との戯れみたいだ。
 大きな波小さな波、寄せる波引く波、面白い波変な波、可愛い波恐い波・・・「林本には負けそう。でも、波なら私のものよ。だって、いつもいつも見ていたから」。


 以下、写真を載せます。いじらしき波達を見てやって下さい。




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   ↑:田中季里


 以下、上掲の部分図。



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 手だ。可愛い手が泳いでいる。何かを掴もうとしている。





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   ↑:田中季里




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by sakaidoori | 2014-07-12 10:12 | たぴお


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