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栄通記

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2014年 07月 06日

2397)②「第四一回 北海道抽象派作家協会展」 市民ギャラリー 終了/4月15日(火)~4月20日(日)

 

 
第四一回
北海道抽象派作家協会展
 


 会場:札幌市民ギャラリー A室
     中央区南2東6(北西角地)
     電話(011)271-5471

 会期:2014年4月15日(火)~4月20日(日)
 時間:10:00~17:00
      (初日は13:00~、最終日は~16:00まで。) 


 【出品作家】
 同人:今庄義男(岩見沢) 宇流奈未(札幌) 後藤和司(札幌) 佐々木美枝子(得陳) 鈴木悠高(札幌) 田村純也(苫小牧) 名畑美由紀(札幌) 能登智子(札幌) 林教司(岩見沢) 三浦恭三(小樽) 宮部美紀(石狩)・・・以上、11名。

 推薦:小川豊(小樽) 田中季里(札幌) 柿崎秀樹(江別)・・・以上、3名


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー(4.20)


 2396)①の続き。


 推薦作家、新同人作家を載せていきます。
 ベテランの同人作家作品は①の全体作品群で確認して下さい。


 (以下、敬称は省略させていただきます。)




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   ↑:(中央の立体作品群)同人・田村純也、「縷伝(ルイ)」・300×300㎝。



 中央でしっかり立体をしている。大仰に主張するでもなく、控えるでもなく、立ち並んでいる。作家は石の重たさを知っているから、無用な存在理由を誇示しない。それは作家の性格でもあろう。
 作品の出来映えに関係なく、この場にこれほど石を持ってくるかとに、いつも感心している。

 「縷伝(ルイ)」、どういう主張だろう。いつものように墓石の一環か。
 「縷」は「縷々」で細々と連なるということを連想する。それよりも、「アテルイ」を連想してしまった。アテルイの意志が今でも現在に連なる・・・。







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   ↑:推薦・田中季里、「long long abo」・182×210㎝。



 田村純也の墓石群に似た雰囲気だ。棺桶、そして回想を思う。

 しかし、作家は限りなく若い。亡き人を悼んでの追悼作品かもしれないが、過去の彼女の流れからすると唐突だ。恐らく、林教司の影響だろう。林教司の拘りに憧れて、自分の問題として作品化したのだろう。

 この作品の良さは中身ではなく、大きく見せたことにある。ともすれば、海辺にたたずんで小さな物語に閉じこもるかもしれない作家だ。それはそれでいいのだが、「大きく見せる、主張することも大事なのだ」と自覚したのだろう。その導きの糸が林教司だろう。氏の良いところを全部盗んで、暗さを取り払って、田中季里流の伸びやかさを大きく発揮したらと思う。林教司自身が、今展では良き軽さだ。もしかしたら、この若い作家の影響かもしれない。相互影響か?意外な展開だ。








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   ↑:同人・名畑美由紀



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   ↑:名畑美由紀、「若菜」・F100。




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   ↑:名畑美由紀、「綠青」・F100。




 今展の名畑美由紀は、清々しいリズムを構成やマチエールで追求している。そんな風に見える。そうかもしれない。これが、近年あがいていた訳のわからない表現探求道の居場所なのかもしれない。

 瑞々しくてリズミカルな絵を描く人、そんな風に画家を認識していた。
 「素直な心は良いのだが、絵画がそれではもの足りない」と画家は思っていたのかもしれない。「より人の心に訴えるもの、いや、自分自身が満足できるものを吐き出していかねば、それでは私にとって素直な心を越える絵画とは何か?」、そんな自己探求心旺盛な人であった。努力しもだえていたと思う。

 要するに、画家は自己の制御できぬ非常識な感覚を絵画に反映させたいのだ。しかし、その視覚化は難しい。何より絵画行為はとても素直なものだから、なかなか非常識で美しくないものをキャンバス化しにくい。
 美しくならざるをえない絵画、それだけでは満足できない名畑美由紀、さて、今後は今展の延長なのか?







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   ↑:同人・宇流奈未、(無題)。



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   ↑:(2点とも上掲の部分図。)



 イメージ画だろう。「宇流」、宇宙の流れを表現しているのだろう。

 とにかく描きたくて描きたくて仕方がないのだろう。その気持を当会は受け止めた。画家にとっては良き自己発散の場を与えられた。しかし、この会だけでは彼女の上昇根性は納まらないみたいだ。名畑美由紀と違って、描くことに悩んではいない。とにかく描く、燃えている宇流奈未だ。







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   ↑:推薦小川豊



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   ↑:推薦・小川豊、「心のひだ 14-1」・F130。



 名畑美由紀が「立ち止まり期」、宇流奈未が「ジャンプ期」だとすれば小川豊は「安定期」だろう。

 「心のひだ」を小川豊的造形と色合い、画質感で表現している。「安定期」だから「心のひだ」にそれほど震えがない。

 実は、「安定期」ほど画家にとって難しい時期はない。
 いや、作品にとってと言い直そう。情念や破綻よりも安心感が作品を覆う。それは年数を重ねれば画品とか、人生の反映とかにもなる。が、一方では変化に乏しいともいえる。作品表情の微差が味わいになればいいのだが、「型」にもなりかねない。
 いや、安定した作風は間違いなく「型」がある。「型」をいかに自己反芻するか、安定期とは安心して今一度自分を見つめ直す時期かもしれない。そして、「型」としての安心感ではなく、いろんな姿の安心感をみたいものだ。「あ~、こんな安心感もあるのか・・・」とつぶやきたい。

 私自身は「安心・安定」からは遠い存在だ。だからこそ、絵としてそれにふれたい。






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   ↑:同人・能登智子。中央、「響」・S100。左右の小品は「タイムラグ」。



 グレー調の色味はいつもの通りだが、絵が丸くなった感じ。
 いつもは感情線、刃線が画面で強い存在感を出していた。公募展作家だから、「強く、目立つ」を鍛えた証かもしれない。絵としての勢いとか、構図の問題が先にありきで、心象性の強さではないだろう。

 今展の丸さは、画風の変化なのか?心象性を強めているのか?





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   ↑:同人・宮部美紀。(全て)「流れる」・F60。



 川の流れというよりも、石の行進のよう。地味で力強い。





 同人作家の作品は①で確認して下さい。

 

by sakaidoori | 2014-07-06 14:07 | 市民ギャラリー


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