2013年 09月 25日
梅田マサノリ展 「恋という字をマチガエテ変になる」 引きつけること-嫌悪すること 会場:ギャラリー・門馬 中央区旭ヶ丘2丁目3-38 (バス停旭ヶ丘高校前近く) 電話(011)562ー1055 会期:2013年9月18日(水)~9月27日(金) 時間:11:00~19:00 (初日は、13:00~。最終日は、~17:00まで。) ※ オープニングパーティー ⇒ 初日(水) 18:00~20:00 DMには同時出品案内が沢山記載されています ◯ ガラスのピラミッド開館10周年記念協賛企画。9.18-9.23 ◯ ハルカヤマ藝術要塞2013。9.8-10.5 ◯ ハルカヤマ・サテライト展。9.14-11.17 そして来年は地元帯広で ◯ 防風林アート屋外展示。2014.2.1-2.16 ◯ 関連企画:防風林アート参加作家小品展。期間は上記の展覧会と同じ。 詳細はDMを拡大して確認して下さい。 ーーーーーーーーーーーーーー(9.22) 広い会場にはオブジェ、絵画、小物、映像と盛りだくさんです。 タイトルは「恋という字をマチガエテ変になる」という、ちょっと意味不明のものです。 ま~、芸術行為という恋に陥って、変な作品ができあがった、そんな意味にしておきましょう。ですから、今展は、そんな変な作品達の顔見せ展ともいえるでしょう。実際、梅田ワールドは、その実直本格現代美術なのですが、どこかが何がしら「変」なのです。本人は全く変さをウリにはしていませんが。 一々の細かい言葉ははしょって、玄関から作品を見ていきましょう。 このシーンをみて帰られる方もいるとか。怖いのかな?薄気味悪いのかな?獣の妖気か? 鹿のオブジェの前に、それこそ変なシナモノ。「粘菌」か?これらは2階にも静かにたたずんでいる。その紹介は後で。 とにかく本展のプロローグ、鹿のオブジェをしっかり見よう。 この鹿達は入り口にあるだけで、居間の方には展示されていない。これだけの力作なのに、実に変だ。ということは、この鹿で「勝負」しに札幌に来たのではないのだろう。何が不満なのか?何を暖めているというのか?今後の梅田マサノリの方向を思慮する試金石か? 明るくてリッチな居間に入ろう。 絵画が、この場所この空間の主役だ。 僕にとっては初見の作品ばかりだ。概ねこの10年間の作品として理解して良いのだろう。 実は絵を見る心の準備をしていなかった。そして、この何とも言えないムード、迫力に近づけなかった。遠目に眺めたというのが事実だ。見れば見るほど心の整理ができなくて、ただただ写真を撮ってきた。 今改めて、写真を見ながら作品と静かに会話をしている。これが梅田マサノリだったのか、と唖然としている。 何なのだろう、この凄みは?間違いなく闇を見ている人だ。見ているというか、この空間にどっぷりと入る直前の人だ。傍観するという静けさもあるが、入らねば解らないだろうという強さもある。 (両作品ともタイトル等のキャプションや説明書きはありません。2007年の帯広美術館での個展図録より記します。あくまでも参考資料です。) セピアのかすれた色合い。上は「トウキビ」に、下は何かの「花」に見え、枯れて死を直前にしている。それを画家は既死観にさいなまされて一気に描き上げたのか!それは「生」への渇望でもあり、身にへばりつく「死」との対話を感じる。 「生は良いことなのか?死は本当に悪いことなのか?怖いことなのか?生死の境界は何処にあるのか?」 全てのタイトルは「compensation of balance」。「バランスの代償」の意か。 6年前の図録で画家はその意味を「『いろんな意味を含ませている』・・・と断った上で、『絵を描くことと、仕事としてのデザインとのバランス』」と書かれている。 絵から判断すれば、「生きる代償」、「生死の代償」、「生きることの意味を問う代償」と言い切りたい。「絵なんて描かなくても良いのだ。描いてもことさら見せなくても良いのだ。が、描きたい、見せたい」その代償、報復として作品があると。 なぜなら、作品があまりに個の独白に終始し、個と社会との関係が絵画にどれだけ反映されているか、そのことが不安なのだろう。(絵画とはそういうものと僕は思っているのだが。) 個の回復は社会化の中でしか実現しない。おそらく、そういう動機、気質がオブジェ作品や映像となり社会派的な主張を模索しているのだろう。 氏の絵画の特徴として「性」の問題がある。 下の方に掲げた格品群は遊び心もあり、暗い絵だが余裕がある。それらを含めて「性的」なものが希薄だ。遊びや植物が性を包含しているのだろうが。要するに女の臭いが希薄だ。別に作品にオンナ性がなくても良いというかもしれない。が、僕はそうは思わない。絵は非常に正直なものだ。男の絵には性に対するロマンや妄想の破片が隠れているものだ。 氏は正直な作品をつくる人だ。そして、肉体らしき標本のようなものも作る。絵には出づらかった「性的なもの」は、そういうオブジェにでているのだろう。玄関先にあった白い磁器の小品たち。「生」、「はかなさ」と重なりながら「性」の表現なのかもしれない。 それだけ氏の絵画は性よりも、闇に象徴された空間的な秘部に関心が強いのだろう。今後は、その闇から、社会性や人間関係性、性や遊びが明解な形で自己主張し始めるのだろう。まさしく現代美術として。 2階の作品は、続けての②で掲載します。
by sakaidoori
| 2013-09-25 14:17
| 門馬・ANNEX
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丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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