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栄通記

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2013年 10月 08日

2250)「くろがねと空間 -見だされる鉄-」 門馬 10月1日(火)~10月14日(月)

  




くろがねと空間 

  -見だされる鉄
        

 

  
 会場:ギャラリー・門馬   
      中央区旭ヶ丘2丁目3-38
       (バス停旭ヶ丘高校前近く) 
     電話(011)562ー1055

 会期:2013年10月1日(火)~10月14日(月)
 時間:11:00~19:00

※ アーティストトーク&パーティー ⇒ 10/12(土) 18:00~ 

 【参加作家】
 川上りえ 菱野史彦 松田郁美 山川英輝 山本美沙 吉成翔子  

 企画:当館 

ーーーーーーーーーーーーーー(10.6)


 門馬邸が鉄の館に変身!と、そこまで言えたかどうかは別にして、鉄が綺麗に棲み付いている、そんなイメージだった。

 以下、鉄君達が門馬邸で居候している姿を順番に見ていこう。
 6名の参加です。一気に全員の鉄居候を紹介できるかどうか?言葉少なに進めば可能なのだが・・・。

 (以下、敬称は省略させていただきます。)




 急いで玄関に入ったので、出迎えの鉄--それは鉄五右衛門のような露払いであったが--をしっかり見なかった。

 それでも撮った。ややピンボケ写真から鉄の館に入るとします。



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   ↑:山川英輝、「黒鉄への誘い」・2013年。


 そして玄関のドアを開けると--


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   ↑:山川英輝、「バッタBOX」・2011年。


 傘立て?ごわごわしていて、傘は入るの?怖そぉ。でも、チョッピリ可愛くて、一人ボッチで寂しそう。


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 おー、今度はアリだ!何てこった!挨拶すべきか、無視すべきか?怖くはないが、ぼこぼこアリで、喧嘩は強そうだ。鞄を持ってお出かけかな?ならば横を素通りしよう。


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   ↑:以上、山川英輝、「アリえんほど親父」(出勤前)・2011年。


 それにしても山川ワールドは随分と表面がゴワゴワしている。この粘着的生理、もっと見たいものだ。自分の身に危害が無ければ、怖いものほど面白いものはない。

 

 この玄関には山本美沙の鉄兜、もとい、重い重い鉄帽子が一個だけ引っかけられていた。ひさしは黄色いのだが、いかにも無骨で少年野球団の使い古しみたいだった。ただ重くて大きくて子供向きではないかもしれない。
 山本美沙にしては数少ない遊び心だろう。しかし一個とは寂しい。レインボーの七色集団、それも山本ワールドには無縁なショッキング・ピンク、派手派手イエロー、真っ青ブルーなどを使えばいいのに。遊びだ、ジョーダンだ、ワッハッハだ。しかし鉄は重いぞ精神だ。



 次は玄関ホールだ。
 何があるかな?


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 ピンボケですいません。



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   ↑:松田郁美、「光の粒子」。


 力作である。
 彼女はパーツに拘って、その増殖・組み合わせ・構築を基本にしていた。
 しかし、徹底した増殖精神かというと、爆発、密集、崩壊、廃墟という不規則不可解運動を孕んだものではない。全体像ありきの華麗な増殖だ。

 最近はその増殖スタイルが外にではなく、内に包み込むようにして膨らんでいく。もともと円形の好きな人だった。その三次元的円を、入れ子状にしたり、クロスさせたりと、超過密スタイルで内面的に増殖している。タイトルで言うところの、「ミクロの粒子」に視野が向かっている。他人を侵入させない凄みのある密度でもある。

 最近、プラニスホールでの公募展で大賞を受賞された。「もぎ取った」という褒め言葉がピッタリの強さだった。今展と同じスタイルだ。ますます濃くなる松田・円環ワールドだ。何と言っても、力みがありありなのが頼もしい。



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   ↑:(上掲作品の部分図。)



 さて、ようやく居間だ。



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   ↑:(2階から見た下の様子。)



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   ↑:菱野史彦、「?」。(菱野作品は記録ミスのため詳細は不明。)



