2013年 10月 20日
西田宏道(ひろじ)遺作展 ~池袋モンパルナス・アトリエ村 最後の絵かき~ 会場:ギャラリー 北のモンパルナス 西区二十四軒4条3丁目3-15 清水マンション105 (札幌第一病院の東隣。 地下鉄琴似駅5番出口より徒歩5分。) ※ 駐車場無し 電話(011)302-3993 会期:2013年10月1日(火)~11月2日(土) 休み:日曜・月曜・祝日 時間:11:00~18:00 企画:当館 ーーーーーーーーーーーーーーーー(10.19) 昨年の2月に、93歳で亡くなられた水彩画家の遺作展。 L字型の会場風景を載せます。 遠目に作品を眺めるだけならば、普通の風景画が並んでいるだけでしかない。(以下、沢山の写真報告をしますが、おそらく「普通の風景画」としか見えないでしょう。やはり原画を見に行って欲しいものです。) チャンと作品の前に立って対面すれば、その画力に驚かされる。印象を簡明に記そう、「バックボーンがしっかりしていて強くて太い、大きい」に尽きる。おそらく光のとらえ方が良いのだろう。風景の中の光と、そこを見つめる画家自身の光が合わさって、作品を大きく明るくしている。当然健康的で若々しい。全ての源は風景を見つめる強さだと思っている。 真っ先にお気に入りの個別作品を3枚載せます。 達者な作品だ。光、色、線が乱れ舞っている。 凛とした存在感だ。何が?全てが。 今初めて「ナナカマド」と知った。「雪」だとも知った。冬の北海道か? 「何を見ているのか?」と言われそうだ。 絵は見た!絵から受ける印象に引っぱられ過ぎた。画題は視野から飛んでいた。お気に入りの作品は全てそうだった。逆に言うと、画題が真っ先に飛び込んでくる作品は、僕にとっては世界が違うということだ。 黄色が膨らむ。やはり燃えている。その根っこで線という姿で、何やらが妖しく飛び交っている。妖しいと言ってもどこまでも健全な姿だ。 やはり、自然の生命力に惚れ込んだ人なのだろう。絵だから風景として草木を主人公にしているが、それは仮の役割であって、自然丸ごとが眼中にあるのだろう。 男が花を描けば、どこかに「女」がいちらつく。彼の場合は「女」ではなく「青年」を常に見つめているようだ。その「青年」の性よりは生命力に、ぞっこん惚れ込んで、一生の伴侶にしたようだ。 以下、全作品を載せます。僕の選択は彼の一部でしかありません。あえて、その一部で「西田宏道」の全てとひとまずは理解しています。 画板(ガバン)です。板画だと思った。長い作画歴のある人だから、押し入れに仕舞い込まれていた若き頃の作品かと。 画家はこれを持ち歩いて風景の中に入り込んでいたのだ。まるでゴッホのように。ゴッホは余りに情熱過ぎてそのエネルギーが絵からはみ出てしまった。 画家は変わることなく自然を伴侶にしてしまった。仙人のような振る舞いだが、作品は常識の範囲以内で大きく輝いていた。 この作品が、今展の中では一番古いのでは、とのことです。 作品には全く制作年を示す痕跡がない。画遷なりを語ろうとすれば、故人の知人や関係者の聞き取り調査から始めないといけないだろう。大変な努力だ。「池袋モンパルナス」の美術関係者がどこまで彼に関心があるかによるだろう。 以上、右回りで作品を見てきました。 もう少し個別作品を載せます。 亡くなられた場所は、東京都の「池袋モンパルナス」と呼ばれているアトリエ付き住宅。戦前は一世を風靡した名称だが、今は取り立てて美術界に位置を占める場ではない。 お名前は西田宏道(ひろじ)さん。独り身。 彼が水彩画家であることは、狭い友人知人以外にはほとんど知られていない。評価が低かったのではない。発表歴零だから、評価以前の人だ。だから、生前は絵を描く人ではあるが、画家とは呼ばれない人だろう。今、終の棲家からはるか離れた場所ではあるが、北国での初登場画家になった。 隣室は喫茶ルームになっている。そこにも壁一面にいろんな絵画が並んでいる。 西田作品も場を占めていたので、載せておきましょう。もう二度と本編への登場が無いかもしれないから。
by sakaidoori
| 2013-10-20 17:38
| 北のモンパルナス
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丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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