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栄通記

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2013年 11月 13日

2303)①「櫻井マチ子 展」 時計台 11月11日(月)~11月16日(土)

      



櫻井マチ子  



 会場:札幌時計台ギャラリー 2階全室  
    中央区北1条西3丁目・札幌時計台文化会館
    (東西に走る仲通りの北側のビル)
    電話(011)241ー1831

 会期:2013年11月11日(月)~11月16日(土)
 時間:10:00~18:00 
     (最終日は、~17:00まで)

ーーーーーーーーーーーーー(11.12)

 今年3人目の、当館2階全室の個展だ。どの個展も素晴らしい。さすがは全室を埋める勢いは見応えがある。


 櫻井マチ子展・・・華やかに華やかに、ちょっとピンク、かなりピンク。ちょっと可愛くてセクシーで、ちょっと嫌らしくて悩ましい。笑って遊んでハッピー気分、でも、この女心の大胆さはちょっと恐いかも。
 ノーテンキに楽しく見ても構わない。こちょぶられるエロスに、よだれを垂らす男性がいるかもしれない。そんな明るくて健全な非常識ワールドだ。画題を追っかけるのも良いでしょう。彩なす模様にも関心が行くことでしょう。そして、「色」です。「色味」を追求している画家でもある。画題や構成は画家の知性、感性、想像力の結晶だが、「色」は画家魂の結晶だと感じた。



 ABCの3室の構成を簡単に記せば・・・、

 A室は大作で既発表作。
 見慣れた作品もあるが、こうして一望に接すると、似た世界での微妙な移り変わりを楽しめる。

 B室は新作でそろえた。
 タロットの大判を連想してもらいたい。以前はピンク中心の画家だった。綠やワイン・レッドが中心に躍り出ている。「可愛いピンクの櫻井マチ子」が、それなりに移ろいでいる。というか、レインボーだ。特定色への拘りが薄れて、どんな色も描きたいのでしょう。もちろんモノトーンは論外。白も黒も色には違いないが、とにかく華やかさが櫻井ワールドだ。

 C室は小品がうるさく楽しく賑やかに並んでいる。面白いのは、半分が額装付きで、半分がキャンバスのみの作品という割り振りだ。
 画家はゴージャスさを好む人だ。だから額もデラックス。どちらが良いか?これも個展の魅力でしょう。


 以下、各室の全体風景を載せます。


 始めはA室


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 次はB室


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 最後はC室



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 どの部屋も僕は拘って見た。「狂気」というのではないが、そんな露骨なことを嫌がる画家だと思うのだが、可愛いくて華やいだ世界に時折ちらつく情念、執念の深さに感心した。
 それと、セクシーさを正直に出す姿が素晴らしい。セックスは閨の出来事、露わな姿は秘め事で、それを楽しく感じるのが画家の勤めとわきまえている。「エロスは良いが、エロはダメよ」だ。人の願望をチャンと押さえて、そこを出発点にしてその先に絵は何をできるか、何を提供できるか、画家自身が飛躍できるか、それが今までの画業ではないのか、そんな妄想を抱きながら見た。



 A室の作品を載せます。


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   ↑:「色即是空 (ああ、わたしだってカタルシス)」。


 この作品は全体の中でもかなり異様だ。真ん中に仏(菩薩)があるし、絵の模様も遠くから見ればわかるが、女性器そのものだ。何よりも色の追求が激しく厳しくて、ピンクを越えて紫になっている。
 およそ櫻井ワールドには宗教性は不向きだ。が、画家というかアートマンは、時折神がかり的な境地になる。概ね胎内回帰を通して、あらぬ世界を見せる。芸術家はそういう要素を抱いている人なのだろう。普段は余り出さない、スイッチが入ると凡凡から非凡、超凡人になるのだろう。
 今作、まさに女性器を通して胎内回帰という宗教儀礼を無意識にしたのだ。





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   ↑:左側、「密華」。



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   ↑:「very very」。




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   ↑:「のん、のん」。



 櫻井ワールドは頑張るとピンクが可愛さから不思議さになる。色のグラデーションを追求している証だろう。その色味が深い時は描き込み過多になり、力感を感じる。このパワーは爽やかエロスという画風からは偏りがちで、もしかしたらオーソドックスな櫻井ワールド・ファンからは疎まれるかもしれない。が、時折見せる入れ込み、色込みも間違いなく彼女の魅力だ。





 B室は新作。
 3点だけ載せます。残りは是非是非会場で楽しんで下さい。タロットのような、トランプのような「アダルト ベイビー」たちです。1年間でこれだけ描き上げた。素晴らしい。

 


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   ↑:「アダルト ベイビー (魔女の証言)」・M80。 



 ピンクが高じて紫というか、爽やか赤というか、格好良くワイン・レッドというか、かなり楽しめる色味です。




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   ↑:「アダルト ベイビー (夜に 遊ぶ)」・M80。



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   ↑:「アダルト ベイビー (かめさんの言い分)」・M80。




 長くなりました。C室はの小品は後日、②に続く。

by sakaidoori | 2013-11-13 22:33 | 時計台


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