栄通記

sakaidoori.exblog.jp
ブログトップ | ログイン
2013年 10月 01日

2236) 「石尾隆 作品展」 さいとう 終了/9月24日(火)~9月29日(日)

   
   


石尾隆作品展       
             


 会場:さいとうギャラリー 5階 B室 
     中央区南1条西3丁目1
      ラ・ガレリア5階
      (北東角地。
      1階が日産のショールーム。)
     電話(011)222-3698

 会期:2013年9月24日(火)~9月29日(日)
 休み:月曜日(定休日) 
 時間:10:30~18:30
     (最終日は、~17:00まで)     

ーーーーーーーーーーーーーー(9.28)


2236) 「石尾隆 作品展」 さいとう 終了/9月24日(火)~9月29日(日)_f0126829_15201055.jpg




2236) 「石尾隆 作品展」 さいとう 終了/9月24日(火)~9月29日(日)_f0126829_15221992.jpg



2236) 「石尾隆 作品展」 さいとう 終了/9月24日(火)~9月29日(日)_f0126829_15223351.jpg




 絵画を工作的に楽しんでいる作家です。団塊の世代として働き、今、好きだった絵画を好きなように取り組んでいる。

 会場風景を見ても分かるように明るく楽しいが基本中の基本です。「な~んたって楽しくなくちゃ」です。美術用語で格好良く言うと、ポップアート、お笑いアート、目くらましアートと呼ぶのでしょうか。
 でも、明るく装った世界にほのかに見える胸騒ぎ、哀しみといえば極端ですが、狂言的な人生の泣き笑いを感じてしまった。

 そういう代表例であり、栄通好みの作品を2点、始めに掲載します。


2236) 「石尾隆 作品展」 さいとう 終了/9月24日(火)~9月29日(日)_f0126829_15391717.jpg




2236) 「石尾隆 作品展」 さいとう 終了/9月24日(火)~9月29日(日)_f0126829_15393447.jpg
   ↑:「どっちに向かって来たんだ」・90×60㎝。


 オバタリマンだ。しかも全てを尻に敷く恐怖のオバタリマンだ。

 発光色で身を包んだ、顔なし叔母ちゃま。あー、そのお尻で今日は誰を踏みつぶすというのか。
 あな恐ろしや!でも、ふがいなき人生だ。立派なそのお尻に踏みつけられるのも良しとしよう。

 そして今日もオバタリアンは楽しく明るく街を闊歩していく。「そこのけそこのけ、叔母ちゃまが通る!」





2236) 「石尾隆 作品展」 さいとう 終了/9月24日(火)~9月29日(日)_f0126829_053911.jpg
   ↑:「ファミリー P町の家族 1955年」・90×85㎝。


 およそ60年前の家族の肖像画だ。おそらく、画家自身の家族だろう。二人の子供のどちらかが画家自身だろう。
 セピア調に懐古趣味にはしていない。タイトルがなければ、「今の、ある家族の肖像画」として見られるかもしれない。
 過去と現在をダブらせて、決して過去を懐かしんで描いていないのが良い。懐かしさがないわけではなかろう。むしろ、「この写真に撮られた、あの日の家族の一人一人は今どうしているのだろう?」という切実な思いを、否定するかのようにして「今」を楽しむそぶりが素晴らしい。
 「色々あったのだ。皆一所懸命に生きた。これからの余生も明るく振る舞おう」という画家の宣言を聞く思いだ。






2236) 「石尾隆 作品展」 さいとう 終了/9月24日(火)~9月29日(日)_f0126829_16275.jpg
   ↑:「Mount Fuji forever 2013」・180×180㎝。


 著名な歴史画家の作品を借りて、「マウント・富士」の賛歌か。単に明るいだけでは面白くないので、三角模様に紙を張り巡らせて、作品を立体的に楽しんでもらおう。尽きることなく富士を褒め称えよう!
 と、思いきや、画家の真意はそれだけではなかった。


2236) 「石尾隆 作品展」 さいとう 終了/9月24日(火)~9月29日(日)_f0126829_1132750.jpg



 作品を斜めから見ると、誰かの顔が埋め込まれているのがはっきり分かる。単なる遊び?他愛のないファンサービス?
 真意がどの辺にあるのかは不明だが、大作に試みられた壮大な遊びに拍手を送りたい。






 次ぎも単なるトリックアートです。意外な美しさを堪能して下さい。



2236) 「石尾隆 作品展」 さいとう 終了/9月24日(火)~9月29日(日)_f0126829_121743.jpg
   ↑:「臨海 -グリーンとレッド-」・180×180㎝。


 上は正面から見た場合。思いの外グラデーションが綺麗だ。
 この作品を左右から見ると--




2236) 「石尾隆 作品展」 さいとう 終了/9月24日(火)~9月29日(日)_f0126829_1241839.jpg
2236) 「石尾隆 作品展」 さいとう 終了/9月24日(火)~9月29日(日)_f0126829_1242731.jpg





 単に段ボールの左側が綠で、右側が赤なだけだ。流れるような段ボールの切断面は関心だが、ただそれだけのことだ。そして、この種の方法は使い古されているかもしれない。
 しかししかし、それでもそれでも、単純な波線と赤と緑のコントラスト、単純な仕掛けではあるが、綺麗だった。色と波の残像が心にしみて心地良かった。



 作家は色々と壁面世界に突起物を差し込んだりして遊んでいる。その効果のほどは全面開花とはいえないが、果敢なチャレンジだと思う。使い古された方法もあるだろうが、それでも色々と後追い的に追体験をして、石尾隆流の絵画ができあがっていくのだろう。今はその過渡期であり、進行過程を同時に楽しむ時期なのだろう。
 定年後の本格ポップアートだ。人生経験が加わっているから、思いがけないものが生まれるかもしれない。楽しみながらつきあっていこう。







2236) 「石尾隆 作品展」 さいとう 終了/9月24日(火)~9月29日(日)_f0126829_146487.jpg
   ↑:左から、「虚言癖の聖女」・F30。「愚かなる予言者」・90×85㎝。







2236) 「石尾隆 作品展」 さいとう 終了/9月24日(火)~9月29日(日)_f0126829_147362.jpg
   ↑:左から、「浮遊」・S30。「真実は貝殻の中」・S30。







2236) 「石尾隆 作品展」 さいとう 終了/9月24日(火)~9月29日(日)_f0126829_148241.jpg
   ↑:(記録不備。)






2236) 「石尾隆 作品展」 さいとう 終了/9月24日(火)~9月29日(日)_f0126829_1485541.jpg
   ↑:「Whiteout 白から赤へ」・S12×2枚。



2236) 「石尾隆 作品展」 さいとう 終了/9月24日(火)~9月29日(日)_f0126829_1491671.jpg
2236) 「石尾隆 作品展」 さいとう 終了/9月24日(火)~9月29日(日)_f0126829_1492870.jpg
   ↑:(上掲作品の横からの部分図。)

by sakaidoori | 2013-10-01 09:27 | さいとう


<< 2237)「第41回 美術文化...      2235)「金属工芸研究室展 ... >>