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栄通記

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2013年 10月 14日

2259)③「学生美術全道展 第55回」 市民g. 終了/10月5日(土)~10月9日(水)

   

  

第55回 学生美術全道展  

  


 会場:札幌市民ギャラリー・全館
     中央区南2条東6丁目
     (北西角地)
     電話(011)271-5471

 会期:2013年10月5日(土)~10月9日(水)
 休み:
 時間:10:00~17:00
 【参加高校生】
 とても沢山。

 主催:当協会 北海道新聞社  

ーーーーーーーーーーーーーー(10.5)


 2246)①、2248)②の続き。

 (以下、敬称は省略させていただきます。)


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 少し忙しかったので、会場風景しか報告していません。ゴチャゴチャ語るのが本ブログの生命線です。会期は終了しましたが、細々ながら個別作品を載せて行きます。掲載順番は撮った逆の順番です。



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   ↑:おといねっぷ美術工芸高校 1年・梶夏季、「感情蓄積物」。



 一見すると、「口から汚物を吐き出しているのかな、だから汚なそう」。というのと、「キラキラ宝物が口から出てくる。手でしっかり受け止めている」という、汚物と宝物という相反する気持ちで見てしまった。
 それに、何より困ったことは上手い絵だ。上手いことは良いことなのだが、感情の善なる面を見せるには得だが、濁なる面を見せるには損をする。結局、何を描いても綺麗に輝いて見えるから。
 この絵は受け止めている「手」が大きいのも魅力的で、「感情蓄積物」がどんなものであれ、立派に引き受ける度量の大きさにもなっている。それは作品を大きく見せている。

 こういう作品で一番の問題は、手にしろ物にしろ、描かれたものたちよりも、それを包み込む背景(面)をどう考えるかに尽きるのではと思っている。

 ①あくまでも描かれた物たちを引き立たせるための背景。いわゆる背景処理として考える。
 ②背景も、「感情蓄積物」の一部として考える。
 ③描かれたものたちとは次元を異にする空間にする。

 この作品は①であろう。個人的には、背景にも②の要素を求めたい。それはうるさい絵にはなるだろう。

 1年生の作品だ。彼女は何かを描いても、全てある程度の技量を発揮するのは間違いない。
 学生が何を求めているかはわからないが、こういう刺激的テーマを選ぶ人だ。ガンガン描いて、輝く人になって欲しいものだ。






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   ↑:上側、おといねっぷ美術工芸高校 1年・大橋三四郎、「動揺するフレミング」。



 どこからみても、手が目立っていた。シンプルで、微妙な動きと、広がる動きが自然に重なっていて、ついつい目に入るのだろう。





   ↑:下側、札幌大谷高校 1年・藤岡侑、「嘘の限界」。


 「不思議な表情だな、背景もリズムがあるようで機械的で、何なんだろう、この感情表現は?」と思いながらタイトルを読む。「嘘の限界」・・・そんな風に見えもするし、ちょっと違うようなきもするし・・・。





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   ↑:左側、おといねっぷ美術工芸高校 2年・駒井杏奈、「お邪魔してます。」。
   ↑:右側、札幌西高校 1年・勝木那琴、「境目の女」。


 ともに元気な絵だ。
 特に左の絵は、漂うムードまでねちっこくて、元気の良さを超えて、性理も剥き出ていて激しい。






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   ↑:小樽潮陵高校 1年・中村茉利奈、「1年B組」。



 作品としては薄塗りで未完成的な感じだ。が、この淡くて、取り立てて主張しない風情に心が止まる。
 淡白な空間を主張したいのか?タイトルが「1年B組」だから、もしかして自分の教室を静かに見つめているのかもしれない。

 確かに未完成的作品だ。が、この絵を強く描いても面白くない。定点に視点を定めても人目を惹くこともないだろう。
 ただ淡々とフラットな風景があるだけだ。





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   ↑:奨励賞・岩内高校 3年・古西元希、「鉄心」。



 岩内高校美術部は伝統的?に、対象を強く大きくしっかり描く。そんな代表的な岩内美術部絵画だ。
 高校生らしくて気持ちが良い。見つめる心を養っているのだろう。






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   ↑:北海高校 3年・親松大貴、「人たち」。



 楽しい絵だ。ひょうきんな人たちだ。彼らは点で結ばれ、花で結ばれ、ラブで結ばれている。
 他愛のない「人たち」だ。無邪気な遊び心が絵画を膨らませ、絵画をすることが遊びをいっそう楽しいものにしている。






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   ↑:札幌平岡高校 2年・織笠直人、「水の穴」。



 上手い絵だ。上手すぎるから、単に「水の穴」でしかないのがもったいない。この「水の穴」に画家は何を見て、何を僕らに見せたいのか?
 「穴」が好きな学生なのか?「水」が好きな学生なのか?「穴」と「水」、ともに一筋縄ではいかないテーマだ。描写力の実力を超えて、その不可思議をもっともっと魅せて欲しい。

by sakaidoori | 2013-10-14 07:00 | 市民ギャラリー


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