2014年 06月 25日
第69回 2014 全道展 会場:札幌市民ギャラリー・全階 中央区南2条東6丁目 (北西角地) 電話(011)271-5471 会期:2014年6月14日(土)~6月22日(日) 休み:無し 時間:10:00~18:00 (最終日は、~16:30まで。) 料金:一般・?00円 高大生・?00円 中学生以下・無料 主催:全道美術協会 北海道新聞社 ーーーーーーーーーーーーーー(6.19) ポスター及び招待券を頂きました。ありがとうございました。 会期は終了しましたが、その様子を報告します。 始まりは入口ホールです。ここは誰でもが真っ先に目にするところで、「今年の全道展のインパクト、全道展らしさここにあり」といった場でしょう。 (以下、敬称は省略させていただきます。) ![]() ![]() ![]() 「う~ん、ちょっともの足りない、かなりもの足りない、まっイイカ」、そんな印象だ。それなりの個性はあるのだが、ワイルド感不足だ。もっとも、これはこれだ。 ![]() 親潮にのってくる魚かな?釧路近海にいるのかな?何だろう?可愛い魚だ。 暗い背景が印象的で、三連対も興味をそそられる。不思議な魚の姿だが、あまりに愛を込めすぎたようだ。「愛」、「絵画における愛情表現」・・・生き物を描くということは、それだけで愛情表現なのだろう。だから人は生き物を描く。だが、見る人は「愛」中心に見てはいないだろう。画家の愛と見る人の非愛がうまい具合に絵の上で重なるといいのだが。 それはともかく、可愛く面白い魚だ。大きい作品なのだが、なぜかしら小振りに見えた。縄の色が三対三色別々だ。画家の遊び心か?ということは画家のメッセージが遊びにあるのか?全体の雰囲気はとても「遊び」とは思えないが。しかし、画家の主張は「愛と遊びとリズム」、なのだろう。それに何かを加えたいのだろう。 さて、メインの第一室(当展1番の部屋)です。なるべく沢山全体風景を載せます。 ![]() ![]() ![]() (以下、なるべく順番に載せますが間違いがあるかもしれません。) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 今展の全体印象を先に記します。ズバリ面白い作品が少なかった。全体の表現の幅が狭くて、意外性のある作品が著しく乏しかった。 今展を見始めて11回目ぐらいか?実は4、5年前から刺激の薄さに戸惑っている。こちらが公募展を見慣れたのかもしれない。公募展というものに多大な期待をしなくなったのかもしれない。だが、自分の見る目を信じて、原因を思いつくまま記しておこう。 全道展は独立展と少なからず連動している。独立展は人間追求型の激しさ、オドロオドロさが大きな特徴だ。全道展もそういう雰囲気を持っていた。が、この「人間追求指向」が時代に合わなくなったのではないか。否、古典的な「人間追求型絵画」が行き詰まって、それに代わる「まさに今」を提示できていないのだろう。少なくとも試みる努力不足を思う。具象中心作品は道展に行けばいいのだし、道展はそのマイペースさでレパートリーの幅を持たせている。 明るく軽く、時にはデザイン的なのも絵画ではありと思うのだが、それには全道展作家は関心が薄いようだ。生き方が多様化しているのに画家は過去のスタイルから脱皮しようとはしない。ベテラン作家は今までの道を極めるのは仕方がないが、「止まっている」感じだ。生命力が落ちた分パワー不足になっているようだ。やはり若手なり新鋭・中堅が今までとは違った雰囲気を出すものなのだが、どうも変化に乏しい。公募展は師弟関係で盛り上げている面があるが、弟子は冒険を欲していないようだ。 さて第一室だが、以前はベテラン作家が多くいた。彼等の作品が目に飛び込んで楽しませてくれた。今回、多くの著名作家はこの場にいない。そのベテラン作家の多くは次室にまとまってあるのだが、やはり刺激に欠けた。地名度の高い作家が「俺の作品を見れ!」と意気込んではいない。年に一度の一作提示なのに余りに普段着の姿に唖然とした。「普段着」、それは良いことかもしれない。画家は見る人に刺激を与えるために描いてはいないのだから。描くことを生活のように反復して、ジワジワと心の高ぶりを待っているのだろう。 ![]() 今年の最高賞。 一所懸命に満遍なく描き込んでいて好感が持てる。 確かに他の一般作家とは若干雰囲気が違う。ただ、華やかさというか拡がりが薄い。強さや動きや華やかさを訴えてはいるのだが、なぜかしら収縮的で納まりよくなってしまった。小さな宙が大きな宇宙になるのを待っているのかもしれない。 ![]() 棺桶?の中に麗しき乙女が眠っている。今風の可愛い顔、リアルな手や佇まい、清々しい眠り姿、基本は清楚なのだがどこか挑発的で、ミスマッチのようなグッドマッチのような雰囲気だ。確かに普通にある表現なのだが、普通なのに普通でない心地良い違和感を感じた。 作家は美しい女性を作っていた。その美しさが余りに普通で面白さに欠けた感じだった、ロマンの領域にいた。が、今作はこの美少女顔が良い。美術的美顔は嘘が露わで、そこが良い。 男は麗しく女性を表現せねばならないのだろう。ロマンを求めつつ、ロマン以上の存在にしなければならないのだろう。作家の課題は尽きない。見果てぬ夢か。 ![]() ドーナツという「穴」を食べた少女は「穴」を体にも心にも植え付けてしまった。「穴」は心の空虚?見果てぬ世界への入口?川上加菜流の「不思議の国のアリス」だ。 ![]() さわやか抽象、心象画だ。青い模様が水そのものに見える。気分は楽しく漂う水心か。恋は水色という。絵画に恋しているみたい。 ![]() 以前は「×」を描き込んでいた。そういう象徴性は富田絵画の特徴なのだが、今作は「町の風景」を描き込んで物語り性を強めている。 横臥するふっくらとした人物?それは富田絵画のキャッチフレーズだ。浮遊感、生と死、宗教性・・・そういうことがテーマなのだろう。僕は宗教心が薄いから富田テーマからは遠い。ただ、このふっくらとした風船のような在りよう、それは絵画の至る所に満ちているのだが、この白さと造形空間が気に入っている。どこかしらユーモラスなのも好きだ。 ②に続く。
by sakaidoori
| 2014-06-25 16:51
| 市民ギャラリー
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![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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