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   ↑:(上掲作品の部分図。)


 質実剛健かつ重厚な菱野史彦が、洋間を和室に変身させるような鉄を持ってきた。
 出てくる出てくるアイデアの泉だ。何でもかんでも作りたくてしようがないという人だ。いっそのこと、全室全館貸し切りで、一年がかりで「鉄の家、鉄の部屋、鉄の庭、・・・鉄だらけの菱野史彦王国」にチャレンジだ。いや、彼はそのことを将来展望の一つに組み込んでいるはずだ。今はその設計図づくりの段階だろう。

 ちなみに、会場のあちこちにお邪魔虫のようなミニ・ストーブが這い回っている。それらも菱野作品です。「大きいばかりが菱野ではないぞ-!抽象スタイルで固定して見ないでくれ!こんな小さな可愛いのだって作れるよ」ということだ。はい、わかりました。



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   ↑:(以上のストーブは)菱野史彦





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   ↑:川上りえ、「Linked Foam」・2013年 ステンレススティール。



 振り向けばそこには、「川上りえ」が立ちはだかっていた。今回は四角は止めてリンクだ。雪だるまと呼ぶべきか、沸き立つ雲と呼ぶべきか?その雪だるまか雲だかが我々に何やらささやいている・・・。


 最近、川上りえ作品を多く見ている。報告していない作品もあります。追って、連続して載せたいと思っています。その時に再度、この「沸き立つ雪だるま君」にも登場してもらいましょう。



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 見上げてばかりでは首が疲れる。それに、川上作品に圧倒されるばかりだ。上に行って、川上作品を見下したくなる。


 
 それには階段を昇るのだが--



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   ↑:吉成翔子、「とことこのぼる」・2013年。


 ご存じ、壁を這い回って遊ぶ人・吉成翔子だ。最近は立体造形はお休み加減で、もっぱら平面で、童話世界を夢見るリラックス・モードだ。



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 とことこ昇ると小さなストーブと、変な頭が見える。吉成世界を後回しにして、頭を見に行こう。




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   ↑:山本美沙、「?」・(タイトル等記録ミス)。


 「ヘビ」にしておこう。

 山本美沙。確か、全道展で賞を取る前の年に会った気がする。かなり前だ。作品には適当に会っているが久々というか、もしかしたら初対面の山本美沙だ。でもやっぱり会っているはずだ。顔は忘れてしまったが・・・。まだ学生だった。どこか体から弾けムードを漂わせて、あどけなかった。小柄な女学生なのに作品は大きかった。卵の殻だったか?

 だからかどうかは別にして、昨日会った人のようにして意味不明の会話を楽しんだ。
 
 今作、とりあえず得意の大作を持ってきたのは良いことだ。彼女は自分の体を入れても大丈夫な、ふっくら造形感の持ち主だ。そういう大作主義の女が鉄を続けることは大変だろう。好きだから続けるしかない。お金にならなくても続けるしかない。止めたって良いのだが、やっぱり続けるしかない。その持続する精神を保つ工夫が現在の立場だろう。

 今作、大きいことは良いことだったが、やっぱりこの人は自分の体を大きく包み込むぐらいの蛇でなければならない。とぐろを三重巻きにして、その中にスッポリと自分を入れるのだ。顔だけ出して、這い出る力で再生するのだ。
 大作作家は自分の大作で自分を大きくするぐらいでないといけない。確かに女だから大変だ。金もない。時間もない。しかし大作を作らねばならない。良いの悪いのだとか、空間がどうのこうのだとかは、どうでもいいのだ。作らねばならのだ。

 久しぶりに会えた山本美沙へのメッセージです。



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 実に逞しい女性になった。鉄向きの力強い顔だ。頑張って下さい。




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   ↑:吉成翔子




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   ↑:吉成翔子、「そよそよの森」(暗室)・2013年 鉄。



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 常にマイペースの吉成翔子だ。「とことこ、そよそよ」夢気分だ。

 (個人的伝言です。中途半端な「政和編」ですが、今月中には再度登場すると思います。)

by sakaidoori | 2013-10-08 09:34 | 門馬・ANNEX


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