2013年 11月 16日
油展yuten 北海道教育大学岩見沢校 芸術課程美術コース 油彩研究室展 会場:コンチネンタル・ギャラリー 南1条西11丁目 コンチネンタルビル・B1F (西11丁目通の西側) 電話(011)221-0488 会期:2013年11月12日(火)~11月17日(日) 休み: 時間:10:00~18:00 ※ レセプションパーティ ⇒ 11/16(土) 18:30~ ーーーーーーーーーーーーーーーーー(11.14) 2306)①の続き。 (以下、敬称は省略させていただきます。) 入口付近の作品を載せます。ほとんどの人はこの作品から見ていくことになります。 前回の①では2年生作品を載せました。今回は3年生です。 はっきりとは覚えていないのだが、昨年も乗り物に関した作品では・・・。 大きなオートバイ、小さいけれど一人前の姉、頑張りスタイルだけど恐そうな妹・・・オートバイを大きくして、姉妹を小さくして、そのコントラストも楽しんでいるみたい。実際、そんな風に見えると思うのだが、描き手の意図も頷けるのだが、どこかひ弱な姉妹だ。オートバイも存在感に欠ける。写真風に納まった感じで、どこかにもっとパワーあればと思った。 「岩に取り組む・遊佐千裕」だ。 岩をぼけ気味に強く描いているのがセールス・ポイントだ。ボケのグラ―デーションに変化を付けていて、特に手前だ。表現が強いからどうしても目が行く。ボケているから判然としない。視界は落ち着きを求めて、手前から中央、左右へと拡がっていく。そして、海原へ空へと誘っているのだろう。ボケることによって存在を際立たせている。 とにかくボケが売りだ。地味で粘着的取り組みだ。さらなる粘着的深化を待とう。 これは渾身の大作だ。ビーナスだ。 惜しむらくは色の発散、輝きに欠けたことだ。どこか妖婦がかっていて、ダークなイメージも混在させている。「さやけき美しさ」でもない。力勝負という姿勢も好ましい。 これは想像だが、佐藤真奈実は色が好きだと思う。そのカラー・ウーマンと、この絵のダークな感じがもっと高次元で重なり合ったら!しかも、この絵の女性顔のような、どこか挑発気分がムンムンしていたら・・・。 描き手は二十歳ぐらいの女性だ。過度な妖艶さは求めても仕方がないが、やはり過度に求めたくなるムードがある。 ロートレック的だ。華やかな世界を暗がりから覗き込んでいる。 佐藤映里香もカラーウーマンだと思う。前回の佐藤真奈実と違って、爽やか感覚で、それだけではつまらいという意識も持っているみたいだ。やっぱり色の好きな人は、色をふんだんに使って、自分の色を楽しむなりお披露目しないと面白くない。何より自分らしさを遠慮していてもったいない。「理」や「知」で、「絵」を飾ろうとしている。おとなしい構図がそれを照明している。 心象とか関係性を絵画化したいのだろう。それを色でしないと。爽やかな色、よどんだ色、強い色、弱い色、色同士が語り合う色・・・いろんな色と遊べて、やっぱり画家はいいものだ。 風俗とまではいえないが、現代青年を描いている。今展では唯一の画題だ。 こうして文章を書いていると、初対面での印象を基本にしているが、どうしても後付けの知識としてタイトルから作品を見る場合がある。今作がそうだ。 「パンチドランカー」。ボクサーなど脳に強いダメージを継続的に受けて起こす脳障害だ。認知症のような症状を特徴として、廃人に至る場合もある。漫画、「あしたのジョー」を思い出してしまう。 この登場人物を「パンチドランカー」として見よ!ということだ。もっといえば人間をそういうふうに私は捉えている、ということだ。上手く表現されているかは定かではない。タイトル命名に関心した。 以上、3年生作品でした。 会場でお話しした院生作品を載せます。 この作品のメインの主張は、上の部分図と足先だと思う。肉体と存在と影と形、そんな橋本エッセンスが詰まっている。極端な話、それだけでいいのだ。それでは絵にならないしグロテスク、それに人物全体が好き!というのが橋本知恵の判断であり価値観だ。結果、強さ弱さなどがそれぞれ別方向を向いた作品になった。 強く描く人で、腹力を色味で押しつけているが、人物以外はズバッとした潔い力に欠けている。人物も顔はモデルに媚びを売りすぎた。こんなに漫画的な可愛い顔では太ももなどの肉体表現への愛(存在感)が軽くなってしまった。 画題にもチャレンジした。鏡を置いて裏の顔に取り組んだ。鏡の形もまん丸にして、しかも黒影を鮮明にして不思議感を出そうとした。試みは良かったが、小道具になってしまった。やはり表を強く見つめる人だから、裏を見つめる表情が普通すぎた。鏡の影も単なる黒模様で、引き込まれていかない。足に描かれた何かの影のリアル感とのアンバランス! そして、まさしく背景処理としてのバックの調度類!何ともおざなりで悲しい。 絵は正直なものだ。画家自身がそれに輪をかけたように正直で生一本だから、部分部分への愛の目配り量が見事に投影されてしまった。内発性の薄いところは形だけになった感じだ。 批判がましい言葉を並べたが、ではダメな絵かというとそうではない。自分を越える作業を彼女らしく堂々と実践している。無い物からは何も生まれない。こういう形になったということは無自覚な自分が投影されたのだろう。作品が逆に作家に気づかせる。やはり堂々と画業を続けて、自己発見をしていくしかないのだろう。
by sakaidoori
| 2013-11-16 16:34
| コンチネンタル
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丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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